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百五十六A生目 野菜

 クライブとライオンの壁がぶつかり合うまでほんの僅かな時。

 迷う場合じゃない。

 まず火魔法"レイズフレイム"でぶつけ続けていた魔法。


 特定の"観察"で見つけた柔らかい位置に当て続けたそれを……一斉に爆破!

 この魔法は任意のタイミングでメチャクチャ遅れたりしなければ爆破ができる。

 しかも重ねた分全部!


 いきなり壁の一部が爆炎を吹き出しライオンの顔が生えた壁は揺れて態勢が崩れる。

 当然勢いが死ぬわけだ。


 そこにありったけのパワーを込めた剣ゼロエネミー。

 巨大剣としてエネルギーマックスのこれを……

 武技"叩きつけ"!


「当たったのが俺たちで不運だったな!」


 同時にクライブ。

 怯んだそのライオンの顔面に同じ用に剣を構える。

 両腕に持ち替えて……たかぶる力で剣を唸らせる。


「破壊撃!!」


 私の剣ゼロエネミーの思いっきり打撃するのと同時。

 効果的な位置でクライブがその巨大な剣を赤く震わせていた。


 そして(エフェクト)とともに派手な大上段。

 まさしく砕くという意思の1撃。

 剣ゼロエネミーも大きさと重みを押し付けるように壁へたたっ斬っていく。


「はあああぁあっ!」


「いけーっ!!」


 二重の斬撃が壁を粉々に打ち砕く!

 ライオン頭だけが壁から外れ……

 壁も結界も粉々に砕け散った!


「ガオッ!?」


 さて壁からフリーになっライオン頭はというと。

 支えもなく力もなく。

 そもそも今のでかなりのダメージを負わせられていて。


 下は空中。


「ガオオオオォォォォォ……………!!」


 悲しそうな悲鳴を上げながら落下していき。

 やがて光となって消え去った……


「厄介な相手だったな」


「ギミック満載な相手だったね……」


「次は少しは休息てきると良いが」


 クライブはマントのつばさが少しくたびれたように見えた。




 なんとか新たに開いた部屋は床があった。

 魔法陣も起動して休息。

 クライブとともに食事をとった。


「ほとんどの食材は、後衛チームが持っていてな……」


「じゃ、私から」


「……すまんな」


 クライブがゴソゴソと硬そうな保存食を取り出したところで私が食事提供することとなった。

 空間拡張魔法バックはクライブも持っていたが食材担当ではなかったので入れてこなかったらしい。


 そのかわりもしものときの保存食と水は持ち込んであった。

 けれどあれでは元気はでない。

 次に命をつなぐためのものでしかない。


 私はこういう時けっこうらガッツリと食べられるもの持ち込む。

 どうせ亜空間で時間を止めているし。

 最悪材料と調理器具もたくさんある。


 カロリーとタンパク質が必須だ。

 というわけで取り出したるはコメのようなものとカレーのようにドロッとした具材スープ。

 しかして正体はカレーとは全く違う。


「なんだこれは……小さいが、パスタか?」


「そう。これをかけて、一緒に食べるんだよ。この中には、豆や肉類それに野菜もたくさんあるからね。朱の大陸でよく食べていたんだ」


 名前はクスクスというらしい。

 そしてこちらが朱竜スープ。

 クスクス自体は主食でなんにでもあうため朱竜スープと合わせて食べるのがよくある食べ方だ。


「なるほど……なかなかいい香りだ」


「トマトベースに多くの具材を投入してあるからね。朱の大地でしか取れない、特別な根菜もたくさん入ってるよ」


「ほう、これが朱の大地の野菜か。まるで見たことがないな」


 クライブは適当につついたあとにスプーンで一口。

 そうして……


「……野菜は、変わった味がするな。食べてきた野菜とはかなり風味が違う。なんなんだ……?」


「あーもうー! 翠の大地の民は自分所の野菜の美味しさに本当にわかってないからなあ……!!」


「あ、ああ? うまいぞ? 間違いなく」


 まったくもってピンと来ていないクライブ。

 ああもうこれだから! 翠の大地の民は!

 みんな自分たちが食べるそこらへんの実りがどれだけうまいかがわかっていない。


 そしていざ他地方のものを味わうとこうなる。

 馴染みの違いもあるしクオリティの違いもある。

 だけれども野菜関係に関してはどうしても首をかしげる子がほとんどだ。


 今まで感じていたうまみがないのだから仕方ないけれど……

 野菜が野菜らしい味わいを発揮している各々の雰囲気や青々しさまたは……

 過酷な大地で育った特別な滋味(じみ)も物が違いすぎてパッとしてくれない。


 それぞれの良さがあるんだけれど翠の大地の民は自然に『まあうちほどじゃないけど』という意識がうまれる。

 自国料理を上げて他国料理を『認めている』と下げる技だ。

 無意識に行われるから恐ろしい。


 それほどまでに美味しいのだここの野菜は。

 肉は朱の大地のほうがいけてると思うのだけれども……

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