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百五十A生目 草原

 塔の内部1階。

 

 ここの場所はひとことで言えばシンプル。

 内部の殆どは何もなく壁もない。

 ただっぴろいなかの中央に魔術構築が刻まれている。


 魔法陣というよりは塔という巨大な魔術装置を稼働させるための円がある。

 なおここらへんは専門家しかわかんないので大抵は魔法陣と呼ばれる。


「なるほど、こうきたか」


 私が陣に触れると塔の部屋全体に光が走り魔法記述が広がっていく。

 しかもこれ私にもわからない記載だ。

 魔法の記述って言葉じゃないからいつもみたいに学習できない。


 イメージだけでいえば……はんだこてする基盤でプログラミングというか。

 英語がわかってもプログラムは書けないし。

 基盤の回路は言葉ではなく意味のある紋様だし。


 そのふたつがくっついてるともはやその相手のひととなりを知らなければ読み解けないこともあるほど。

 そしてこれはまったくもってそのパターン。

 分かる人には分かる……スパゲッティーのようになった魔術構築だ。


 しかも全容はこの1階だけではない。

 おそらく塔の内側外側一通り使っている。

 無駄に壮大だ。


 あらゆる機能がいくつも重ね合わせているのもポイント高い。

 どれが必要なコードかなー? わかんなーい!

 そうなること間違いなし。今なっている。


 そして魔術的に言えば正解である。

 私みたいな不届き者に神秘性を暴かれないようにしてあるのだ。

 もちろんプログラム覗き見防止プログラムもあるから余計にわかりづらい。


「……行こうか」


 私が今ここでジタバタしてもどうしようもないのがわかった。

 それだけで成果としよう。

 私はこの部屋にあるもうひとつの建造物……階段を目指す。


 階段にトラップはなし。

 まああったとしても先駆者がどうにかしているけれど。


 さあさて第2層。

 ここからこの塔のわかってる最後のルール。

 それぞれの層は……


「疑似迷宮世界になっている、かあ」


 私が見上げる先。

 そこには空が広がっていた。





 荒野の迷宮みたいにこの塔も迷宮になっている。

 ただし普通より小さいらしいが。

 どこかにある階段をのぼっていけば次の階層にたどり着くそうだけれど……


 ここが静かなのはまだ冒険者組合が初期調査中だから。

 難易度を推し量るために先行して調査している者がいるはずだ。

 そしてもうひとつは……命知らず。


 冒険者たちは真っ先に最も美味しい場所を独占したがる者も多い。

 多少の危険があってもやはり情報集めは大事だ。

 その情報を売ることで恩と金と名誉を手に入れられる。


 チップは自分の命。

 それを止める権利は基本的には誰もない。

 ただし立ち入り禁止区域指定をはった場所なら違法で逮捕だけど。


 私は……実は結構特殊な立場である。

 アノニマルースとして。個人として。依頼遂行として。そしていち冒険者としてここにいる。

 当然この戦いは多く組織が把握している。


 アノニマルースは対敵戦力として私や複数員を貸すことになる。

 翠の王国は冒険者ギルドを間において承諾。

 冒険者ギルドは依頼として私に仕事を発行している。


 そして私は各地で惨状を作り出す人形たちの親を倒しに行く。

 これ以上好き勝手されるのは困る。

 冒険者として……ちょっとした世界の危険を退けさせてもらおう!




 ここの迷宮は牧歌的な見た目だ。

 草原と青い空白い雲。

 ただし翠の大地の住むものたちは混乱するかも。


「草木の頑強さが、他大陸くらいしかない……石は、うん、硬い」


 草木は柔らかく石はガリガリに硬い。

 コレは翠の大地のルールに反する。

 つまり翠竜の加護がここにないのだ。


 まさしく隔絶された世界。

 ちなみに翠竜の加護は大陸内ならば迷宮にも全部適用されている。

 ここの異常さがよくわかるだろう。


 ちなみに1番最初に入った面々はここの異常さにすぐ気づいて慌てて帰ったらしい。

 自分の常識と逆さまを叩きつけられたらそりゃそうなるよね……

 さて草たちは低いのと高いのがある。


 草が高くなると恐ろしく視界が悪い。

 すると……


「ギャッ!」


 私が腕を素早く振るうと背後の魔物が吹き飛ぶ。

 背の低い小人みたいなものだ。

 倒れるとその場で消える。


 そうこれはあくまで疑似迷宮。

 そして時空渦の中の世界。

 まともな生物は敵の神だけだろう。


 敵ならばほぼ容赦なく殲滅して良い。

 とはいえこんな浅い階層で暴れる気はないけれど。

 この通り相手はふいうち狙いの弱い相手。


 

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