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百三十八生目 偽典

 ビル先生の実技試験で私は前で特別な動きを見せることにした。

 私の前の青年……名前はマルケルくんが身構える。


「よろしくおねがいしますっ!」


「はい」


「魔術槍、魔術盾起動、魔術兵装……展、開!」


 冒険者という広いようで狭い世界にいてはなかなか知らない世界。

 世界の最先端。美しい技術。

 それが展開されていた。


 詠唱により彼の両腕に槍と盾が生まれる。

 あそこからは彼だけのエネルギーではなく別のエネルギーの流れも感じた。

 手にあった指輪がなくなっているからアレが変化したのだろう。


 槍も盾も『杖』がわりになるよう出力がなされている。

 さらに展開する前に属性が生まれていた。

 槍は風をうずまき盾は岩塊が輝く。


 私は土魔法"ロックボーン"を使い手元に棒状の土石を得る。

 魔法だけどね。

 魔術はここでの定義はスキルを含んだ魔法の人工発展。


 彼の魔術道具もその系譜だ。

 このまんまだとあまりにもあれなので……


「我が爪、伸びよ」


 この言葉なんかじわじわと恥ずかしくなるので淡々と言うのが大事である。

 でも詠唱としては効果抜群。

 棒が途端に大きくなりロングサイズとなった。


「それと……自動記録オン」


 さらに近くに球体の魔法を浮かべる。

 AI魔法のひとつだ。

 医療AIができてなおかつ私が普段役立ってた方向を考えると楽に1つできた魔法。

 

 これは『経験』を得るAI魔法だ。


「どうぞー」


「は、はい! 行きます! 全力で! 吹き飛べぇ!!」


 彼は盾を構えるとそのまま地面へ。

 槍を一気に引くと風がうなる。


「シュートおぉぉ!!」


「ちょっと!? その出力を屋内でだしちゃあ駄目だって!?」


 遠くから悲鳴のような声が聞こえてくる。

 それよりも唸る風が放たれ槍のように突き進む轟音のほうが大きい。

 なるほど盾を重みにしてこの射出に耐えているのか。


 そして私は棒状の石を回転させ受け止める。

 そのまま渦巻くように回転させ……

 そのまま中和させた。


 受け止めきってこちらも構える。


「どんどん来てください!」


「なっ!? 何事もなかったかのように!?」


「ええっ!?」


「なあにこれ!? マルケルの武装魔術がこんなあっさり!?」


「ま、まだまだ!」


 大技が破れたところでまだ動ける気概やよし。

 それにだからこそ武装のカタチなのだろう。

 盾を前面に押し出しつつも槍のリーチでこちらの体を突こうとしてくる。


 もちろんレベル差がある。

 本来では一矢すらむくいるのはムリだけれど……

 これは実技として自分の魔術をお披露目する訓練だ。


 ならたっぷり技工と魔力で付き合おう!

 彼の力量にあわせつつ突いてきた槍を棒の側面で受けてずらす。

 私の顔横に方向がそらされた。


「でいやっ! はっ!」


「どんどん突いてきて! はい、お返し」


「わぁっ!?」


 連続で突いてきてそのすべてを技量でなるたけかえしていく。

 何普段師とやる切り合いより断然楽だ。

 速度や力ではなく先に置いて先に誘導して……


 何よりこの風がやっかいなのだ。

 やはりただの槍ではなく風が攻撃範囲を広くし同時に押し込んでくる。

 普通の槍と思って対処すると吹き飛ばされるだろう。


 そして隙をあらば盾をどんどん叩いていく。

 この盾は岩塊の魔力で形成されていて見た目よりどっしりしている。

 でも扱う上では軽そうだから魔法ゆえのポイントか。


 彼がうまく防げるように攻撃誘導しているがなんとか防いでくれている。

 いい感じだ。

 彼もこれで私という相手に経験稼ぎまくって欲しい。


 まさしくパワーレベリングだ。

 相手も狭い空間を飽和するようにうまい振るい方をしている。

 柄の長さを活かし床に当てて反動で突き出したり。


 連続突きに見せかけて薙ぎ払いや縦振りを混ぜている。


「さあて、そろそろかな……?」


 私はAI魔法の方をちらりとみる。

 虹色になっていた。

 よしよし。私自身もまあ覚えてきた。


「それっ!」


「ぐうぅ……!? 重い!」


 私は隙を見て棒状の土石をぶん投げた。

 その勢いを盾の上から受けてマルケルが背後にズリズリ踏ん張りながらも下がらせられる。


「じゃ、経験還元、魔術再現!」


 私はAIから光を受け取る。

 すると光は私をまず包み込み……

 それから手先に光が宿る。


 (エフェクト)として成ったときには相手とまるで似たような槍と盾になっていた。

 よし成功。


「俺の……魔術を!?」


「何アレ!?」

「新しい先生やばいな」

「まさか、この短時間で読み取ってコピーを!?」


「偽再現、武装魔術。つまり、なんちゃってコピーだ!」


 私は早速槍を振るう。

 マルケルは何度か盾で防いで……気づく。


「これ、俺の動き!? 俺の型だ!?」


「そう、これこそ偽再現の特徴!」


 私は彼をコピーしたのだ!

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