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百十八生目 感謝

 実際五大竜が圧力となって自由に出来ない邪神寄りのやつは多くいる。

 顔のない神たちとか思いっきりそうだ。

 ただ世界をめちゃくちゃにしようとはせず他の神の顔色を見るぐらいの正気はあったから月に追放されなかったからだ。


 そして今各地の神たちが表に出てきている。

 良いやつも悪いやつも。

 五大竜の注意が他に向いている今確かに出やすい時期でもある。


 彼らは彼らの望みの中生き続けている。

 生命ならともかくこのような雪崩の概念に宿る神なんかはもはや生き物の(ことわり)では思考をはかれない。


「凍土出埋め尽くすなんて、やらせるわけ無いだろう!!」


「誰がお前の許可なんかを? 止まるわけがなああぁい!! 邪魔をするなら、お前ごと呑み込む!!」


 ああ最悪だよ!

 まるで止まる気がない。

 さらにいえばこの雪崩は意志があり神の力が宿っている。


 雪崩という概念が今ここで起こっているのだ。

 つまるところ普通に止めようとして止まるものでもないし目的を果たすまでは止まらないだろう。

 なんでこんなところで大陸の危機が起こるんだ!


 溜めていた神力塊をフルで使い雪崩にぶつける。

 願う力は雪崩の阻止。

 地魔法を練り上げて使うは"アースクリエイターズ"!


「止まれぇぇッ……!!」


 私は次々と大地を隆起させていく。

 雪崩反する災害……地殻変動。

 山が出来上がった方向に雪崩は流れ得ない。


「何!? 厄介な!?」


「逃さない!」


 だが相手も意思をもって進行している。

 大地の盛り上げに対抗し隙間を見つけ破壊して横から反れていく。


「くっ!」


 私も連続で隆起させていく。

 なかなかここまで大規模な魔法展開はいつもしないからなあ……!

 特に神力を使ったものは。


 概念合戦でイメージするのはあの魔王を打ち破った時のイメージ。

 あの時は夢中で相手の起こす天変地異を防げた。

 だったら今ここでも防げるはずだ!


 大地がどんどんと跳ねて行き雪崩はまるでスキーのように滑っていく。

 しかし実際は凄まじい質量が全てを飲み込まんと落ちて行っているのだ。


「ぬおおおおぉぉぉ!!」


「させるかあぁぁぁ!!」


 もはや向こうの声もこっちの声も雪崩の轟音にかき消されていく。

 ま……まずい。どんどん王都に近づいている!

 やはり準備きてきたというだけある……こっちがいくら神力回復速度が早くても限度が……!


 誰か、力を……!


 そう願った時脳裏に何かが思い浮かんでいく――



「な、なんだあの凄まじい雪崩は……!?」


「ああ翠竜よ、首都をお守りください!」


「あんなの……人間にどうにか出来る範囲じゃあ……くそっ、冒険者たち、無事に帰ってこいよ……!」


 祈る声。ウッドロフさんたち……

 そして場面が切り替わる。


「す、すごい!? 大地が、起き上がっていく!?」


「ああ、翠竜よ!」


「なんてしつこい雪崩なんだ! どうあっても首都へ向かう気か!」


「頼む、止まってくれ、アタチたちの家族があそこにいるんだ……!」


「……まるで災害が意思を持って食い合っているみたいだ……!」


 彼らの祈りが私へと流れ込んでくる……

 そして場面がまた切り替わる。


「はぁ、なんとか、外か……アイツは……なるほど、あそこか。大暴れしているな。あれを止めてこそのランクX冒険者か……? まったく、まだ未来は遠いらしい」


 クライブは無事脱出したらしく外から雪崩の様子を見ている。

 ギリギリまで酷使した身体は見ているだけでボロボロだ。

 誰も見ていないのに平然としているが立っているだけでしんどいのか座り込んだ。


「お前なら、勝てるだろう、なあ」


 それはほんの僅かの信頼。


 ――脳裏の景色から現実に戻る。

 今のは祈りだ。

 この戦いに捧げられた様々な祈り。


「ハハハハ! 恐怖し、イメージを描け! 自分が呑まれるさまを! その通りにしてやる!!」


 大自然の恐怖は向こうに。

 そして。


「みんな、ありがとう」


 期待。信頼。喜び。

 それらは私の力になる!

 私の拙い出力である神の力が外からどんどん補強されていく。


 大地は震えひび割れていく。

 逃げ遅れた魔物たちは大地の隆起に巻き込み洞窟を作って防ぐ。

 今私は自分の感覚をフルで活かせている!


 繊細に。大胆に。攻めと守りを両立させて。

 私自身が呑み込まれないように踊った。

 踊り空で舞った。

 このときばかりはアインスによる制御でお腹の底から来るような冷えと気持ち悪さも感じない。


 私はいわゆるゾーンと呼ばれるモードに入っていた。

 ゾーン状態の私は逆に音がなくなっていた。

 色もなんだか薄い。


 かわりに必要な情報が情報として入ってくる。

 言葉にすると難しいが受け取るのは音じゃない。

 色じゃない。においじゃない。いる情報だけが勝手にピックされそのま脳に投入されていた。

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