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百十七生目 雪崩

 ショートギアが最後のあがきらしく私の方に向きなおる。

 この細い通路で目一杯全身のパーツを開き突撃してきた!

 避ける道はない。


「我が神のご加護をーー!!」


「ならば、それを!」


 私は剣ゼロエネミーに構えてもらう。

 心を集中。

 "止目"で時間感覚を極限までスロー化させる。


 凍った時の流れの中で教わったことを全て剣に乗せる。

 私が握っていなくてもゼロエネミーと心通わせればそれは握っている時以上の力を発揮する。

 いざ斬る。


 正しい場所正しい方向から正しく斬る。

 それが最も難しく……同時に求められること。

 見定めて……揺れないように剣ゼロエネミーがまっすぐに振られる。


 相手とすれ違う。

 残心。

 私が吹き飛ばされていない。


 つまりは……


「グハアアァ!?」


 機体が真っ二つになっていた。

 よく剣戟で最後まで貫通して切り裂かれる描写あるけれどそんなに簡単にはバラバラにならないんだよね。

 今のがまさしく珍しい真っ二つ現象。


 そして爆発する。

 "ミニワープ"でハッチから脱出!

 クライブも少しだけ遅れて脱出していた。


「が、ぐっがっはああぁ……!?」


「クライブ、こっち!」


「くっ」


 スターがうめきだしイヤな予感。

クライブの元に急いで駆けてクライブも駆けてくる。

 全力速度重視で魔法を錬る!


「よおし、届き……あぶなっ!?」 


 棘無しイバラが届いた瞬間に大量の蒸気が溢れ出す。

 動体視力よくてよかった。

 一気に飛び上がりながら蒸気たちが迫るのを避ける。


 右、左、みっ左!

 ギリギリ避けて……囲まれる。

 ワーープ!!


 ギリギリ避けられ表の通路まで逃れられる。


「ぐぬうがああぁぁー!?」


「やばい、走って!」


「ああっ、お前は?」


「ノーツを!」


 私とクライブは逆方向に走る。

 ノーツが今ここにいない。

 どこにいるんだ!?


 少し探せば見つけた。

 瓦礫のようになって埋もれている中。

 右肩から先がなくなり足が壊れ倒れているその姿が。


「ノーツ!」


「製作者ローズオーラ、任務達成を確認。単独での脱出は困難と判断、瓦礫をどかすパワー不足」


「うん、うん、脱出しよう!」


 私はノーツに手をそえてワープした!





 あそこまで傷ついて戦ってくれた。

 私はそれに答えないといけない。


 ワープした先にいたのはアノニマルースの整備所。

 "ファストトラベル"で一気に飛んだ。


「おや、どうしたんで? これは……!?」


「うん、修理お願い! とても活躍してくれたんだ!」


「わ、わかりやした!」


 担当の方に任せ私はとんぼ返り。

 旧王都の上空に出る。

 寒波がさっきと真逆で身に応える。


「……な、なんだ?」


 いやおかしい。

 確かに寒波は寒いが。

 それだけで私は震えていない。


 これは寒気というより……


「怖気! まさか!?」


 私はあたりを慌てて見渡す。

 おぞましいほどの怖気が私を襲っていた。

 それはまるで寒気のように全身の血液量を奪っている。


 神の力が場を支配していた。

 それは殺気ともいえる。

 どこから声が響く……


──やってくれたな。

──我が依代先を叩き直すとは。

──だがわずかに遅い。


──その全てをかけアイツは最後の力を放った。

──我が氷獄の地に熱は不要。粉砕せよ!!


「もしかしてこの地の神か!? この環境を作り出している!? どこにいる!?」


「ここだ」


 最後の声だけやけにはっきり聞こえた。

 同時に激しい震えが大気ごと襲う。

 地面だけが揺れているわけでなく……これはとどろき。


 雪山の中のとどろきが起きる1番の原因はっ!


「雪崩だ!?」


 私は音の発生源を見つめると王都へ向かって雪崩が発生していた。

 しかも規模がおかしい。

 さっきの言葉どおりだとしたら雪崩はスターによって引き起こされていた。


 スターが最初の地震を引き起こしその雪崩で王都を飲み込む……

 だとしたらあの雪崩はただの雪崩じゃない!

 私が高速で飛びその場へと向かう。こっわ!


「来たか! 別地の神よ!」


「うわ、雪崩がしゃべってる!?」


 光景で言えばトップクラスに不気味だった。

 雪崩として流れていく雪たちがまるで映し出すかのようにおぞましい鬼のような顔を映し出していた。

 昔の心霊写真みたいだ。


 ほら……輪郭だけあって目とか口の中がないような。

 怨念といわれても納得するが元気に話している。


「アイツは元々斬り捨てる予定だったが予想以上に使えんかったなぁ! 我の力で都市が呑まれるのをみておれ!」


「なんでそんなことを! スターへの対応もひどいし……」


「決まっている! 今は目障りな翠竜が潜んでいる!! 今攻め滅ぼして、この大地全てを凍土に埋め尽くす!!」


 なんで月に追放されてないんだコイツ。

 いやわかる。

 翠竜にご機嫌うかがいする程度の分別があるからだ。

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