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百十五生目 蝕力

 爆散した頭部を持っていたショートギアは後ろに吹き飛んでそのまま崩れ落ち倒れる。

 連射は出来ない。

 地上に降りてから体勢を立て直して排莢した。


「次!」


 また構え放つ。

 当たったショートギアが何かしようとしたがそれより疾く粉砕できる。

 当たり前だが撃つのも衝撃もイバラにたくしているので私自身は元気に近くのロボットアームを蹴り飛ばしている。

 さすがにつよいので通常攻撃ではそんなに削れない。


 魔法で拘束しまとめてつぶしたあとは武技を積極的に振るう。

 イバラを舞わせて襲いかかり爆破して。

 剣ゼロエネミーが巨大な肉厚剣となり大回転し。


 銃ビーストセージが雷鳴と共に稲妻のような弾丸を放った。

 武技たちはあっという間に1つの穴を作った。


「よし」


「走って!」


 私が言う前にクライブは一陣の風として駆ける。

 さすが他と合わせるのが得意なだけある。

 おそらく彼の本質はそっちなのだ。


 ただクライブは性格的に他者と合わせるのが難しいタイプ。

 なんとも難儀だ。

 あっという間にスターの場まで踏み込み飛び降りる。

 スターの周囲の熱はさらに増しているらしくクライブは目を守るように顔を腕で覆っている。


 そのまま飛び降りつつ壁を蹴り次のハッチを探している。


『クライブ、聴こえる?』


『ああ、念話か』


『だいたいこのあたりに、それらしいハッチがある!』


 私はスキルでイメージ共有しどこまでも深くなっているスター本体のうち1つポイントを光らせる。

 クライブは何も言わずそちらへと落ちて駆けていく。

 もはや壁を走ってるかのようにも見える動きだ。


 やはりクライブのいるスター本体部分付近はあまり攻撃が出来ない場所らしい。

 散発的にショートギアやロボットアームがいるだけで射撃もない。

 クライブが適度に無視しつつ駆け下りるとしっかりポイント部分にメンテナンスハッチがあった。


『……お前、よくそこから見えたな……まあいい、入る』


『よろしく!』


 ハッチに入り込み数十秒。

 サッと出てきたクライブがハッチを閉じて脱出。

 また爆発して大量の蒸気があちこちから溢れ出した!


 クライブの追加の怪我はそこまで大したことないが蒸気を浴びせられれば別。

 肺から気管支ひととおり焼くような熱を受けるわけにはいかず素直に私達の近くへ戻ってきた。

 それでもこっちすら蒸気がでて茹だるような暑さなのでシャレにならないが。


 灼熱といわれるだけあるこの状態。

 とにかく各々の体を魔法で冷やし続ける。

 水もぶっかけ追加で塩もなめさせた。


「グヌオオオオォオォォォォ!!」


「まったく、冬場に熱対策するはめになるとはな……暑い」


「暑いよぉー、まだ倒れないよぉ〜」


 やっと半分程度だよぉ〜。

 実際スター自体を斬りつけている回数は少ないので『もう』半分ではある。

 しかしうだるような暑さの中絶え間なく来る蒸気と攻撃にしんどさやダルさが増してきている。

 多分このままだとどっかで倒れる。


 ただしそれは戦闘中の話ではない。

 また新たに生えたロボットアームだの銃口だのミサイル口だのを見据える。

 あれら全部破壊して次に繋げる!


 レベル56に上がる。

 暑い。強くなる。本当にそろそろ倒さないと。


「気温湿度、危険水準。排熱や魔法変化が間に合っていない。早急な対策が必須」


「ローズオーラ、もっと冷やせないのか?」


「冷やし続けててこれ! 氷魔法だと干渉しあって大した効果もないし……!」


「リスクをとって、攻めるか」


「……まさか!」


 クライブは巨人の指輪に祈り力を引き出す。

 さらに道具袋から明らかに劇物そうな色を放つ怪しげな宝珠。

 それを掲げると彼の体を黒い(エフェクト)が蝕みだした。


「ぐっ……!」


「なんか生命力減ってない!? それ大丈夫なの!?」


「リスクの分の働きはする」


 神力がバリバリ出ているものなんですが!

 "観察"したかったがすぐにしまってしまった。

 それに攻撃も激しくてそれどころではない。


 効果はクライブが剣を振るえばすぐに現れた。

 黒い刃の(エフェクト)が広くあちこちに飛散しはじめる。

 剣を振るうたびに現れるそれは攻撃の追加として発生しまくる。


 ただし……放たれるたびに生命力を削って。

 刃たちはしっかりロボットアームを刻んでいるので威力は申し分ない。


「うわ、今回復を!」


「待て、これは回復で効果が切れる。しかも再付与には時間がかかるからな。このまま倒し切る!」


「わ、わかった! 今度は私も無理矢理にでも破壊しにいく。これで決めよう!」


「ああ……力量はましても、技量は変わらないことははっきりしたしな」


 クライブが片手で構え直す。

 そして僅かな命を輝かせるかのように大きな剣を振るい出した。

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