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百八生目 対立

 旧王都を鏡写ししたかのような世界。

 その建物外1つの屋根から行けるような高台にそれを見つけた。


「凄まじい敵の数……コアだ!」


「蹴散らします!」


 淡く輝いている何かからドンドコ敵が生まれている。

 エネルギーが収束して光が敵のカタチになるようだ。

 なんでこんなものができてしまうのか……というのは諸説ある。


 冒険者にとっては倒すときにたまに残る素材たちが手に入るお宝みたいなものだ。

 世にはびこる邪悪でありつつトレジャーでもあるとはなんとも皮肉だが。

 諸説で好きなのはエネルギーの膨大さの処理でうまく世界的に安定させるために神々が別のカタチに変えて世界に還元した説。


 古代の神に聞けばわかるかもはしれないがとりあえず今は不明だ。

 とにかく今は壊すのが先決。

 開いた場所に着陸し新たにうまれたやつらをイバラを振るってソニックブームで吹き飛ばしまくる。


「よぉーし! 爆弾設置しろ!」


「わかった!」


 ジャグナーの号令に従い亜空間から爆弾を取り出す。

 台車に乗った爆弾を起動するには遠隔からスイッチを押す必要がある。

 スイッチを押す距離が一定以下だと起動しないらしい。


「置いたけれど、多分このままだと壊されるね!」


「うし! 軽く建築する、その間耐えてくれ!」


「わかりました! ブレスっ!」


「ぼう、りょく!」


 ドラーグとコロロがブレスだのビームだのを乱射して敵の数を一気に減らす。

 その間私は爆弾周りの敵を闇魔法影真帆あたりで攻撃。

 火魔法は……こわいからね!


 夜闇の上昇効果で相手をあらゆる縛りをしたあとに殴って倒していく。

 そしてジャグナーはおそらくそういうスキルだろう。

 まるで簡易に拠点でも作るかのように高速で石で出来た網の壁を作り出し組み立てていた。


 ものの1分もしないだろうか。

 戦闘の1分はとんでもなく濃密だが数を蹴散らしていたのが良かった。

 なんとか爆弾を傷つけずに設置完了。


「撤退、撤退! 残った相手の攻めくらいなら耐えられる! バラすほど頭はよくないだろうしな!」


「みなさん乗ってください!」


「撤退指示確認。自機ノーツは自力飛行で撤退」


 ノーツ以外をドラーグに乗せてもらい素早く飛んでいく。

 そうして大穴へと飛び込むその瞬間に。


「せーの!」


 ポチッとな。

 みんなで押したスイッチはガチリと重く硬い手応え。

 けれどしっかり押せた。


 直後に響き渡るのは大爆音。

 背後に衝撃の光が見えて……

 穴を通り抜けそのままドラーグは飛ぶ。


 ノーツも無事出て穴付近の顔のない敵を吹き飛ばす。

 さてどうなる……?


「うわっ」


 誰がもらした声か分かる前にとんでもない勢いで穴から光と爆音が。

 そのまま何重にもグルグルと穴周りの景色が歪んでいき……

 やがてそこには何もなかったかのように消え去った。


 いや正確ではないか。

 ただしくは境界穴が消えると同時に吐き出された多数の素材が山積みになっている。

 これはほんの少しズレた次元が消える時に中のものが排出されるから起こるるしい。


 エネルギーも物質に変わり。

 生き物はそのまま。

 顔のない敵たちは連鎖的に崩壊し素材のきらめきを残して消えて。


「で、出来たー!!」


「ん……パパ、上出来」


「「わああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


 勝鬨が上がる。

 無事勝てた……

 それが周囲からの声でよくわかった。


 ウッドロフ現場監督や他の職員さんたちも喜んで声を上げている。

 なんというか……やりきった!







 さてここの確保は出来たものの大事なのはここからだ。

 E地区確保も結局は超巨大魔導機関に対抗するものでしかない。


 ここから建設をして本格的に備える。

 どこか遠くから唸るような音が聞こえる……

 しかしまあまだ戦ってはないはずだ。


 数時間後クライブが帰ってきた。

 ジャグナー以外のみんな帰って身体を休めたりしている。

 クライブはなぜか若干ボロっとしていたが。


「おかえり。どうだった? なんだか傷が増えているけれど」


「傷は問題ない。それよりも、ひと当てしてきた」


「なんで!?」


 まだ戦わないはずだったのになぜかもう戦っている。


「相手の実力を確かめることと……気になったことがあった」


「気になったこと?」


「聞いていた時より戦力が増している疑惑がある。無駄に何か学習したらしい」


「戦力が? まさか、数が?」


「ああ。何か作っていやがった。それの妨害のためにもひと当てしたが……問題なのは、あれだけいたら近づくのも困難になる、ということだ」


「それが外に出たらもっと大変なことに……」


「そんなことはしらん。俺が受けた依頼は、お守りじゃないからな」


「うわっ」


 クライブはどこまでも冷たく獲物を見据える目をしていた。

 それは私からは遠い感情を宿していた。

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