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百A生目 剣技

「なんだか……数千年分の歴史を感じた気がする」


[ほんの一時に縮めた分わかりやすくしてある。さすがにそのまま味わうと倒れてしまう]


 1つの短いムービーをしっかり見た感じだ。

 あの時代に想いを馳せるのもいいが……

 私の身体に何か変化があったらしい。


[溶解毒の真髄 神をも溶かす毒を生み出せる。毒全般の理解と性能が上昇し毒に対して特別な力を得られる。毒全般を神の範囲に引き上げ他の毒にも干渉出来る]


 おお、"毒沼に咲く花"とコンビネーション効果のあるスキルだ。

 毒は戦闘中なかなか効かない相手が多くやっても効果的ではないことがある。

 ホルヴィロスくらい使えれば違うんだけれど……と思っていたところのこれだ。


 スキルの感覚的に耐性を貫通できる。

 正確には私がその場で効くように毒を体内配合できるようだ。

 ホルヴィロスからいろいろ教わっていた分汎用の幅がとても広い。


 レベルがないスキルなので純粋な上昇とみていいだろう。

 前までふわっとしていた毒のあれこれに関して明確に『できる』と思えるようになっている。

 私の中に遥か昔の神が携えた物語がしっかり入ったがゆえだろう。


 盾は輝きを失ってまるで眠りについたかのようだ。


[この子も落ち着いたらしい。その力は役立ててくれ。個体ローズオーラ]


「うん、もちろん……それで、その盾はどうしようか?」


[もはや役目は終えている。どのようにしても構わない。力そのものは現役だ]


「だったら遠慮なく……私はちょっと方向性が違うかなってなるけれど、他の誰かならうまく扱えるはず」


 この盾自体は小さいがそれはニンゲンが盾として使いやすいサイズの鱗だからだ。

 別に盾そのものではない。

 水が湧き出る長大なら『けん』が古代神の背中とかから生える一部でしかないように。


[自分としては彼らの思いが世界のためにあり続けるだけで満足だよ]


 フォウはニコニコ笑いながら語る。

 フォウにとって古代の者たちはあの当時の名残なのだ。

 遥か未来に起きてしまった中で孤独ではないと感じられるための。


 それで過去は『大いなる古代の神』として大暴れして。

 倒され役目を悟り復活した今ではただ『生きるモノ』としての生活を謳歌している。

 サンドボックスゲームからただのリアルになった……という感じだろうか。


 そのあと届いた特盛パフェを満足そうに受け取ったフォウは当然のように私に横流ししてきた。

 はいわかってたよ。

 わかってたけれど釈然とするかは別なんだよ!






 翌日。

 私は旧王都まで来ていた。


「なんなんだそのボードは……」


「ちょうどいい坂と雪があったので」


 私は旧王都までさっと滑ってきた。

 亜空間にしまいこみクライブと歩く。

 クライブの背には巨大な剣。

 昨日はなかったから今日はやる気ということだ。


 ふーむ歩いているのもなんとも気まずい。


「その剣って、なぜ背中にそのまま?」


「剣? ああ、これか……これそのものは魔法道具だ。無の鞘と言って、剣を切れなくし同時に剣身を保護した状態で保つ鞘のような機能を剣の持ち手につけてある。発動条件は、背につけること。勝手に浮き、追従する。詳しいことは知らんが、大きすぎる武装を持つものはつけていることが多いな」


 なるほどねえ。

 たまーに街の外では見かけることがあったのだがわざわざ尋ねるまではいかなかった。

 一期一会のときはさすがにもうちょっと実務的な話を優先する。


 便利では有るが私は剣ゼロエネミーをちゃんと鞘にしまっているしなあ。

 サイズもそんなにないから。


「で、なぜ剣の話を?」


「ああ、まあ純粋に気になったのと……剣、かなり良い雰囲気だからね、元々似合っててあの剣技は強いなと感じていたから」


「フン、なんだおべっかか?」


「いんや? さすがにあの大剣を流れるように扱う剣技、冒険者らしさが良い意味でなくて驚くでしょ。それにこうして話しているのは、到着までの時間潰し」


「はっ、素直だな……だが確かに、俺の剣技も、この剣自体も、俺の今までの賜物だ。誰にせよ、遅れをとるつもりはなかった」


「……なかった?」


 冒険者たちは良くも悪くもその武器の技術はより自分たちのスキルや周囲の協力に合わせる前提で振る舞う。

 言ってしまえば泥臭い振るい方だ。

 いい悪いではなく見栄えの話になってしまうが。


 そして彼の剣は根本的に相手に剣を振るわれること前提の刃。

 対人の刃は打ち合うことが前提なので洗礼されて美しいことが多い。

 彼のはそれだ。


 しかし……遅れをとるつもりはなかったとは?


「簡単な話だ。冒険者として戦う上で、魔物の爪や牙それに理不尽な大上段に苦しめられたことなど1度な2度じゃない。それに……冒険者にもな」


「もしかして、Xランクとの試合を……!?」


 彼は何も言わずそれが同時に肯定を示していた。

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