二百十三生目 背丈
ユウレンと合流する前にちょっとスキルを整理しておこう。
"近接攻撃8" "光神術3" "観察7" "無敵6" "峰打ち10" "魔感5→7" "鷹目3→4""止眼2→3"
"頑張る5" "変装7""ズタ裂き2""回避運動9""三魔6→7""無尽蔵の活力8""空蝉の術5""四耐性4"
"以心伝心5→6"怨魂喰い5""言語学者8""率いる者4→5""見透す眼2→4""地魔法1→2""魂の守り1→2""救急魔術師6→7""指導者2→4"
"戦士の心1→2""影の瞼""森の魔女"
こんな感じでいくつかレベルが上がっている。
色々使い込んできたなあ……
"光神術"のレベルが全然上がらないのは1番初歩の"サウンドウェーブ"ばかり使っているせいか。
わかっちゃいるけれどそれは便利でほかのはなかなか使いどころが……
次に便利な"ライト"も初期のだし。
"ミラクルカラー"での物の色変えは最近物を作らないのでご無沙汰。
あとは"インファレッド"か……
とりあえずコイツを普段から使っておこう。
"鷹目"での視界に適用して……っと。
"鷹目"での視界が赤外線ゴーグルをつけたようにみえる。
今は昼なのでちょい眩しい。
調整して……っと。
昔は使うだけで頭痛ものだったなあ。
進歩を感じる。
歩いて向かえばすぐにユウレンの姿が見えた。
ユウレンがいたのはあのおばけキノコやら目に見えて育つ植物が生えまくっている水脈と龍脈が交わる場所だ。
私と妖精が途切れてしまっていた流れを必死に魔法記述を用いて直したらなぜかこうなったところだ。
もはや鬱蒼と茂っていて中は全然見えない。
全然タッチしていないが中はどうなっているんだろう……
幸いなのはこれが大きく外側までは侵食してきていないことだ。
「おまたせ、なんだった?」
「あ、ローズ……ローズ? ローズ……よね。普段と全然違うから驚いた」
「ああごめん、"進化"して姿を変えていたから。またあとで戻るよ」
ユウレンが目を白黒させたがすぐに落ち着いた。
私が声をかけたのとユウレンが私の魂か何かを見たからだろう。
多分だけれど。
「それにしても……ローズは2足で立っても小さいのね。全身の模様がハッタリっぽくなっているのが少し面白いけれど」
「別に良いじゃん!!」
かなり背が高くなったしダカシよりも高いなとは思っていたがユウレンにさっくりと背を抜かれた。
むむむ、160センチほどあるユウレンに比べると私は140センチほどか。
4足の頃は気にならなかったが近くなると少し気になるな。
「ところでなんだった?」
「ああ、前々から気になってはいたんだけれど……」
え、何が?
ちょっとドキドキしたらユウレンが後ろを振り向く。
そこにはあの森。
「このキノコやら木たちよ。ここなんでこうなっているのかしら」
「ああー……なんでなんだろうね。魔法を書き込んだ後にこうなっているけれど」
うん、まあここに呼んだ時点でそうだよね。
ユウレンは私の言葉を聞いて何か気づいたように考え込み……
ハッと顔をあげる。
「……ローズ、ちゃんと『条件ループエンド処理』した?」
「うん……? え、なんかまずかった?」
「あー……。
作業が終わったらもう続けないようにしなくちゃあ延々とやり続けるじゃない。マズイというか、まあ異常が起きやすいのよ」
「あー……このように」
「そうね」
そういえばどうすれば終わりにするかって書いてなかった気がする……
つまりこれはやはり異常事態じゃん!
(んー……でもまえしらべたときには、イジョウって言うほどのオカシナ点はなかったけれどなあ)
アインスが言っているのは"ジオラークサーベイ"で調べた時か。
まあ異常な状態なのに安定している……または事情が変わったか。
果たしてどうしたものか。
「まあそういうわけで、ちょっと見てきなさいよ」
「へ?」
「ローズの能力で連絡はするから、さすがに何とかしてきなさいよ。私は行くのは嫌よ、虫に刺されるかもしれないし」
うむむ、たしかに私のせいではあるっぽいしなぁ。
嫌ではあるが今の"進化"している私ならなんとかなるかも。
"進化"が魔力切れで解ける前に行こう。
草をかきわけ中へとこんにちは。
足の使い方に徐々に慣れてきた。
やはり尾をうまく使ってバランス取ると歩きやすいな……
あとなんか前傾姿勢になりがちだけど背中はまっすぐの方が良いね。
そこはニンゲンと同じだ。
後は足元に気をつけて進み……っと。
正直周囲はバケモノ級の植物だらけでただの雑草であろうものすら100センチ越えは当たり前になっている。
私の頭上にはどこまでも伸びるキノコにその上には目に見えて成長している樹木たちの生い茂る葉。
ここだけファンタジー的な熱帯雨林のようだ。