九十七A生目 防衛
工場のような建物たち。
そこから上がる煙は蒸気だ。
そうここは大型蒸気機関が発達した地域らしい。
そのため非常に強い加熱が常時行われている器官が多く普通の環境ならば一瞬で蒸し暑くされてしまうだろう。
しかし壁もなく雪も降り続けるここならばどうだろうか。
ちなみに夏場でも気温20度いかないらしいし冬場は長い。
つまるところ理想的な蒸気機関の環境なのだ。
皇国でこんな蒸気機関導入したら一瞬で蒸し焼けると思う。
炎と水の魔法機関の盛大な弱点『暑い上熱暴走する』を環境で改善している。
首都はこれをぶん回すことでその機能を他の都市より何段階も高く維持している。
エコだしね。
工場で作っているのはそういった未来への物資たちや研究それにあらゆるものの量産化実験だそうだ。
詳しいことはふせられていたが創造は出来る。
いままで私達のこの世界では基本的に量産といえば同じ工程で職人たちが集まり数を造ることだった。
アノニマルースのアイスクリーム工場もカッコいいこと言ってはいるが最終的に手作りとしての品々だ。
魔法でたくさん簡略化したり安全工程を踏めてもそれは個々の能力と力とあと7時間働き続けられる根性による。
そしてこれらの工場がおそらく目指しているのは……自動化だ。
同じ規格の品々が作り続けられるのは精密品と工業品に多大な影響を与える。
ネジ1本ボルト1個規格どおり作ってもブレがあったらそれだけでやりづらくなるのだ。
それらが全部必要なものが必要な数同じに作れるのならばとても作りやすくなるものは多い。
設計図どおりにやってそのままつくれるのならあらゆるものが楽になるだろう。
そういったことが出来るように発展の前提をここで研究している。
お金と頭脳が集う力の集合体。
それが首都だ。
「冒険者ギルド行ったら誰と連絡つくかなー」
誰か来られるひとーって問いかけるとだいたいひとりふたりは来てくれる。
本格的に数集めたい場合は個別で聞き回ればだいたいオーケーを貰えるからそこで本格度を向こうにわけている。
全員仕事は有るからそういう立ち回りになる。
私だけ遊んでいるようで申し訳ないがこれでも毎日書類を振り分けてきているのだ。
だいぶ雇っているみんなのおかげで私は外に行ける。
たまに悲鳴が聞こえてくるけれどまあうん。
私は冒険者ギルドにまで足を伸ばした。
冒険者ギルドの様相も変わっている。
外から見た感じまるで鉄の城だ。
もちろん規模は城ではなく細長いタワーだし。
鉄ではなく木材だが。
それでも塗りによるメタリックと蒸気溢れるこの空間に寄って冒険者ギルドはまるで鉄の城ということ。
中に入れば王都のものと大きな設備の違いはない。
ただやはり歴史の積み重ねを感じる王都と比較すると1つ1つの真新しさや工業的なのがはっきりわかる。
冒険者たちの格好はみな寒さを防ぐための着込みばっちりだ。
私もマントで身を包んでいる。
旅人用のこれは寒空の下では防寒具として役立つのだ。
それでも薄着だがまあ平気だし。
いつも通り中でギルド員のニンゲンに冒険者証見せて中へ通してもらう。
少し待てばギルド長が来て。
あれ? もうひとり?
「ん?」
「え?」
そこにはクライブがなぜかいた。
私は休憩や探索それに他の作業やら挟むことが多いので空を飛んでひとっとびな距離でもそんなに速くは行かない。
とはいえ竜車や徒歩で移動するよりだいぶ早いが。
なので足の速い上級冒険者が王都から首都まで移動しているのはおかしいことではないが……
「まさかお前までいるとはな」
「それは言葉そのままお返しするよ」
私達は冒険者ギルドで依頼を受けて……クライブは討伐1つしか受けなかったが……冒険者ギルドを後にする。
この後向かう場所は全国政府の本拠地。
議事堂含めてある広大な土地と多数の建物がある政府領地。
別名『政府の城』!
「ひっ、ろいなあ……」
「土地だけは無駄にあるからな。ここで国全体の行末を決めることもある……だが、結局それだけでは回り切っていないのが現実だが」
政府の城は土地がとにかく広い。
生活するための全てが揃っておりもちろん仕事場の高層建築物もある。
ここだけで成り立つようにデザインされているからここの土地が自然に広大となるのだ。
必要になる場所に向かうと案外コンパクトに済む。
私達も必要にかられて1つの場所へと足を運んでいた。
そこは今回の依頼を受けるに当たって私達ふたりともいかねばならない先。
防衛省のところへと踏み込んで行った。
防衛省は国を脅威から守るための機関。
私は依頼の時点でカンで越殻者案件だと察していた。!