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八十一A生目 裂波

 ローズクオーツは細かいムゲンドクを火炎放射で一気に焼き払う。

 さっきのブレスと同じように仕組は自分の細かい粒子を飛ばしているのだ。

 それが炎をまとい大量に飛ぶので結果的に火炎放射みたく見える。


 それはまるで散弾。

 今は火をまとっているから爆弾の破片みたいなものかもしれない。

 結果としてはムゲンドクたちに大穴をあけてそこから分裂させるというわけだ。


「追い詰めましたよー!」


「ローズクオーツ、後ろ!」


 しかし万事がただ向こうをカカシのように打ち込み勝てる相手ではない。

 おそらく分裂のどこかでわざとはぐれさせ隠れていたのだろう。

 先が尖ったムゲンドクがローズクオーツに飛びつき。


「え?」


 背中から複数貫通した!

 一瞬ヒヤッとする。


 しかし。


「ああ、隠れてましたねー! 焼却!」


 一気に炎に包まれてムゲンドクたちが散らされる。

 棘の刺さっていたところにはぽっかり穴が貫通していた。


「ローズクオーツ、平気!?」


「いやー、危なかったです。ゴーレムじゃなかったら死んでいたかもしれません。問題なく動けはしますけれど、なんだかスースーします!」


「ローズクオーツ、耐久力は減っているから、回復を優先して!」


「はーい!」


 見るからに痛々しい見た目ながらゴーレムの良さを強調しつつニコニコしている。

 確かに穴が空いただけでこの世界で前線にいるものは死なないけれど。

 ゴーレムは特に平気そうだ。


 ただし生命力にあたる耐久力はガッツリ減る。

 直撃したせいでいままでの傷もあいまって半分切っていた。

 頑丈なゴーレムがこう大きく減ることこそ苦戦の証でもある。


 ローズクオーツは亜空間から素材を取り出す。

 ゴーレムは有機物生命体ではないので穴とかは自然に治らない。

 じゃあどうするかというとメンテナンス用具で治すのだ。


 本来なら時間のかかる工程がいるけれどローズクオーツは手早く自身と錬金させる。

 傷を癒やし穴を埋め曲がりをただす。

 かさ増ししているんじゃあなくて元に戻っていっているのはまるで時を戻すかのようだ。






 クライブはさらに剣を振るい増える数に対処していく。

 多少の傷は増えるが引き付けてまとめて薙ぎ払い相手していた。

 小さくなってくればクライブ程度の身長差ではクライブに勝つことはない。


 何合か打ち合えばかんたんに斬り払える。

 軽く見えてその実2メートルの大剣。

 もはや吹き飛ばされているのか斬られているのかわからない。


 おかげてクライブは囲まれずに戦えていた。


「常に自分たちの立ち位置に気を配れ。立ち止まるな、常時カバーに入れる位置を保つんだ!」


「ソロなのに位置関係とかに慣れてますね?」


「逆だ、ソロだから誰と組んでも立ち回れるように頭を常に働かせる必要があるだけだ」


 なるほど必要に応じて組むタイプと。

 そうこうしている間にクライブがついに変身すらできなくなっている小さなムゲンドクを斬り裂く。

 そして分裂せず消えた。


「……なるほど、本当にこれで倒せるらしいな」


「あれ、いつから見ていたんですか?」


「遠巻きに、お前たちが小さくなったこいつらを潰して消しているのは見えていた。走ってここまで来るのは面倒だったがな……」


 なるほどそこは見ていたんだ。

 そいや伝えてなかったなと思ったけれど大丈夫だったらしい。


「っ、くっ!」


 そして数が増えれば自然に被弾が増える。

 数が少なく大きい時さばけるのならそっちのほうが楽なのだ。

 手数というのはどうしようもない差を生み出す。


 クライブも肩にチビ毒剣を斬られながら一気に振り払って吹き飛ばす。

 そしてさらに増える。


 深くクライブは息を吐いた。


「はぁ…………だんだんと面倒になってきたな」


 もちろんこいつらによってたかって数でボコボコに殴られればクライブだって命は危ない。

 しかしクライブの技術と私の連続魔法でそうはさせない。

 とすると戦闘はだんだんとじわじわ殴られながらじわじわ消していく戦いになってくる。


 どうやらクライブにとってストレスのかかる展開らしい。

 何度かふりはらってムゲンドクを分裂させたあと初めて……剣を両手で握った。


「裂波!!」


 そうして轟音と共に踏み込むと大剣が(エフェクト)を纏い強烈に振られる。

 武技だ。

 衝撃が走り広い空間を吹き飛ばす。


 クライブの前方150度くらい全部吹き飛ばした。

 そうしてまた片手に戻る。

 いやあ……大胆だなあ。


「おい、ローズオーラ、お前も休める時作れるように動けよ。さっきからずっと魔法を放っているだろう。どうやっているのかはしらないが、あっという間に枯渇するぞ」


「ああ、大丈夫ですよ? 私は殆ど行動力が減っていないので……ただ一気に魔法を排出する量は増やせないので適宜対応を!」


「……なんだと?」


 クライブは怪訝な顔をした。

 

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