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八十A生目 分裂

 突きをほんのわずかスレスレで避けるクライブ。

 そして私にも見えた。

 この型の動きはここが隙の生まれる空間だと。


 一気に距離を詰めたローズクオーツは懐で纏った炎をぶん投げる。

 ムゲンドクはさすがに2度目は理解しかんがえるより先に動いたらしい。

 剣を盾にし思いっきり下がる。


 また炎が炸裂しムゲンドクの方に向けて爆発が広がっていった。

 剣が砕け一部のムゲンドクが分裂していく。


「さっきの光はお前か、ローズクオーツ」


 そうしてクライブは駆ける。

 爆炎をまったく恐れずにツッコミ炎を剣で斬り裂いて突撃。

 砕けた剣からこぼれたムゲンドクたちを的確にまとめて薙ぎ払っていく。


 やっぱり強い。

 そもそもムゲンドクを斬って再度くっつけさせないのは神力を纏えている証拠だ。


「邪魔だ!」


 増えていくムゲンドクが剣圧で一気に何体も別れさせられていく。

 ローズクオーツよりも効率よく捌いている。

 やっぱり超人だったよ。


 2メートルはある大剣を片手でスパスパ振るうせいでなんだか棒切れでも持っているようにみえる。

 しかし実際は紛れもなく鉄塊ならぬ木塊だ。

 常人なら両手でも運ぶのに苦労するだろう。


 私は言われた通り後方で相手の動きを見る。

 すると新たな毒剣が背中に現れているのが見えた。

 引き抜くまであとわずかといったところか。


「背中にまた剣! 反撃来ます!」


「ほう」


 そうして振り下ろされた剣は勢いでたったひとりの命を簡単に潰す勢いで。

 しかし達成される姿を見ることはなかった。

 横薙ぎに振るわれた刃が簡単に道筋をずらしたからだ。


 しかし型というのは1撃弾かれたところで次につながるようにされているもの。

 連続で振るうのは当然とされていて隙がないように横薙ぎがクライブに当たる。

 それなのにまるで地に根が生えたかのように動かず剣で受け止める。


 そして毒剣が弾かれた。

 その後も同じだ。

 5度6度振り抜かれても全てを全部弾き受け流す。


 それはまるで象をアリが捌いているかのように。


「型だけだな。お前の剣には中身がない。振り方に思想が、一念が、感情がない。だから……」


 そして……ついに弾き飛ばされ体勢が大きく崩れる。

 ローズクオーツが迫り私もありったけの魔法をぶつけた。

 大地の岩が相手を潰すように。


「この程度だ」


 チラリとそれらの攻勢を見たクライブは一気に踏み込んだ。

 空を飛べるわけでもだいたんな魔法を使えるわけでもないが……

 一気に距離狭まった時のその剣はなにものにも代えがたい力を誇っていた。


 斬。

 それでムゲンドクは真っ二つに裂けた。

 もちろん巨人のだが。


 そうして上下のムゲンドクは2体の巨人にわかれる。

 さっきよりだいぶサイズが下がったがそれでも数が増えた分危険だ。

 むしろ2体を凌がなくてはならなくなったクライブは目線を彷徨わせ対処に迷うようにも見えている。


 そうでなくてもあれはしんどい。

 すぐに剣の打ち合いが始まる。

 私が隙間に邪魔するための土や地魔法をバンバン投げつけとりあえず分断をはかる。


 ローズクオーツはひとりの元に走って全身熱しながらタックルをしかける。

 そのまんまなら大した効能はないがまさしく突っ込む火の玉。

 毒剣で防いで吹き飛ばされていった。


「余計な世話を」


「じゃあさっさと倒しちゃってください!」


「……反抗的なゴーレムだな」


「反抗的なのはあなたにだけです〜!」


 とりとめのない会話を交わしつつも攻め手は衰えない。

 クライブは乱切りして毒剣と打ち合う。

 敵は上から潰そうと振るってくるけれど何も気にせず弾き逆に剣戟に付き合わせている。


 ローズクオーツはより変わった戦いだ。

 ローズクオーツが炎を纏って突撃。

 それをムゲンドクがギリギリで毒剣斬りし(エフェクト)が噛み合いバチバチと鳴り響く。


 勢いがあるのでローズクオーツ側がそのまま押すように通りすぎ……

 ブレーキを駆けてUターン。

 そのまま再度炎をまとって襲いかかる。


 それを何度も何度も繰り返していた。

 角度やたかさをわずかに変えつつ強行動のゴリ押し。

 これに悲鳴をあげるのは毒剣のほうだ。


 10をこえる頃に毒剣がついに悲鳴をあげる。

 蒸発するかのように煙が上がってさらにはひしゃげたのだ。

 熱さに耐えられず変形したのだろう。


 当然そんな毒剣はバラバラになる。

 ムゲンドクに戻ったのだ。


「やぁっ!!」


 戻った瞬間にローズクオーツが焼く。

 焼けて分裂したのもまた焼いた。

 タックルは止まらない。


「どうだ!」


 そしてついには巨人の腹に穴を開ける。

 そのまままた燃えて分裂した。

 ローズクオーツも剣に突撃した分怪我をしているがまだまだ戦えそうだ。

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