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七十九生目 協力

 毒の刃を持つ巨人。

 それは顔が例のスライム顔のままでなければまるでニンゲンの冒険者。

 10メートルくらいあるから見間違えることはないけれど。


「こ、これは……」


「ローズオーラ様! あれは一体……」


「先程の話に出てきた形態を変えて来るというやつだろうけれど、ちょっと予想外だね……」


 おそらくは最も強いと思う相手になってるんだとは思う。

 だとすればこれは今までの強さを更新するソレ(・・)がいたわけで。

 ならばこの姿の元は……


 巨大な剣が私達に向かって素早く叩き込まれていく。

 技術もコピーするのか……!

 そうして私はとある別のことにも気をとられつつ避けようと動いて。


「邪魔だ」


 その気を取られた存在が割り込み毒剣とぶつかりあった。

 片腕で持つその大剣はしっかりと毒剣を止める。

 切り払い毒剣は逸れて地面に先が叩きつけられる。


 そうして出てきた男はまさしく筋骨隆々の姿だった。

 向こうは巨人だがこっちも大きい。

 2メートルは余裕で超えている。


 普通のニンゲンではないのは首周りにうっすら見える鱗でわかった。

 ニンゲン種の派生トランスだ。

 全身を暗いローブで包み背中に戻した剣は鞘もなく背中にくっつき浮いている。


 黒髪赤目のその男はこちらにも振り返らず巨人ムゲンドクを見据えていた。


「俺の猿真似か」


「「ああ〜……」」


 確かに風貌が似ていた。

 "観察"!


[リザルナLv.55 越殻者(エクシーダー)]

[リザルナ 個体名:クライブ ニンゲンのトランスの1つ。爬虫類としての力を取り入れており反射神経が優れている]


『うわあ、彼もエクシーダーだ!』


『えっ、すごいですね!?』


『だいぶ凄い。ニンゲンでそれってことは、おそらく……神級装備に認められている』


 神の力を纏い自身の格すら引き上げる。

 それがニンゲンの出来ることだ。

 ただしなによりもその神の装備に自分を認めさせるのが凄まじいのだが。


「それで、お前たちは何だ。こいつは俺が狩っている途中だ。俺の獲物に手を出すなよ」


「もしかして、5人の冒険者を助けたのって……」


「ああ、なんかいたな。撤退するようだったから奪った」


「……王都のギルドで高ランクのやってきた冒険者で、依頼を受けずに去ったのって」


「俺の興味を引くものがなかった。ランクWであんなしけた依頼を受けても、何も身にならん」


 ランクW! 高ランクだとは聞いていたけれど!

 私はランクVなので3つ上だ。

 Vプラス、Wマイナス、W。


「質問は終わりか? だったら帰れ」


「そうもいかないんですよ。私達は救助依頼を受けていて、あの魔物が救助原因になったので1回こらしめておかないと、次から対処情報を広めれないので」


「チッ……話は後だ!」


 話を聞いているかいないかの間くらい。

 相手は突然の乱入者がさっきの相手と気づいて驚いていたようだが再度動き出す。

 毒剣を改めて振り下ろし私達は跳んで避けた。


「だから! 協力しましょう! 強敵だから、頭数揃えたほうがマシです!」


「戦えるのか、お前……? ゴーレムの方はともかく、ゴーレム使いなら、その気配の弱さも当然だとは思うが」


「あー、ローズオーラさまの悪口を! やっちゃってくださいよ!」


「自分の身は自分で守れますよ、私はランクVです!」


「……ほう、ならいい、俺の邪魔をしなければな。俺がやつを潰す、サポートしろ」


「えぇ」


 初見でサポートしろって無茶振りである。

 当たり前だが彼の動きは大剣を片手で持てるくらい力持ちということぐらいしかしらない。

 今は互いにとびまわってターゲットを絞らせないことでムゲンドクに無駄な空振りを誘っている。


「ゴーレム、相手が振り切ったら懐に入って仕掛けろ」


「ローズクオーツです!」


「ゴーレム使い、お前は全体を俯瞰してこいつの動きに気を配れ。あくまで今俺の姿をしているが、結局コイツは不定形だ」


「ローズオーラです」


「なんでふたりとも似た名前なんだ……?」


 そこにツッコまれるとは思わなかった。

 というか普通に采配しはじめたな……

 仕方ないので配置につく。


 ムゲンドクの剣技は重い剣の割に流美だった。

 多分本来の使い手であるクライブがああいう動きをするのだろう。

 重い剣をただ剛剣として振るうのではなく圧倒的な基本型の強さで剛剣になるという感覚。


 派手ではないが軽々しく振るうせいですごくスキが少ないということだ。

 優れた剣術の方は攻撃と防御に隙間がない。

 だがそれは身に染みきらない知らない者の意見だ。


「今だローズクオーツ」


「えっ、はい!」


 今までとなんら変わらぬような隙がない振るい方だと思っていたら声がかけられた。

 そうして毒剣は跳ねるようにクライブを狙って突かれ……

 身を削りそうなほどにギリギリまで惹きつけてからかわした。

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