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七十八A生目 来訪

 さてローズクオーツだ。

 私と違ってそこまで回避ができるわけではない。

 ソレに関してはレベルや経験の大きな差ではある。


 それにスキルの方向性という差もある。

 ローズクオーツは途中からなかば諦めて代わりに熱バリアをどんどん高めた。

 自身のギリギリに熱の範囲を絞り薄い膜のようにしている。


 毒液がかかると一瞬にして弾けていた。

 水蒸気爆発みたいになっている……

 しかもローズクオーツはなんの犠牲もなく無事だ。


「もう負けませんよ、ウィップ! やあっ!」


 掛け声はかわいらしいが放たれるものはかわいくない。

 腕が変化して熱の膜を纏う腕が連続で斬り裂く。

 熱で焼き切っているのだ。


 そうしてもまた2つにわかれて分裂する。


『熱でも対して受け方に変わりありませんね……』


『ほとんど事前情報通りだったね。ただ、あくまで分裂して流せるのは本体のみ……』


『攻撃に対しては炎は有効打ですよね!』


 ローズクオーツは腕を引っ込めて自身の肉体を変えていく。

 それは錬金とは違って自身の能力で。


形態変化・猫爪(モードキャット)、ニャーっ!」


 猫耳としっぽの生えたローズクオーツはその猫手から凶悪に何枚も生えた刃を構える。

 回転するだけで周囲のムゲンドクたちが5枚おろしされていく。

 生命力はまったく減っていないが数は増えまくっていた。


 ローズクオーツに攻撃がつうじないと見るやいくつかのムゲンドクは姿を変える。

 全身棘のようだが頭上に大きな棘。

 他のと違って重く尖そうでおそらく危険だ。


「わたくしを砕こうってことですかね!? そうはさせませんよ!」


 クルクル回っていたローズクオーツがピタリと動きを止める。

 足がないからこその芸当だ。

 頭のツノを突き刺すようにムゲンドクが飛んで降ってくる……が。


 ローズクオーツの姿がかき消え再度別の場所に現れるとその爪は既に振られた後だった。

 残心と共に棘を避けてムゲンドクの身体に一太刀ずつ刃が通っていた。

 一応私には見えていたが。


 簡単に言うと一瞬動きを弛緩させた後に同じ動きのまま高速で移動し……

 そのあと回転するように刃を使って相手を切り払い。

 そして着地していた。


 ゴリ押しが得意なゴーレムらしさの中に技術がしっかりある。

 普段の学びや戦いの経験が生きているらしい。

 私みたいにこの手段の効果はうすそうだから別の能力や立ち回りを……というやり方と違って面白い。


『今の技術、もしかしてイタ吉から?』


『そうです! イタ吉さんはすごいですね、もっと早く、複雑に動けていました!』


 そうだろうなあ。

 本家のような動きをローズクオーツが出来るとは思えない。

 出来ても強くはない。姿形や能力の方向が違うからだ。


 だいぶ小さくなってきて総数は当然のごとく3桁行っている。

 さすがにこうなるとほぼ乱戦である。

 さらに積極的に融合を果たそうしてきている。


 どんどん手を休めずに割いていく。

 もうある程度の数がくっつくのは仕方ないので対象を絞るのだ。

 攻撃を避けて防いでの連続だから息つく暇もない!


 転がるようにどんどん攻撃を叩き込む。

 もう避けてるのか攻撃しているのかよくわからない。

 魔法も片っ端から有効な爆散型をいくつも使いまわして慣れないようにしている。


 そうして随分と小さく浮かぶ玉のようになった時に爆破を叩き込むと……


「おっ」


『どうしました?』


『手応えがあった!』


 生命力は……わずかに減っている!

 ムゲンドクたちに正気でないなりの焦りと緊張が走った。

 これはブラフではないな。ブラフをはれるような精神状態でもないだろうし。


 さらに小さいのをゴリゴリ削るとわずかずつに分裂せずに消えていく。

 なるほどね全部本体みたいなものなんだ。

 そのかわり最小単位になるまでは本体部分が逃げてしまう。


 体がくっついていれば本体は自由に移動してすぐに攻撃を避けるが……

 最終的に逃げ場がなくなると。

 何が恐ろしいかって神力ないとそもそも切断や破壊に対して耐性持ってすぐくっついちゃいそうなところだよねぇ。


 話を聞く限りは間違いない。

 まず一般人には相手は無理だろう。


 ……一般人には。

 相手ができていたヤツ……ひとりいるような。


 戦闘はさらに進行してこのままだと無為に潰されるだけと判断したらしいムゲンドクは私達の周りから一斉に去っていく。

 追撃はするものの数が多すぎてどれかに防がれてしまって届かない。

 やがて1つに集まったらこちらの攻撃を適度に受け流しつつ変質していく。


 その姿は巨人のようなもの。

 そして背中に硬質化させた自身の毒を固めたものをまとい……

 背中からそれを取る。


「毒の、剣……」


 まるでニンゲンの冒険者を雰囲気だけ似せたような姿がそこに現れた。

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