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七十七A生目 襲撃

 ムゲンドクのいる場所が火柱と爆炎で包まれる。

 もはやさっき話してた切り株のステージ自体が爆風で吹き飛んでいた。

 普段ならもっと絞ってやるけれど今回は広くとらなくちゃいけないせいで大惨事だ。


「やったか!?」


「ローズクオーツ?」


「言ってみたくて……」


 ローズクオーツは明らかにわざと言っただろう言葉をはいた。

 そして別に爆炎の中にあろうと当たった感触でわかる。

 ……まだ無事だ。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアマァァァ!!」


 絶叫が轟く。

 こわいのはその声が一箇所から発せられたものではないこと。

 全く同質の同音量で同時に複数の声。


「これが敵の、ムゲンドクの力……!」


 ローズクオーツが改めて構える。

 ムゲンドクは大量のバラバラになった身体と顔を持ち無傷だった。

 数十ほどにバラバラになったのか。


「どこまで小さく出来るかな?」


「なるほど、多分限度があるんですね!」


 こちらに威嚇している取ってつけたようなスライム顔。

 一応声をかけてみるか。

 相手の言語に変えて……と。


「キミはあたりの環境を無為に破壊している! 安全な場所にうつってくれるなら、こちらはこれ以上危害を加えるつもりはない!」


「知るか!! 殺す!! ころす!! コロス!!」


 また一斉に返事が帰ってきた。

 やっぱり理性が半分以上飛んでいる雰囲気がある。

 意識がのまれた魔物は早めに対処しないと。


「わたくしたちが仕掛けたから怒っているわけでは?」


「怒りはそうだけど、彼の音とにおいがおかしい。目も錯乱しているし、まともに正気な状態からは程遠いと思う。そもそも野生下で不意打ちに怒る魔物なんていないし」


「そ、そうなんですか……?」


 魔物にとって不意打ちは狩りでしかない。

 元野生魔物の私が経験したのが殆どちゃんと回答できるよ!

 さて戦闘開始だ。


 わざわざ脳内でどうこう言わないが何かをわめきながらこちらに毒を飛ばしてきている。

 もうちょっと文として成り立つならともかく無理やり言葉になおしても「あばぶべぼがんごごろろろ」なんてどうすればいいのか。

 せめてヒャッハーのほうが理性を感じる。


 意味のなさない言語ながら動きは間違いなくこちらを殺しにきているもの。

 私とローズクオーツはふたつに道を別れて跳ぶ。

 跳んだ後の地面に例の毒液が殺到した。


『うわぁ……』


『煮えたぎったマグマのようにドロドロしてますね……』


 あまりにわかりやすく触れてはいけませんカラーをしている泥によりジュワジュワと木が溶かされる音とにおい。

 毒は無効化できるとはいえやっぱり浴びたくないタイプのものだ。

 多分足がとられるタイプのものだ。


 ダメージはなくとも遅くなる。

 そしてなんか肺に入れたくない毒だ……

 詰まっちゃいそう。


「おっと!?」


 そして毒を乱射してきた。

 命中率を気にしない広範囲にばらまく弾撃。

 意外と早いだけに真面目に避ける。


 なにせこちら狙いなら動き続けるだけでいいがこういうのは動いたら当たるんだよね。

 わずかに動きつつスレスレで回避していく。


「あでっ!?」


 そしてローズクオーツは軽く被弾してしまった。

 重みのせいであっという間にクルクル回って吹き飛ぶ。

 ちなみにゴーレムは痛くない。しかし痛いという危険信号は常に認知出来るようになっているそうだ。


 吹き飛んだローズクオーツは一気に加熱して炎を纏うことにより熱のバリアが生まれる。

 その熱バリアが泥を弾き飛ばした。

 その隙に体勢をたてなおす。


 私の方はなんとか避けきれたので前に出る。

 たくさんいる数を周囲に見回しイバラを振り回す。

 やはり聞いていた通り打っても打っても手応えがない。


 ただその代わりしっかり叩けば2つに割れる。

 速度を重視して武技を使わずに何十ものイバラで叩くが向こうもやられてばかりではない。

 再度くっついて毒液を吐いたり新たに魔法の気配。


 私は急いで地面をイバラでたたき反動で浮く。

 地面から魔法の草鎌が私を食らいつこうとクロスしだした。

 緊急脱出するように横に空中移動を一瞬挟んで転がる。


 草鎌を避けてそのままイバラを周囲に振るう。

 ムゲンドクはさらに分裂して増えるごとに私を囲み攻撃方向が増えた。

 連続で草鎌の魔法が来てスレスレで避けていくことでスキルによりわずかな攻撃透かし時間を生む。


 もはや草鎌や毒液に自ら突っ込むんじゃないかという勢いで転がっていく。

 私もただ転がっているだけではない。

 剣ゼロエネミーがその間にも小さくなった相手にどんどん切り掛かっていた。


 私は避けながらイバラを回す。

 食らってもたいして痛くない毒液はカスる程度は何回かもらう。

 魔法の草鎌や食中植物のアギトなんかは間違いなく危ないので全力で避け続けた。

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