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七十三A生目 成功

「このエリアにいる」


 私達はまた雰囲気の変わったエリアにやってきた。

 毒物汚染は少なくなりかわりにコケたちが青白く発光しまくっている。

 太陽光がないのにニンゲンからしても多少明るいほどと言えばわかりやすいか。


 普通のコケだの発光する生物だのの光は淡い。

 しかしそんな常識もはや迷宮の生物や魔物に通じるはずもなかった。


「すごい……幻想的ですね……! 近くに毒の魔物がいるって思わなければ、素直に感動できたんですけれど」


「仕方ないね、迷宮で魔物がいないところなんてないし。それにしてもこういうところの景色、やっぱカメラにおさめたいなあ」


「あ、アノニマルースのテレビジョンで流してくれるんですか? ああいうので家から見たいです! 気兼ねなく楽しめますから!」


「そのためにはここにうちのスタッフを派遣しても大丈夫なようにしないとね」


 記録媒体はいまだに高級かつ希少品だが垂れ流しならそんなに気にしなくていい。

 だから私がここで勝手にカメラ構えるわけにもいかない。

 ちょっと写し絵の箱……つまりシャッターカメラを使うくらいかな。


 画角をあわせて……うんこんな感じで撮れるだろう。

 少しずつバージョンを上げてきていて今私が持つものはだいぶ細かい調整が入っている。

 ピント合わせ機能は画期的だ。


 すぐに撮れるのもいい。

 現像は相変わらず暗室でやる必要あるけれどね。


「こんなに暗いところ、きれいに撮れるんですか? 前のは強い光がないとまったく写らなかったような……」


「日々進化しているからね、さあ行こう!」


 私の脳内地図もおおよその場所を割り出しイベントマークが地図に浮かんでいる。

 イベントマークは迷宮内だとおおよその位置しか示してくれないから近づいたら石を使う。

 それで見つけよう。





 そうこう考えている間にそのイベントマークゾーンにたどり着いた。

 ここからこの範囲数百メートルの場所から探し出さないと。

 ちなみに上下左右全部含む。


 この迷宮はもちろん立体的な構造のため油断すると遥かにめぐり迷った先のどこからもアクセスしづらい迷路の袋小路みたいな場所かもしれない。

 そこで役立つのが……


「この石に案内してもらおう!」


「ついに出番ですね!」


「はい、ローズクオーツ。探してみて」


「ええっ、良いんですかわたくしが持って!?」


 耳やにおいでなんとなく位置はわかる。

 しかしそこにアクセスするための道は私にはわからない。


「うん。私は行けそうな道を探るから、ローズクオーツは石の方に集中して!」


「わかりましたっ! お任せください!」


 私は自慢じゃない方の意味でなんでもかんでもひとりでやりがちだ。

 しかし部下やゴーレム達にはちゃんと仕事を渡さないといけない。

 私の数少ない直属の部下たちは訓練がてら知ってる迷宮へぶちこんで素材集めさせたりはするんだけどねえ。


 ゴーレムはなかなか難しい。

 これがリモコンで動く機械ならともかく無機物生物だからなあ。

 命令するのは簡単だが私の道具にする気はない。


 けれどゴーレムは命令され仕事をこなすのが欲求なのだ。

 そこらへんのバランスが難しいよなあ。

 疲労を感じにくいだけで耐久能力はあるしメンテナンスもいるから無理はさせられない。


 まあ今みたいに石を持って探し回るくらいなら良いのではないだろうか?


「要救助者の方ー! おられますかー! 今向かってまーす! あ、石はこっちの方に!」


 なんとかして今は仕事をこなさないと。





 意外とここからが時間かかった。

 というのも場所特定は数分で済んだのだ。

 しかしそれが様々な環境植物たちに隔たれて壁になりぐるりと遠くを回り込んでいかなくちゃならなくて。


 じゃあ壊せって? あまりに緊急でない場合基本的に迷宮の地形を破壊するのはご法度なんだよね……

 こういう時にかぎって転移や透かしが乱されているし。

 こういうのが乱されている場合ロクなことがない。


 だいたい強烈な敵なんかがわざとそういうのを乱していたりするのだ。

 私もやろうとすればできなくはない。

 ただしそれをやると私もできなくなるからやらない。


 確かにこんな環境じゃあ脱出は難しいだろう。

 というわけで到着!

 5人組の冒険者たちがバッチリ仮拠点を構えて待っていた。


「やっ、待っていたよ……」


 疲労の顔を隠しきれず同時に剃れてない無精髭の見える男がこちらに手を振った。

 キャンプ地として構えているここは安全だろうがもはや何日も帰ってないに違いない。

 他の面々も顔を出してきて無事の確認をとれた。


「お疲れ様です、救助に来ました!」


 ローズクオーツが鳴り響く石を手にそう微笑んだ。

 向こう側は一瞬びっくりしていたけれど少し癒やされたような顔をしていた。



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