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七十一A生目 転生

 ローズクオーツは前世ではついぞ狭いゴミ山の上からまともな世界の広さを見ることはなかった。

 そして今回の世界でゴーレムとなり記憶を持ちながら転生した。

 間違いなくグロテスクなことの1つである。


 これが私みたいに記憶すっとばしてちゃらんぽらんになっていたか。

 転移という宗教の絡まないような時間的な被害か。

 それこそ輪廻転生だの小説や漫画で異世界転生という概念を得ていたら平気だっただろう。


 しかしローズクオーツは違う。

 ゴミ山の上にそのような娯楽はなく。

 同時に信じた教えはその上にすら響く神の教えだった。

 ……あの世に辿り着こうと願った魂が因果悪く記憶保持転生するとはなんとも悪趣味である。


 そこには冷徹なこの世のしくみという単なるランダム性が込められている。

 世界にはあらゆる仕組みがあり同時に干渉しあいそれぞれが勝手勝手に動き回る。

 なので行き着く先に行くという『概念』を持った場所に行き着くこともあるだろう。


 同時に誰も望んでなくてもたまたま完全に別パターンの『概念』に飲まれることもある。

 今回のはそれだ。

 ニンゲン含む単なる生命たちでは神々の『概念』に逆らうことはあまりにも難しい。


 つまりは信じていたのに救われなかったのが前世からゴーレムとして生まれたまでの人生だった


 そしてなんか開き直ったローズクオーツは娯楽というものに大ハマリしてしまった。

 なんで?






 私の場合は「この状況から生き残りたい!」が原動力になりここまできたがローズクオーツは「生き残ることから解放されて好きなことをしよう!」だったのだ。

 切り替えの強さと早さは前世の生存戦略ゆえだったらしい。

 なってしまったんだからまず今を考えようと言葉にすると簡単だが割りと難しいことをやりとげたのだ。


 私が知識で引っ張り出して脳内再現さえできれば全部ローズクオーツたちに共有できる。

 それを利用して見る娯楽遊ぶ娯楽の他に様々な知識と記録を共有。

 ノーツは料理書をローズクオーツは教科書からアニメまでひととおり。


 そうして文字を理解して文を読む面白さと絵を堪能する部分と未知なるゲームという遊びに馳せる思いと。

 あとアニメの原作という話で小説(ラノベ)に深くハマった。

 自分と境遇が同じだからだ。


 もちろん関係のないファンタジーや21世紀あたりの現代系それに少年少女系。

 青年漫画もチラチラとみつつ意外と恋愛系は多めに。

 それらを踏まえて異世界ファンタジーなんかを見てどんどんハマっていったようだ。


 便利かと思って追加した機能に記憶されている本の索引検索できるようにしておいた。

 気になる単語や言い回しを検索駆けてその本を読める機能。

 ゴーレムたちの記憶の中専用だがそれでまだ見ていない本を見つけ出し私に依頼して記憶から引っ張り。


 それをまた読むことで元ネタや意味合いを知る……

 そういったループで面白さの螺旋にたどり着き。

 やがて自分の立ち位置を悟ってしまったらしい。


 狭い世界ながはしっかりと幸福だと思っていたローズクオーツが出した答えとは……


『ゴミ山で暮らしていた自分が異世界転生したら何も困らないゴーレム生活でした! 〜チート能力無限変形でかわいく無双します〜』


 だった。だったじゃないんだが。

 まさかの結論に達した結果この世界の主人公は自分だと確信したらしい。

 人生の主人公は常に自分みたいなところあるから啓発的には良かったんじゃないかな……?


 私はあれだよ……なんか潤滑油的な……


 ローズクオーツは努力のモチベーションがメチャクチャ上がり楽しんであれこれこなすように。

 前はもっと私によりかかって仕事をこなしつづけることで不安を拭おうとしていたが……

 どうやらうまい具合にこの世界に馴染んできたらしい。


 そして今。


 私達はエリアを抜けてあまりに深い森の中に入り込んでいた。

 私の前ではローズクオーツが踊っている。

 正確にはダンスじゃなくて……


「これで! まとめて! ふっとべ!!」


 ローズクオーツは群がっていた花の魔物達を鎌状の腕でまとめて吹き飛ばした。

 わあつよい。パチパチ。

 拍手したら照れて喜んでいた。


 うんクオーツはメチャクチャ強くなった。

 なによりも本人の慣れだ。

 戦闘に必死さがない。余裕を持ち常に俯瞰して戦場をみているフシがある。


 それでいて油断もない。

 油断しているものが張り付きして連続で攻撃などするわけもなく。

 だからこそ"峰打ち"を使ってみんな殺さず終わらせられている。

 だいぶ奥まで来たけれどこの調子ならどんどんやれるはずだ。


 私自身はクオーツの活躍を目に焼き付けないとね。

 褒めるレパートリーを増やすのだ。

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