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六十六A生目 炎上


[アチャカリ 自らの体ごと森を燃やす。しかし自分は身体を癒やし続けて最後まで残り、焼けた森から栄養を独り占めする]

[自爆 個体が得た二つ名。自身が爆炎に包まれ相手を倒す様を評した]


「ダハハハハ! さあさあ、お前みたいな弱そうなやつは、糧になれ!」


 なーるほど丁度調子に乗りやすい強さになった時期に面倒な能力引っ提げている魔物と。

 言葉もわかるようになった。

 相手は(エフェクト)で釘を出すとそれを自分に向かって放つ。


 うわ……そういうタイプか!


「伝われ、痛みを!」


 一瞬にして(エフェクト)で私とアチャカリの間にラインが生まれる。

 呪いなら反転できたのに……!

 これは相手自身の強化だ!


 相手自身が『周囲に痛みを伝える』強化を行った。

 私が出来るのは弱体化や妨害の対策だ。

 もし『刺した相手に対し痛みを流し込む』という効果なら反転できたのに!


 しかも厄介なことにその能力強化を解けそうな魔法がない。

 "観察"での感覚でわかる。

 特殊すぎるからなあ!


「そして、ボーンファイア!」


 流れるように枝腕をこすり合わせると火花が散ってアチャカリ自体に炎が一瞬で着く。

 本来なら纏う(エフェクト)だろうところを物理でもやしている。

 観たからわかってはいたけれどちょっとどこかかおかしいんじゃないのコレって言いたくなる。


 そしてゴリっと削れだす私の生命力とまるで平気そうな向こう。

 いやいやいややばいってこのコンボ。

 私だけ全身焼けてるダメージ入ってるんですけど!?


 私は火のダメージを無効化するのにこのダメージは『敵が負ったものを勝手に押し付けられている』もの。

 1秒単位でダメージ入ってるから高速で思考を回している。

 とりあえず突破方法としては……


 その1は1撃で倒す。

 相手が耐えられるより過剰なダメージを入れて倒す。

 ただ問題が有るとして倒しきれなかったら私がダメージを負うのと相手が気を失ってスキル効果が消失するか不明。


 ミスった場合の代償は私の命。

 割に合わない。次。


 その2はアイツの自力回復効果を無くす。

 あれのせいでどのようにやっても上回られるというのがズルいからだ。

 ただ魔法じゃなく自前の回復力ぽいんで回復禁止スキルとかもってないと厳しいんだよね……


 その3はこのラインを消して攻める。

 ただ既に杭は消えちゃってるしどうすりゃ消せるかが不明。

 こうどこぞの悪魔のように相手の強化を全部ふきとばすとか私出来ないからなあ。


 考えて現実的なのは3と判断。

 強化なのに私への効果が距離無限時間無限とは思えない。

 そんなに長い間やり続けるスキルでは元々ないだろうし。


「逃げるが勝ちよ!」


「何!? お前言葉がわかるのか!?」


 何が言っているアチャカリを無視して駆ける。

 ただアチャカリ側も黙って逃げられるのを見送るわけじゃない。


「って逃げんな!」


 燃えたツルを私に向かって素早く打ち出している。

 元々拘束するつもりだったらしく動きが早い。

 腕と脚に巻き付いたのを素早く払おうとしたが巻き付いて離さない。


 引っ張って言ってしまうのは不本意だから……


「なっ!? オレのツルを!?」


 剣ゼロエネミーが飛び出しスパスパと切り裂く。

 まっすぐ張っているツルは斬りやすいよね。

 斬ったのは剣ゼロエネミーの力だけれど。


 あらゆる武器の鍛錬をリビングアーマーの師相手にこなしていて技術は圧倒的に増している。

 元々ゼロエネミーが補助してくれて棒振りが様になっていたが今や私の技術がゼロエネミーに反映されている。

 さっと跳んでその場を離脱できた。


 そもそもどうやって燃えているんだ。

 油分の中に酸素でもあるのだろうか。

 だとしたら酸欠による不燃も狙えないなあ。


 そんなこと考えていたらラインが途切れた。

 相手が木々の間に紛れてしまった後に途切れたので距離はかなり必要。

 当然このままでは双方攻撃できない。


 攻撃が届かないとやりようはない。

 なので"千里眼"と"見透す目"を組み合わせ壁みたいに大きな巨木を見透かす。

 中に沢山の階層とリス魔物が仲睦まじく暮らしている……けれどそこじゃない!


 さらに向こう側にえっちらほっちら移動しているアチャカリが見える。

 ちなみに私に比較すれば遅いだけでこの空間をツルを使って移動するので存外速度はある。

 数秒待っていたらまた私が圏内に捉えられる。


 あとさっきみていた限りでは痛み分け効果は純粋な距離であり障害物は意に介してなかった。

 視界も悪く銃ビーストセージは不向き。

 だんだん戦い方が脳内で組み上がってきたぞ。


 私は一定距離を保つように葉の隙間を縫って駆けた。

 よし魔法セット!

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