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六十四A生目 義務

 私は受付に冒険者証を見せて早速奥に通してもらう。

 ぶっちゃけ私が掲示板の仕事をすることってめったにない。

 あそこは地元の冒険者たちが仕事するために貼られているのがほとんどだ。


 そして私はというと奥に通されギルド長に会い挨拶しこう聞く……というのまで慣例としてしなくてはならない義務にある。


「塩漬けされたり、緊急性の高い依頼はありますか?」


「それだったら、こっちだ!」


 向こうも高ランクがふらっと来ることの意味合いは理解している。

 積まれたいくつかの依頼は王都のこの活気でもどうしようもない依頼たち。

 ちなみに単に人気なくて下水の住み着いた魔物と動物掃除してないみたいなものは当然ここにはない。


「どれどれ? 討伐1枚、素材集め3枚、救援1枚、場所確保1枚ですか……」


「お、手早いね。キミはローズオーラさんの付き人ゴーレム? 他では見たことのないような雰囲気だけどよ」


「ハイ! おまかせください!」


「いい子ですよねー、クオーツ、詠み込むのががメチャクチャ早くなったよね!」


「え、えへへ、そうですかね?」


 ゴーレムは褒められると3大欲求クラスの満たされがあるらしい。


「依頼はどうしようか……討伐はいつも通り任せる相手に仲介するとして……」


「やっぱり救援依頼は急いだほうが良いですよね? このエリア確保依頼は……山の開拓をしたいけれど、住み着いた魔物がやたら強くて大変みたいですね。移動お願いできそうですかね」


「だったら場所確保依頼はアノニマルースのいつものみんなに頼むことになるかな。素材は道中でなんとか稼げるかな?」


「この1つは難しいかもしれませんね。あ、でも確か手持ちで似たようなもので代用できたような? 倉庫に確認とります…………とれました。倉庫にありますね」


 今クオーツが脳内で検索した。

 正確には脳ではないがゴーレムの頭脳部なのでまあ脳であってる。

 倉庫の情報をクオーツとリンクしてあるらしい。


 倉庫内に観測だけ出来るクオーツの子機みたいな観測機ゴーレムが置かれている。

 そこで情報は整理されているので一瞬にして把握出来るようだ。

 一般人がやれば情報過多で気絶する。


「すでにあるんなら、後で搬入してくれればいい。依頼の方、よろしく頼むぜ。片付けられるものは片付けないとな……なにせ、寄ったやつが必ずこなしてくれるわけじゃあない」


「あれ、もしかして私達の前に誰かが?」


「ああ、まあほんの数日前な。そいつは寄ったものの興味のあるやつ以外は受けないタイプで、性格も気難しくてなあ……」


 ギルドマスターの顔が苦笑にゆがむ。

 実力がある冒険者は誰であれクセが強いものという話は聞いたことがある。

 私もクセは……うん……強いね……もう生まれからしてね……


 そして私はギルドマスターに依頼受諾を告げて……おっと!


「忘れてた! ギルド長、私の身分で高給市街や王城へ出入り出来るようになりますかね?」


「ああ? まあ、出来るできないで言えばできるな。ただ面倒なトラブルが起きないよう一筆かけるが、

それまたなぜ?」


「今世界的に起こっている事件の捜索のためですね。1つでも見逃しがあったら困るので」


「……ああ、人形関係か。わかった、書いてやるからその間に別のことしてな」


「ありがとうございます」


 向こうも深くは追求しなかったが察したらしい。

 苦笑いから完全に苦い顔をした。

 私達は苦笑いをかえすしかない。


 その後は空いた時間に依頼だ。

 救援は迷宮に潜ればいいのか。

 王都から竜車で半日以上らしい。


 つまるところ夜は泊まる計算なため普通に行ってたら行きだけで1日だ。

 そんなにかけてられないので走っていくのは前提かな。


 私達は外に出て歩み人混みに紛れながら話す。


「私は走っていくから、クオーツは後でワープしてきて。クオーツはその間に……」


「倉庫から取り出してきて、冒険者ギルドに依頼分納品するんですよね。わかりました!」


「うん、助かるよ」


「にへへ……」


 キュートらしく身体をくねらせる。

 ……クオーツの魂は男なのか女なのかソレ以外なのか聞いたことないし今後もそっとしとけばいいだろう。

 それがいい気がする。







 そして私は王都の外に出てひと目のつかないところまで来る。

 4足に戻って後ろ爪先を地面で叩く。

 さてさて?


「方角は合っている、あとはつど修正すればいいかな。場所だけ間違えないようにしなくては」


 速度が速ければ速いほど角度がズレたときに致命的になる。

 いやたまにやらかすんだよね……現在値を脳内地図で見直したらいつの間にやら間違えた方向突っ走っていたことが……

 全部平地ならそういうことも少ないんだけどね。


 私は軽く脚に力を込めて……

 次の瞬間には弾丸の如き速度で飛び出していた。

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