六十二A生目 二所
くるんくるん回っている間に敵の攻撃を剣ゼロエネミーで弾く。
メチャクチャ楽しいかもしれない。
倒すだけなら直ぐなんだけどなあ。
最後にふたりから来た剣を弾き飛ばすと綺麗に敵の背後に回り込また。
「師の試練である、敵の攻撃を何度も弾き通せっていう訓練、面白いけれどさすがに相手は弱すぎたかな……?」
「な、なんなんだ、なんなんだ!?」
「当たらない、1撃も……!」
「なんでこんな弱そうなやつに、剣が通じねえ!」
「も、もう腕が……!」
どうやら相手は心が折れかかり腕が疲労であがらないらしい。
うーんまだ始まったばかりなのに。
柔軟な体力がないようだ。
私は剣ゼロエネミーを軽く振るう。
「ひいっ!?」
「じゃあ、反省する準備は良いね。盗賊に身を費やす原因はあったんだろうけれど……それはそれで、罪は罪。牢屋の中で反省するといいさ」
「ま、まてっ、やめろっ」
「そうやっていって、いままでやめた略奪はあったのかな!」
そうしてずんばらばったずんばらり。
つまるところ一瞬にして斬り伏せた。
よし!
一瞬にして血を胸から噴き出し声も出ず倒れ込む8人。
同時にすぐ回復した。
もう身体は平気なはずだ。
ただ気絶はしている。
今のうちにしばっておこうっと。
私は剣ゼロエネミーをしまってとげなしイバラで拘束した……
今日は比較的いつもの感じだった。
わざわざ思い返すこともないだけで戦いはいつもつきまとう。
ああいう悪党退治もね。
修練はまだまだあるけれど肝心の仕事が進んでいない。
世界では随分騒がしいもののこっちの人形たちの気配はパタリと途絶えてしまった。
一応理由はある。5大竜が本格的に人形の神に対峙したからだ。
どんどんと増えていた人形の被害だが各地に謎の対抗勢力が生まれた。
彼らは世界規模にして同時に名乗りを上げた不可思議な勢力……として認識されている。
名乗りを上げたわけではないけれど強烈なインパクトを残しているため『レジスタンス』と呼ばれている。
各地でレジスタンスを名乗る人員を募り人々は寄り添い合い魔物たちは人形の魔の手から逃れる。
有名な蒼き探偵や酒場の者なんかが声をかけ立ち回っているらしい。
そして危険な場には『朱竜様の名の元に』とする3人組を筆頭に活躍しているそうだが……朱竜って神使はいなかったような?
緑を纏った者たちがたくさんの兵站や回復資源を確保し。
銀を身に着けたものたちは非戦闘民を守る結界をしいて。
金を身に着けたものたちはこれまで何も通じなかった人形たち相手に致命打を与える武器を運ぶ。
不可思議な彼らに首をかしげるものは多いものも背に腹はかえられない。
あと全員明らかに5大竜の誰かを信仰しているのが明らかさまでわかりやすかったのも功を奏した。
なおそれぞれの信仰団体は覚えのない集団に首をかしげる事態になっていたが。
そして裏世界とも言える神の世界でも凄まじい。
神々は結託した。
……これだけだと神の世界に詳しくないとこれのヤバさが伝わらないけれど伝わる面々なら絶対嘘だと思う。
5大竜の仲が良いのは周知の事実だがそれでも普段は不干渉だ。
ただ互いに利のあるように交渉するだけで。
ほかの神々に至ってはだいたい自分の司ることや場所に居座って何もしない。
というか現在残っている神はそうやって世界への影響を抑えて生きているというか。
現世の良し悪しではないところで概念を持ちそれを守って生きている。
そう書くと保守主義一辺倒っぽいけど実際はメチャクチャ多種多様なんだよね……
それこそ意思の統一など不可能なほどに。
そんな者たちが一時的とは言え手を組む。
それは異常事態そのものだった。
世界各地を同時多発的に攻撃することで各地で一斉に反感をかった。
そして5大竜が念入りな根回しをして多くの大神と協力。
それをみた小神たちは大勢の流れに乗ることで事態が悪くならないようにした。
こうして出来た神の協力路線は相手にとってかなり不測の事態だっただろう。
活動が明らかにやりづらくなり各地の連携が停滞しているようだ。
向こうのネットワークが神たちのネットワークで乱されている。
こうしてじわじわと人形の神は追い詰められているはずだ。
それでもあぶり出せ無いので厄介な相手だが。
私が出来るのはしらみつぶしに可能性のあるところを探るだけだ。
その情報はアノニマルース軍司令部からもらっている。
異様に強い反応かつ不可思議な事が起こっているような場所を探索し絞ったあとに私が行く感じだ。
この大陸であと2箇所まで絞れたらしい。
私が進入したのは西部で行くべきところは北部中央と東部にある。