六十一A生目 御前
そもそも最終試練を超えたところで確定で神使になれるわけではないらしい。
というより最終試練に来ること自体が条件で優勝は来る者たちの優劣にすぎない。
過去には魔物が勝ち上がることも珍しくはなかったとか。
最終試練は御前試合。
という名の面接だ。
かの神の目に止まればどんなぬ戦いであれ神使は決まる。
普通に当選者なしの年も多くあり参加側もそれ前提で挑んでいる。
大陸各地の予選をくぐり抜け選抜し本戦登竜門の試練へ挑む。
それこそが誉れになっている。
……うん、これどう考えてもこの世界の世界的競技選手権の雛形だよねえ!
「それで、目的は……」
「うむ、最終試練に挑む者を増やしすために、儂の試練を最終試練以外一通り試してほしいんじゃよ。最近の者の意見を聞きたい。次は大々的に変更を打ち出し、参加者を呼び込むつもりじゃ」
「了解。データ解析モード」
「私は『一般』の参考にはならないので、そういう解析しつつ訓練出来るように、この子に任せますね」
「ふむ! 鉄の人ノーツか! 儂はしっかり受けてくれればそれでいいそ」
「こっちは依頼を受けつつ、実践的に鍛えさせていきますからね」
こうして契約はなされた。
そのあとノーツは420km以上の非常に困難と闘いの道のりを走らされれ国境やら紛争地帯やら現代では通れないまともでないコースを活かされ長文の文句が神に届けられるのだが……
というか昔と様々な地理と事情が変わりすぎてこんな道のり超えられないってことが判明して……
さらに挑戦者の過去……今回は何故か私の過去戦った強敵の記憶をもとに再現された敵と戦わされ。
しかもそいつらはパワーアップ済みで。
しっかりノーツが生きがいの仕事としてやりとげるまでやるのだっが……
それはまた別のおはなし。
私はノーツを置いて別の場所に転移した。
そこは翠の大地でいくらか進んだところ。
各地を流しながら少しずつ進みなんとか人形をけしかけた神の痕跡を探そうとしている。
旅の間にはいくつもの出来事があったものの人形神に繋がる手は見つからなかった。
なかなか遠くまできたもんだけれど大陸なだけあって広い。
さらに独自文化が多く私も冒険している間にあっという間に時間がすぎる。
「へへっ、姉ちゃんひとりかい?」
「おおん? ひとりだと危ねえぞ……? 俺たちみたいなのがいるからなあ」
街の外には無法地帯がどうしてもある。
正確には無法地帯だと思いこんでいる輩がたむろっている。
そんな奴等が火を囲み廃墟のような家の近くでゴロついていた。
「キミたちがここいらの盗賊で間違いないね?」
「ああ? まあそうだが、わかったてて近づいていたってのかあ? おいおい、まさか俺たちに惚れたのかあ?」
「仲間になりにきたって雰囲気じゃあ、ねえよなあ」
「もちろん、ちょっと近くまで来たから倒しにね」
威圧して勝っても問題ないけれどちょっと身体を動かしたい。
こういう輩って一回しばかないと反省しないしね。
私は剣ゼロエネミーを亜空間から取り出す。
静かに構え敵があわてて抜剣する。
「なんだと! やっちまうぞ!!」
「「おおっ!!」」
私はドタドタと向かって来る盗賊たちを見定める。
なんやかんや私を囲むように盗賊たちは連携を見せた。
彼ら感覚であっという間に取り囲み包囲陣が完成する。
「さあ、逃げられねえぜ……!」
「そっちこそ、逃げないでよね」
「おらっ、せめて泣いて喚いて慰み物になったもらうぜ!」
ひとりが動き出し剣を私に向かって振るう。
錆びついた刃はずさんな管理かはたまた血錆か。
どちらにせよ関係はない。
私は剣を下段に構え跳ね上げる。
それだけで相手の剣は大きく跳ね飛ばされ胴ががら空きになる。
「斬らないように、弾く……」
「な、なんだ!?」
「スキだらけだっ!」
私が背後を向けた方から来た剣を丁寧に添えて弾く。
するとやはり力が綺麗にはじけて腕ごと大きくのけぞる。
「斬らないように……」
「うらっ!」
「弾く!」
「があっ!?」
また別の相手が来たので弾く。
その次も弾く。
まさしく連続パリィ。
周囲にドンドン募ってくるが木にせずパリィ。
いくつもの方向から同時に来る刃を身を翻してパリィ。
もうメチャクチャになって攻めてくる突きなんかも出来得る限り惹きつけてパリィ。
「ぐえっ」
「がっ!?」
「ふざけっ!?」
「どうなってる!?」
8人かな? まあまあな規模の盗賊たちだったようだ。
商人から護衛の通行料金と称して強制的に物資を一部せしめるタイプだ。
規模が大きい商隊ならともかくソロなら割と狙うだろう。
彼らからしたら踊っているようにしか見えない私に剣が当たらないのは実に不気味だろう。