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五十九A生目 財宝

 私はなんとか沈没船から価値のあるものを引き上げる作業を行えた。

 個人では無理なので応援を呼んで。

 たくさんある沈没船で価値のあるものを回収しきるのにかなりかかった。


 おそらく海の神にとってどれが地上の民に有用なのかがよくわからなかったのだ。

 海の民にとっては沈んだ船は良い暮らし場所だが。

 私達にとって価値のあるのは積まれた財宝の方だった。


 歴史的価値の有る保存品である船首と船の所属を明らかにするもの。

 個人の所属を明らかにするもの……なおほとんど見つからなかった。

 わかりやすい金銀財宝……これに関しては驚くほど見つかった。


 資材などの積荷はダメになってるのと使えるのと半々。

 食料などの消耗品は当然だめになっていた。

 工芸品や武具などの類は比較的保全のために魔法をかけられたりしていて無事なのが多いが……


 それはそれとして無事でなくても引き上げることにした。

 ここらへんは国家の貴重な歴史文化財になる可能性が高い。

 ほかにもそんな感じで選別を行いワープや水からの保護を何度もやりつつ水の引き上げ作業をした。


 最初降りたあの深いふかい水圧の中……ではなく。

 空から陽光降り注ぐレベルで明るい環境で。

 崖ぎわの浅瀬にそれらが転移させられていたのだ。


 不要な船体はそのまま再度海に沈めた。

 あれらは海に生きる者たちのすみかだ。

 地上にあっても本当に処分へ困るんで……


 細かいことは後から精査してもらうとして。

 これの報告を冒険者ギルドへして……

 再度増えていた神依頼に閉口した……








 金銭にはそこまで困っていないのでギルドのほうで手伝った魔物たちにうまいことわけるように伝え。

 だいじな文化財とかはロマンがありそうなので精査を約束してもらい。

 私としては直接関係ある神使の石に向き合った。


「誰に渡そうか……」


 現状神使化しているのはジャグナーとアヅキ。

 イタ吉は渡してあるが未覚醒。

 自力で神力を振るうのはドラーグ。


 ユウレンやウロスさんそれにグレイくんやらアカネたちニンゲン組は気持ち的に優先されるべきではない。

 彼らは彼らのやりたいことがある。

 託す相手……とはまた違うかな。

 言語化しにくいけれども。


 だとすると……


「うーん……」


「制作者ローズオーラ、困窮を確認。手助けは必要か」


「あ、ノーツいいところに」


 ノーツがたまたまこっちに……来たわけないな。

 私のゴーレムが1体であり魂が宿ったと言われる1体。

 巨大な身体は家屋に入れない。


 私が思い悩んでいたのはアノニマルースにあちこちある広場の1つだったのでノーツが歩いていてくるの自体は不思議ではない。

 ただノーツはその巨体さがある。

 ゆえに特別な理由がなければ基本的に車道を通る。


 つまり私目当てだ。


「私の方の悩みはいま解決したよ」


「了解、代わりにわたしの提案を聞いてもらいたい」


「提案? それがここにきた理由かな」


「肯定。現在、姉妹機クオーツが錬金術を学修中。わたしは戦闘用機体のため、余暇で料理研究をするのみ。本職としての業務を強く要望する」


「あー……」


 なるほどそれはだいじだ。

 確かにノーツは趣味を獲得した。

 料理はだいじな趣味なんだけれど……本職として戦時に備えるとかやることない。


 だがアノニマルースって基本的に攻め込まれないんだよね……

 散発的な魔物の襲撃はあるもののなんら連帯も無いので骸骨兵の過剰戦力で勝てる。

 警戒するにしてもまるで暇である。


「現場で鍛えられる分を得るタイミングと判断。基礎鍛錬による伸びが限度」


「わかった。それならちょうど良かったかな……あ、そういえばアノニマルース軍の戦いにはついていってないの? 街の占領開放とかに」


「肯定。占領開放作戦に見慣れぬ巨体はむしろ多くの混乱と統制の乱れを生むとシミュレート。軍司令部ジャグナーによると、わたしの立ち位置は秘密兵器」


「秘密兵器かぁ……まあやりたいことはよくわかるなあ」


 彼を出すと現場はロボの出現でひっくり返ってしまう。

 まだ無双出来るような能力もないし味方から斬られるかもしれない。

 だったら最初から投入しないかするとしても最後だ。


 あと市街地戦はノーツがでかくて邪魔になるんだよね。

 現代みたいにどこもかしこも車が通る前提でもないし。

 やはり投入としてはギリギリまで存在しない。


 そしてアノニマルース軍にギリギリの戦いはない。

 防衛戦のように引いたら問題のあらタイミングで戦うものはほとんどないからだ。

 結果的にノーツはえいえんと案山子撃ちをするはめになっている。


「ノーツ、ちょっと役立つがてら、さらにパワーアップする機会があるんだけれど、ちょっとやってみる?」


 返事は聞くまでもなかった。



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