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五十八A生目 海底

「ここは……」


 私達はいつの間にやらアノニマルースの広場の隅で眠っていた。

 身体を起こしさっきの出来事が夢でないかを3匹で確認しあう。

 まあベタな夢オチではさすがにないのはすぐにわかったが。


「まったく、主と我々をこき使うとは、やはり神々とは随分勝手だ」


「だな……ばっちり疲れは残ってやがる。明日もあるってのによ」


「ほんとね」


 夢オチにしてはみんな多少の熱傷や切り傷があったしなによりも肉体がしっかり疲れていた。

 まああれだけ派手にやってて夢でしたはないよね。

 というわけで治療を軽くしてその場はわかれる。


 空を見ると深い夜闇の中にほんの少しだけ向こう側に光がさしてきていた。

 私の休日は今日も終わる。

 こんな毎日がよく続くのは我ながら特別だなと笑みがこぼれた。



 家に帰ったらなぜかホルヴィロスがしなっしなのドライフラワーになりかけていた。

 こちらをちらっと見てから分神解除で帰っていったけどなんだったんだろう……?








 こんにちは私です。

 今日は翠の大陸……の海にやってきています。

 場所は最初に転移した付近から崖を降り海に入って沈んだところ。


 ここはどんどん深くまで沈んでいける。

 私も何か利点がなきゃわざわざこんなところにこない。

 ここは他の冒険者魔物たちが探索してて見つけたのだ。


 冒険者魔物たちは割りと自由にアノニマルースを介してあちこち出回っている。

 人海ならぬ魔海戦術じゃあないけれど。

 アノニマルースは町に暮らす者よりも外にいて文明に所属するという関わり合いがメチャクチャ多い。


 そんな風にどんどん把握できないほど増えている現在がここでも影響が生まれた。

 この海域の魔物がアノニマルースに所属して調べてくれたのだ。

 最初は鉱物かなにかの話だったようだが……


 私に関係のあることが見つかった。

 そのために深海まで私は潜っている。

 普通では耐えられない水圧が私の周囲に展開したバリアのような魔法をミシミシと押さえつけている。


 もちろん耐圧値は余裕なので実際のところ全くミシミシ言っていないが。

 ミシミシ言い出したらワープで逃げるからな私は!!


「そろそろのはずなんだけれど……」


 もはや周囲は真っ暗になりメチャクチャ明るくした"ライト"の明かりが暗闇に飲み込まれていく。

 マリンスノーがチラチラと降って光を反射する様が美しい。

 ぞわりと……悪寒が走り抜けた。


「入った」


 異空間の領域。

 今までとは違う世界の位置。

 そこに入り込んだのは神の力を開放している私にはすぐにわかった。


 単なる生物ではけして踏み入れてはならぬような雰囲気の場所。

 この世界にあるのにこの世界にない場所。

 いつのまにかマリンスノーが消えていた。


 ──目の前にそれは現れる。

 ──あまりに巨大なる圧を放つ。

 ──それは1つの怪物。


 深海の主。

 あまりに巨大なシャチのような。

 竜と異様するに相応しいような。


 深海にはきっとこんな恐ろしい存在がいるのだろうといういろんな想像が固まって出来た存在がそこにいた。

 その恐ろしさとは畏れでもある。

 たんに威圧的な化け物としてではなく同時に理性有る賢者のようにも見えた。


 ……自分より遥かに叡智を持つものはきっと深海のように恐ろしいゆえに。


「きたか りくの こよ」


 響くような歌うような。

 そんな声が鳴り響く。

 身体に走るラインに膨大なエネルギーがみなぎりその生物の持つ本来のポテンシャルが恐ろしい。


 ……よく彼のことを見つけられたよ。

 転移したときのすぐ近くの海なんてわからんて。


「お初にお目にかかります……けれど、依頼をされた方ですよね。近くの施設について、調査してきましたよ」


「うむ いらいを した。 そうか きこう」


「それではR.A.C.2という名前の施設で――」


 私はあれこれとあの欲望と醜さと美しさと神の力渦巻く空間について語った。

 聞いている最中楽しそうに相手は朗らかに笑って。

 やはりここまで大きく強そうだと余裕が違いそうだなと思いながら話を届ける。


「――というわけで、その神はまだまだ運営を続けるようでした。こんなところですかね、依頼の調査内容は」


「ここは なにも ない。 だから たまに はなしを きくのが たのしい」


「それは良かったです。これで依頼は達成で良いですか?」


「もちろん。 これ おれい」


 私の周りに渦が巻き出す。

 敵意のないもので私を揺らさない。

 やがて泡が晴れると神はそこにいなくって……かわりに。


「うえから ふってきたもの。 それと あつめてるって きいた いし」

 

 そこにはたくさんの壊れて沈んだ船たちが景色いっぱいに広がっていた……

 さらに神使の石も1つ。

 ……どうすればいいんだこれ!?

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