五十六A生目 雄雌
そして引力球が鎧により完全に埋まり……
バリバリと溢れそうなエネルギーが鎧に固着し。
「お返しだーっ!!」
ジャグナーが両腕振るうとそのまま敵にぶつかっていく。
大型の敵は避けようとしたものの避けきれず触れてしまって。
引力に寄って浮く。
そしてジャグナーが力を込めて両前足を叩き合わせると鎧に閃光走る。
エネルギーの均衡が壊れ一瞬にして大爆発が起きる。
そのまま大型の敵が飲み込まれていく……!
「俺たちの力に対してどうこうだったか? お前の力を何倍にして返したが、これに耐えられるか?
無理だよな」
大型の敵は耐性がない攻撃をそのまま喰らいあっという間に崩壊する。
そりゃこっちに致命傷を与えかねない攻撃だったしなあ……
増幅されて返却されたらもうメコメコになる。
「おらぁっ! 後はどいつだ!!」
そして同じく時間にして私。
私はふたりより出遅れていた。
変身するのにはわずかなタイムラグがいるのだ。
「……よし!」
多少声質の変化を感じながら足を踏みしめる。
私の肉体は4足ながら前身から外骨格のようなものが生えて覆われ頭には魔法バイザー。
今の私はロードライト……男のバージョン化だ。
尾の先についている鋭い石を意識して振る。
うんしっくりきた。
私は散々この肉体変化に振り回されてきたせいで訓練しても実用化は難しいのではないかと悩んでいた。
しかし考え方を変えたのだ。
肉体を変えたんだから精神も変えてよくない? と……
私は今精神に対して1つの仮面を被っている。
軽い自己催眠というべきか。
いわゆる接客中の自分と家でダラダラしている時の自分における違いだ。
同じ自分なのに対応する顔を変えている。
私はそれを利用しロードライトの時の自分を作り出した。
とはいえ私自身が変わるわけではない。
違和感を消しただけで。
そうそれは……
「私の力には対応したみたいだけれど、僕の力には対応出来ているかな!?」
ただ一人称を変える……きっとソレだけのもの。
それでも私はこの体とのズレを感じなくなっていた。
さて一気にエネルギータンクからエネルギーを流し込み手足から放出
。
一気に加速し近くまで迫った。
「この距離なら外さない!」
(ターゲットロックオン、相手はデカブツ……喰らえ! "私"の一撃ィッ!)
肩口から放射されたエネルギーは一瞬水のようにも見える。
しかし水色に輝きながらうねり飛んでいく水などない。
その正体を表すかのように大型敵に牙を剥く。
飛んでいくエネルギーは大型敵まで一瞬で到達し避けることすらかなわない。
喰らい外壁があっさり崩れ勢いのまま吹き飛んでいく。
まだ放出を止めない!
敵の体が浮いたのを見てから私……いや僕は反対側に軽く放出し吹っ飛ばないようにしてから……
「ファイア!」
僕の体あちこちからエネルギーを放射していく。
敵はそれに対応しきれない。
というか思いっきり食らって吹き飛んでいる。
そしてエネルギーを切らせると大爆発を起こした!
「よーし! 戦える……なら!」
僕の力は抗体に引っかかっていなかったらしい。
そのまま踏み込んでエネルギーを今度は前足とうしろ足にためて行く。
大型敵がこちらにビームを放ってくるが夜闇の中にいるためちゃんと当たることはない。
まっすぐ走ってそのまま前足叩き込む!
外骨格のようなものなので前足と爪部分は拡張されたところ。
生身では出せない勢いで殴りつける!
ゴリッと相手からとんでもない音と共に相手の体が削れる。
そりゃあ僕の力に抗体はないからね。
いくら強くとも限度はある。
そのまま連続で蹴り込んでいく。
いわゆる格闘術だ。
後ろ足と尾の位置で前足の威力が大きく変化する。
さらに今はこのなんちゃってパワードスーツによるパワーがあるのだから1撃が相手をひるませ2撃で浮かせるほどに強い。
というか"連重撃"があるので1撃は全部2撃換算になるから見た目よりヒット数が多い。
「重連牙貫! 連牙! 四足、乱舞!」
相手の装甲の隙間を狙って連続で突き。
そこから自然に繋がる2連撃。
最後に前足と後ろ足全部使って舞うように蹴り飛ばした!
最後に吹き飛んだ大型敵はもはやメコメコになり動く気配はない。
さあてあとは。
「「残り2体!」」
接近するように2体を囲む3匹。
もはやここに僕たちに叶うものはいない。
全員で囲み必殺をそれぞれ叩き込めば2体とも空を飛んでいった。
「さて」
うっとうしい小物はたくさん出てくるものの大物は打ち止めらしい。