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四十八A生目 夜闇

 おはようございます私です。

 妙にしゃっきりして起きました。

 酒は完全に抜けたらしい。


 家に帰ってからの記憶が曖昧だけれど……3時間は寝たかな?

 私は睡眠をコントロールできるのでここまで長く寝るのはめずらしい。

 ちなみに時間が足りてないわけではなく本当に1時間も……もっと短くても体と心がフル回復するのだ。


 つまり今日なんて楽しくしていただけなため本来は数分でもなんとかなる。

 脳の整理すら完了する。

 我ながら便利な体質……だがそれを利用して3時間惰眠を貪るというのが今回だ。


 そう眠るのはちょっと幸せだよね。

 特に夜眠る前より朝眠りの間の時が1番。

 私の2時間半はそこの感覚に費やされたようだ。


 さて……と。

 私がベッドから起きたのは別に体がなまるからではない。

 気配だ。


 それは闇に蠢くざわめき。

 それは死に這い寄る死神。

 それは……犬。


「考えたか? 不遜だな」


「いいや」


 私は壁の向こう側から聞こえる声に耳を傾ける。

 そして(くう)魔法"ミニワープ"で目の前に躍り出た。

 そこにいたのは馴染みの顔。


 非常に陰気な気配を漂わせる鳥の死体を背負った四足の獣神。

 私は慣れたのでなんとも思わないがしっかりアンデッド族だから慣れてない者はまあまあショックを受ける。

 彼は分神だが本体を直接見たらだいじなものがガリガリ削れるでしょう。


 そして彼の言うことはかなり独特というか……言葉足らずと言うか……必要な単語のつなぎ方がメチャクチャなので会話にあたまを使う。


「仕事だ。用事でな」


「はいはい、何かやらなきゃいけないことがあって、ココに来たんだ?」


「フン、一応な、大したことない」


「私に聞かなくても良いかもしれないけれど、わざわざ私に会いに来てくれたんだね。どんなものなの?」


「ああ」


 それだけ告げると歩き出す。

 ついてこいということだろう。

 さて……何がでるかな?






 しばらくは夜道を駆けながら会話を交わす。

 拾えた情報でわかったのは……


 ダブルフルになっているこの迷宮。

 行動力が活性化し体がウキウキする状態。

 ただこれは言いかえれば飢えた存在たちが蠢く。


 全然しらなかったがこの世界の……いやあらゆる迷宮の底には異界への門が開くことが有る。

 その異界とは冥府。

 死後たどり着くと言われる場所ではあるが実際はそんな簡単な話ではない。


 別の世界。別の法則。次元自体が違う場所。

 向こうは死が支配する世界……らしい。

 生が支配する世界のこちらの逆。


 さすがに行ったことないのでなんともいえないが。

 つまるところアンデッドがメインというか。

 精神体と呼ばれるものたちがうようよいる。


 そしてうっかり生の世界に繋がると彼らは向こうの世界で死ぬ……つまり生を受けてしまう。

 受肉した彼らは飢えを覚え門を開いてしまう。

 繋がる先はダブルフルが起こった世界。


 そして暴走が始まる……らしい。

 詳しいことなんもわからんがグルシムの説明なんていつもそんなものだ。

 直接見たほうが早いだろう。


「殺せ。鬼たちを、それだけだ」


「難しいことはともかく、攻めて来るのがいるからそいつらにトドメを刺していけばいいんだね。彼らにとって生きている状態はすごく苦痛だから、死ねば元の環境と世界に戻れるってわけね」


「長けているから、殺すのが」


「なるほど、生の世界の住民が死んだ生命を蘇らせるのが困難なように、死の世界の住民は生きていると再び死ぬのが難しいのかあ、だから生の住民が直接倒さないといけないと」


 というわけである。

 私の会話スキルを誰か褒めてほしい。

 コレで情報集めたんだから。


 アノニマルースから大きく外れて洞窟の中に入る。

 グルシムのあとを追うように影に飛び込むと……

 そこは床のはずなのに私の体は当然のように吸い込まれる。


「えっ!? ここどこ!?」


「闇の道。存在しない場、ので繋がる」


「うっそお、ここ冥府の門が開きそうになるときに、闇の道として開くけれど、普段は無いから探知できないんだ。これは私の捜し力不足だなあ……私はこういうそこに無いものとかの方面ほんと弱いな。それで、冥府の門前のしんえん(・・・・)に繋がるわけかな。ああ……呪いが強まってきた」


 闇に落ちていくほどに濃密な呪いが増してくる。

 もう落下時間的にスキューバダイビングの時間はこえている。

 物理的な距離としておかしいがまさしくそれこそが普段はない専用の場所へ落ちているということなのだろう。


 あ、呪いは平気です。

 "自己無敵"の効果でこういう呪いとか混乱とかのは全部反転させて私を強くさせるからね。

 そのまま先に沈んでいく。


 私達はその闇の中に身を溶かすように行った。


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