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四十六A生目 兄弟

 ナブシウと別れればすっかり夜。

 今日は予定があるんだよなあ……

 まだ間に合うはずだが。


 アノニマルースの外はすっかり日が暮れて2つの月がのぼっている。

 今日はダブルフルと呼ばれる二重満月の日だ。

 月の満ち欠けは周期が違うのでごく稀に2つとも満月になる。


 ラッキーという他にダブルフルは魔物たち……つまり魔法を使える可能性のあるありとあらゆる生き物が活性する。

 これは体内行動力の活性化が月と密接な関係が云々。

 つまるところ元気になるのだ。


 当然はるか昔からニンゲンたち含むダブルフルの時はお祝いごとになる。

 問題は表の世界は月が1つなのと迷宮ごとに月の周期は大きくかわることか。

 だから祝うのは主に冒険者だ。


 そのため別名冒険者の日ともよ言う。

 こんなめでたい日は当然アノニマルースの各地で盛り上がる。

 私も狙ってこの日に用事あるんだ。


 さて私は歩いてとある施設まで来た。

 外の広間に有る1つなのだがここではいい香りが漂っていてた。

 そして肉の焼ける独特な音も……!


「既にいっぱいいるなあー!」


 私が足をはこんだのはバーベキュ会場。

 たまには良いよねということで来ている。

 アノニマルースは肉食の出来る魔物はそこそこいるので需要が高い。


 ちなみに草食魔物たちはそれはそれで集まるところがある。

 肉はもちろん草食魔物品は禁じられているのだ。


「いたいた!」


「ローズ!」


「あ、ふたりともー!」


 私が駆けていく先にはふたりの魔物。

 というかわたしと似たような背格好。

 わたしの唯一のきょうだいである弟のハックマナイトと兄のインカローズだった。


 弟は相変わらず遠目に見てもモテる顔している。

 魔物があまり顔で選ばないというのがおしいくらいのイケメンだとは思う。

 兄は会うたびになんだかどんどん引き締まっていく。


 なんというか体型的には昔から骨太な感じで変わらないんだけれど……

 同じ容量の中で詰め込み具合が跳ね上がっているような。

 強い気配を研ぎ澄まし纏っているのに外に漏らしていない。


 そしてそんなふたりは今日既に肉と野菜とパイロンの実で出来た酒。

 私達が容赦なく酔える実。

 どうやらしっかり飲み食いする気満々らしい。


「ガンガン焼いちゃってー」


「2つの月がきれいだから、食ってなきゃやってられねえよなあ!」


「僕もワクワクしてきたよ〜!」


 ジュウジュウと焼ける音が耳を撫でる。

 体内の行動力の活性化……

 するとどうなるかといえばお腹が減るんだよね。


 運動したらエネルギーを使ってお腹が減るのと同じ原理。

 さあどんどん食べよう。

 焼くことでギュッと詰まった味わいと焼いた炭の香りー!


 そしてタレの野菜のうまみが詰まった味わい……!

 苦労して作られたものなだけある!

 昔ここに来たあたりで食べた食事よりずっと美味しいお肉だ!


「ぷはぁ〜!」


 お肉を食べ野菜を食べ浴びようにパイロンジュースを飲む。

 いやぁー! きくねえー!


 飲み食いして10分もたつと互いの口も軽くなる。


「というかお姉ちゃんさぁ〜、ずるいよね〜、なんだかまた強くなってない?」


「それを言ったら弟もだろう? 聴いてるぞ、自然界の体現者さん」


「ああ、確かココ最近様々な賞を総ナメしているのに、本人の姿は不明の芸術家がいるらしいね?」


「わわっ、その話は恥ずかしいって!」


 ハックは多方面の芸術に精通している。

 はじまりはツボ作りだけれど現在は絵や立体創作それに魔法芸術にカタチのない音楽なんかにも精通。

 ぶっちゃけ無双といっても過言ではない。


「ほ、ほら! それだったお兄ちゃんはさぁ、国に表彰されてなかった? 随分と感謝されていたみたいだけど?」


「ああ、あれは武者修行に出されている途中でさあ、師匠たちが行けって……」


「行け、で国を亡ぼすかもしれない大魔獣を制圧できるんなら、十分すぎるほどだよインカ兄さん」


 インカ兄さんは多人数のニンゲン師匠たちに師事している。

 彼らはニンゲン界から離れて生きている……武術の達人だ。

 そしてインカ兄さんは1番弟子である。


 卓越した技術を持ってして国を襲っていた大魔獣に立ち向かい。

 大魔獣を計算してけしかけ人々を苦しめて国家転覆を狙ったテロリズム集団を打ち壊した。

 ちなみに武術を極めたテロ集団らしくなんか世界線が違う戦いだ。


「くっそー、もっと飲め! 醜態さらしてやる!」


「なにおう〜! こう見えて僕は、お酒強いんだぞ〜!」


「アハハハ、やっぱりこうして3匹であつまるのが良いよね!」


「まあね〜、大人になって、あんまり会話しなくなっちゃったけど……やっぱり楽しいよね?」


「ココまでが長かった。だから、この先を楽しむ資格は、俺たちにあるよな」


 この世界で唯一の大切なきょうだいたちなのだから。


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