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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百七生目 影布

 現場を見届けてまた私のテントに戻る。

 いつものみんなも一緒だ。


「あの小僧から教えられたニンゲンたちが一斉に来る可能性もあるか……と思っていたのだが、実際のところは静かなもんだな」

「あの子は自分の手で殺す事にこだわっていたみたいだから、むしろ隠す気なのかもね」


 ジャグナーの話に答える。

 ドラーグが必要だと思われる点は紙にさらさらと書き込んでいく。

 つい最近まで知らなかった文字だろうに使いこなしているようだ。


「それで、一番の問題は……」

「私、ですね」


 そう言ってカムラさんが胸に手を当てる。

 あそこまで大暴れした原因はカムラさんが彼の家族の仇だと思われたからだ。

 ただこれに関してはユウレンもカムラさんも身に覚えがない様子。


「正直カムラはそこまで際立って目立った顔ではないからね。10歳ぐらいの子ならオジサンはみんな似たように見えるでしょうし、それに……」

「それに?」

「ここからは(わたくし)が。(わたくし)は創られたアンデットである以上、登録された者なら(わたくし)が誰を殺したか、ということはすぐに調べられるのです。(わたくし)の場合、ユウレン様と創造主様ですね」


 ユウレンとユウレンの師匠か……

 つまりユウレンがカムラさんを擁護するということは、根拠があるわけだな。


「本当はあまりカムラをモノとして扱うような術は使いたくないの。だからやりたくはないのだけれど……カムラ、良いかしら?」

「どうぞ、ユウレン様なら気の向くままに(わたくし)をお使いください」


 カムラさんがひざまづくとユウレンがカムラさんの頭に手をかざす。

 その間に現れた光の内容に……驚いた。

 光はパソコンのウィンドウのように多数の情報を表していた。


 ログだ。

 カムラさんのログがすべて表示されている。

 すべてと言うのは私が普段見ているログにさらに多数のカラフルな文字で行動や状態が事細かに記されている。


 外部にこうやって出させる事ができるのか!

 しかもユウレンが指で何やら操作すると情報がどんどんと変化する。


 条件を絞って検索しているのか!

 だんだんと表示されるのが殺したかどうかのものになっていく。

 ずらりと並ぶ名前はおそらく魚やら鳥やら草花それに虫かな。


 そうしてある瞬間にログに表示されるものがなくなった。

 エラーは出ておらず条件検索結果がゼロだと言うことだけが表示されている。


「種族の中で人間種に限って殺したり害したものを表してみたのだけれど……見事にないわね。知っていたけれど、とりあえずみんなにも見せておくわね」


 ユウレンが指で表す場所にどのような条件で検索されたかが表示されていた。

 書かれている内容はユウレンが言ったとおり。

 やはりカムラさんはニンゲンを誰も殺したことがない。


「よくわからないけれど……大丈夫ってこと?」

「まあ完全に濡れ衣だって言うことだね」


 ハックの疑問に答える。

 これは重要な証拠だ……

 どうにかしてダカシに見せつけられれば良いのだが。


「あの場で見せてやりたかったけれど、間違いなくその前に私とカムラの首がなくなるわね」

「それにユウレンも指名手配されていたからね……話を真実だと思ってくれないかも」


 確かに今のやり取り、色々とスキだらけになるし時間もそこそこかかる。

 ダカシが剣を剥いている段階では無理だろう。

 それにしてもやはり気になるのはなぜカムラさんがその仇と思われたか。


 ユウレンの言うとおり単なる勘違い……かもしれない。

 だがもしそうではなく間接的にカムラさんと意外なつながりがあれば……?

 ひととおりチェックし終えるとログをとじカムラさんに立ってもらった。


「ふう……(わたくし)がボケてしまっただけで実は誰か殺していたら、どうしようかと思いましたよ」

「ふふふ、アンデットなんだからそんな人間の不具合みたいなこと起こらないわよ」

「それにしても……

 ユウレン様が屠った相手も正式なやり取りを終えた末のもの。あの書類がなぜかないのは、あの時は非常に困りましたね」

「それは言っても仕方ないわよ、あのときはやれる手は尽くしたんだもの」


 やはり彼らは彼らで苦労した末の今らしい。

 とにかく私は今後の敵……ひいてはダカシがまた襲ってきても良いようにはしないと。


「……そういえば、あの子に"無敵"が無効化されて"観察"が妨害されたんだよね。何かわかる?」

「私は別に……カムラは?」

「ふーむ、あの能力(スキル)ですよね? 確か昔何かで……おおそうだ」


 そう言ってカムラさんは何か閃いたようにドラーグのもとへ向かい、紙とペンを借りる。

 ガリガリと簡単な図案が書かれた。


「おそらくは、上級能力(スキル)と呼ばれるものの中の、無許可に自らに関する情報を得ようとするものを弾くものがあると聞いたことがあります。上級に関する説明は……」

「あ、上級は知っています。私も持っているしね」

「上級の特性の方はいかがいたしましょう?」

「そこからお願いします」


 カムラさんが描いたのは『影の衣(仮)』と書かれている部分に丸が大きくかかれていて"無敵"や"観察"から向けられた矢印が弾かれている様子だ。

 "無敵"は丸に"観察"は丸を貫通して文字に弾かれている。

 丸には『下級系精神防御』と書かれている。


「上級能力(スキル)はその属するジャンルによっては下級の一部を弾きます。おそらくはそれに弾かれています。私が本でも見たことがある上級能力(スキル)にもありますね」


 それが影の衣なのか。

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