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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
命は平等されど公平であらずんば
2114/2401

二十二A生目 領主

 領主が……クライブくんがバンたちに救助要請を出した。

 クライブくんという少年が助けてと叫んだ。

 ソレだけで冒険者たちは纏う空気圧を変えられる。


「な、なにっ、なんの話を……」


「お前には一生わからん話だよ」


「助けられた恩をわたしが誰かを助けることに使う、そういうことです」


「なんの話ぃ!?」


 アリシア・ミルドレクドは叫びつつ自身の得物を抜く。

 それは細工のされた美しき細剣。

 美しさと裏腹に隠しきれない血を吸った淀んだ気配。


「妾が分からぬような、妾の含まれぬ会話を許可した覚えなどないわ!」


「へっ、会話にお前の許可がいるもんかよ!」


 ロッズが啖呵を切ったあたりで兵たちと正面衝突。

 とはいえ疲弊した兵たちとポーション飲んで士気の高い冒険者たちだ。

 最初の攻防で既に勝敗が見えていた。


 何度か切り結びあっさり相手の剣を弾き返すミア。

 そのまま相手の胴を鎧上から切り裂いてさらに連続でX状に切り裂く武技。

 吹き飛んだ兵に残心して構えるが起き上がる気配はなし。


「ぐはっ!?」

「ぎゃああ!!」

「アバババ!?」


 他にも悲鳴が上がっていく。

 最後のひとりをスタンジェルの効果で麻痺し倒れていく。

 どうやら兵士はひとり残らず倒してしまったらしい。


「使えないっ!」


「さあ、大人しくお縄についてもらおうか!」


 バンが勧告するがアリシア・ミルドレクドの怒りに触れただけらしい。

 その場から動かず剣を強く振るった。

 するとその軌跡から剣圧が放たれる!


「くっ!?」


 避けきれないバンは槌を振るう。

 衝突する(エフェクト)が炸裂。

 あれを飛ばせるのは……その武器を使い込んだものだけだ。


 ただ大口を叩くだけではないということだ。

 そのまま鋭い突きをたった1歩踏み込むだけで放つ。

 距離があったはずなのに気づいた時には既にウッズの脇腹をえぐっていた。


「ガハ……っ!?」


「ほう、心臓を突くつもりだったのだがなあ」


「こいつ、ヤバイ!」


 どうやらかなりできるらしい。

 話しながら下がってひらりとみんなの攻撃を避ける。

 まさしく実力者だ。


「さすがにそう簡単にはいかぬか。雑兵とはいえ、妾のもとまでたどり着くだけある。ならば裏道から入手した力で、蹴散らすか……」


「ウッズ、大丈夫!?」


「ぐっ、くっ、カハッ、大丈夫だ……くぅ、効く!」


 ポーションを直接傷薬にかければ反応して煙があがる。

 ちなみに見た目通り痛い。

 ただ傷で熱いほど痛い状態ではポーションの痛みはむしろ安心できるほどだ。


「お前たちに傷をつけられるのも腹が立つ。どれ、試しに使うてやろう」


 そう一方的に話し終えるとアリシア・ミルドレクドは懐刀を取り出す。

 それをためらいなく自身の鳩尾へと刺し入れた!


「なっ!?」


「気が狂ったのか!?」


 バンやゴズたちは当然その光景でうろたえる。

 ただ私は……この光景に見覚えがあった。

 まさか。


「ふむ」


 それを証明するかのように血など出やしない。

 逆に懐刀は押し出されるように排出された。

 傷口は不気味な速度で埋まっていく。


「何かしようとしている……! 止めろ!」


「フフッ! もう遅いわ!」


 バンの号令で我に返ったみんなが駆け寄るが瞬時に発せられたアリシア・ミルドレクドからの圧でひるみひざを崩す。

 その間に瞬時に姿が変わった。

 全身から皮膚とは思えぬ強固な甲殻が浮き隙間から見える身は人のソレよりもおぞましい色合いで筋肉の筋が浮く。


 それなのに全体としてはまるで舞踏会の姫みたいな風貌となった。

 ただしその顔はニンゲンというよりも悪魔で。

 目の部分は眼球というよりまるで石のように見え殺気でギラついていた。


「化け物……!?」


「アハハ、良い反応だねえ! ソレにこの全能感……妾たちが何も対策していなかったと思ったお前たちの不運を呪うが良いわ!」


 確かに……変身を手に入れているのは予想外だった!

 私は手を回して全部隊に通達。

 緊急事態。敵は凶悪な能力を所持している可能性。


『……というわけで、そいつは他の大陸で確認された危険な相手、真っ当な相手だと思わないで!』


「わ、わかりました……! 連絡です! 今の変身は凶悪な力を持つそうです! 人だと思って対処しないほうがいいみたい!」


「なんじゃそりゃ、まずいな……!」


「でも、まだあの子を助けられてはいない……」


 ミアが言ったのは結界の中にいるクライブくんだ。

 そして……コレは言うまいか悩むしおそらく気づくが。

 あんなやつの全力を受け止められるほどに頑丈な結界ではない。


「じゃあ、やつを惹きつけて、そのスキに……ってことか?」


「それしかないっ」


「作戦会議は終わったかい? 妾はお前たちのような礼儀知らずではないのでな、待っていたが……死ぬ順番は決まったか?」


 彼らは……どうにかなるのか?

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