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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
命は平等されど公平であらずんば
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二十一A生目 救助

『やっとついたみたいだね……鬼が出るか蛇が出るか』


「みなさん、ここがポイントみたい……」


「たしかに、この扉は他とは違うな……」


 みんな息を整えながら汗を拭う。

 やっとついた部屋の扉はふつうではなく明らかに重々しい同時に……薄暗い。


「当たりかもな、こりゃ」


「助けれるなら早ければ早い方がいい、だろう?」


「もちろん。行こう……」


 バンが話した通り早ければはやいほどいいことはある。

 救助なんてその最もたる例だ。

 例の……クライブくんがいるのかもしれないのだから。


 慎重にゴスが扉に手をかける。

 罠をしかけるならここだからだ。

 僅かな違いを調べ感じたあとうなずく。


「ここに罠はねえ。おそらく、罠があると味方も巻き込むからだな」


「じゃあ、どいてなー」


 バンが代わりに前へ出て重い扉を両手でで開いていく。

 中の気配は割とわかりやすい。

 漏れ聞こえる声と音が響いている。


 そして……重々しい響く音をたてながら扉が完全に開く。

 そこには……護衛のような兵士たちとひとりの女性。

 そして半透明の結界に覆われたら誰かだった。


「ちいい! お前たちがへぼだから! 全然ピンピンしてるじゃない!」


「も、申し訳ありません……!」


 女性の拳で兵士が鎧の上から殴りつけられているのに兵士のほうが痛そうだ。

 女性は長い髪を荒々しくもちあげたような髪型。

 青のその髪の毛と苛烈な冷たさを持つ青の目。


「お前は……ミルドレクド家か!」


「フン! 頭を垂れよ、誰の前と心得る、不遜なる侵入者どもめ」


 バンが叫ぶ中女性はゆっくり目線をこちらに向ける。

 相手の心臓を鷲掴みにして考慮しないような殺意の有る目……

 いや……まるで害虫を見ているかのようというのがただしいか。


 靴音を響かせ豪華そうな服装をたなびかせ。

 じっとミアたちを見下した。


「妾こそアリシア・ミルドレクド! ドルノネード家に連なる由緒正しき一族よ! お前たち狼藉者は、一族郎党首晒しにしてやろう!」


「うわ……せっかくの美人も、最悪の性格で台無しだな……」


「さすがにああはなりたくないな」


「こええよ……」


 目をむき出して怒るというのを目の当たりにした。

 なんというかひどい。

 こればかりは例え醜い相手でも美しい相手でも醜くうつるのだろう。


 特に汚い言葉をはいていれば特にだ。


「当然、断る。そっちはむしろ、領地の寄生虫だ。すぐにでも、出て言ってもらおう」


「そうだよ! ちゃんとわたしたちの事を見れないのなら、そんな領地の主たちには出て言ってもらう!」


「何を!? お前たちも、コイツも……! なんて腹立たしいっ!!」


 コイツと言った時にみたもの。

 それは結界の方だった。

 まるで誰かがうずくまるのに便利な程のサイズの。


 そして中は……


「ぼ、冒険者……?」


「おう! お前が話の坊主か! 今助けるぞ!」


「こいつじゃない、キレイな姉さんは覚えてるな? そいつに頼まれたんだよ」


「ま、あっちはキレイというかキュートというか、人懐っこい顔してるがな」


「お、覚えてます!」


 なぜか私の顔評が入ったもののちゃんと覚えてくれていたらしい。

 彼の救助は冒険者たちの第一の目標だ。


「よし! 明らかに助けてほしそうだね! 何されたんだ?」


「それは……」


「騒がしい! 妾がいる時に他の者へ話すなど!! コイツはね、街へ勝手に抜け出して帰ってきたと思ったら、私達に口出ししたから、お仕置きしたのさ! 最初は閉じ込めるだけだったケド、なかなか反省しないからねえ、ちょっとコイツが大事にしていたものに、反省(・・)してもらおうと思ったら、ワケのわからない結界を張ってお前たちが来て……!」


「ヒィッ……!」


 得意げにそして腹ただしげに語るその姿を私は全く理解できないししようとも思わない。

 ただ……あの子が不憫だ。

 そしてゴズたちはまた違った感想を持ったようで。


「はぁー、いるよな、こういうやつら……どうせお前らの悪政を止めようとして、お前らが閉じ込めたんだろう? なにせ坊主は……名ばかりとはいえ、領主だもんなあ」


「なっ!? どこでそれを……!? 小癪な!」


「俺たちもなんの準備もなしに踏み込んだわけじゃねーっての! 領主自体の権限は、その坊主にある! もし自分で振るえるようになればお前らはお役目から解放だ。どうせ丹念に洗脳していたんだろうが……どうやら下手くそだったらしいな」


「言わせておけばっ! やってしまいなさい!」


 ゴズやウッズの煽りにキッと強い怒りと共にアリシア・ミルドレクドは指示を出す。

 兵士たち数人が動き出し冒険者たちも身構える。

 ただ1つこの状況で決め手がほしい。


「……領主クライブ、クライブ・イー・ドルノネード。我々は『救助』にきた! それでいいんだな!」


「はっ……! そうで、す! 助けて、ください!!」


「よく言った」

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