十八A生目 地下
ゴズが短剣を回しながら床を見る。
そこには隠された戸があって……
開くと階段があった。
「あるじゃねえか!」
「気づけんな、コレは……」
「何? 今度は床も殴って進まなきゃいけないの?」
「そんなことするなよ……面倒だから」
「それに後方の面々がちゃんと地図をわりだしてくれるから、わたしたちは気にせず進みましょうよ!」
5人は各々言いたいことを言いつつ階段を降りていく。
2階や3階への道は見つかっていたものの初めての地下への道だ。
何もないなんてことあるはずもない。
当然罠は有るのでゴズたちが見つけ破壊していく。
ゴーレム複数体召喚の罠だった。
食い止めようとする気がだいぶ強い。
「なんだぁ? 暗くなってきたな」
「ま、コレも罠なんだろうけど、な!」
バンが手甲を斜めに構えると顔を狙って飛んできたナイフを弾く。
罠じゃない。
みんなが慌てて戦闘態勢に入った。
暗闇の中に浮かぶいくつかの刃。
ミアが詠唱してあたりに光玉を浮かべるとやっと部屋内の様子がわかる。
各所に家具や鉄箱が乱雑に置かれちょうど壁としての機能を果たしている。
敵も当然相手の明かりを警戒しているので隠れる。
どこからか攻撃が来たわけだ。
ミアからの視点ではよくわからない。
「攻撃、一体どこから!?」
「少なくともあっちからだ!」
また配置が絶妙で広い部屋の中のあらゆる方向から攻めてきてもおかしくない空間になっている。
階段があった方向はともかくほかの180度以上ある角度を警戒せねばならない。
「こっちに物陰はなし、戦う場所が悪い……ひょお!」
「どっかに移動しないとととと!」
一瞬だけ出てきた腕がナイフや矢をゴズたちに放つ。
弓がないから小型のボウガンかな。
割とスキあらば撃ちまくられて危険だ。
「うおおお、移動だ移動! そらっ!」
ウッズが長棒を振りまわすと風があたりに吹き荒れる。
そして光が風の壁を生み出す。
あたりに広くできた。
空間に干渉する矢避けの武技だろう。
みんなもそれを見届けた後矢を避けながら走っていく。
「おおっ、断然当たらなくなってきだぞ」
ただ走ってるだけなのに矢がかすりもしなくなってくる。
ただ魔法は別だ。
偶に飛んでくる闇の塊などは必死にミアたちは避ける。
「っく!」
さすがに全員無傷ではない。
ちゃんとそれなりにダメージは入っている。
ただ致命的な分は全くもらっていないようだ。
魔法もなんとかいなしながら柱の向こう側までいく。
物陰に隠れられるようになってから初めてひと息つけたようだ。
「はぁ……マジで危なかったな。必殺の陣形だな」
「相手の武具質や力量が高かったら、今頃アタシたちは蜂の巣だね」
「わたしが払うには、流石に多くて……」
「よし、好転はしたが解決はしてないぞ。どう攻める?」
「言っておくが地下で破壊力高い系の作戦はなしだぞ。土の魔法1つですらなかなか怖い」
「だろうなぁ…… 」
ウッズが仕切りロッズが前提条件を話す。
するとまあまあやりづらいことに変わりがないということに気づけてしまった。
向こうは慌てずに完全に出待ちする姿勢だから余計に困る。
「多分さっきみたいに、みんなで出ていけば撃たれまくる……だから、接近できるようにしなくちゃ」
「うーん、言うのは容易いけど……アタシが単独で行こうか?」
「それだと危険すぎるな。そうだな……なあ、ゴズ、ウッズ、久々にあれ、久々にやるか?」
「マジか」
「まあ、やる……かあ。そっちのほうがだいぶマシだろ」
ミアとバンは揃って頭をかしげた。
ロッズが敵の方に突貫していく。
槍をしっかり構えどの攻撃がきてもさばける体制だ。
「バカめ!」
兵たちはそこに対して集中放火を畳み掛ける。
当然一瞬でウッズが押されだす。
だが。
「隙だらけだっ!」
ロッズの影から飛び出た2つの姿。
ウッズが魔法を放ちゴズがなにかを投げる。
ウッズは炎弾を放ちゴズが投げたものは着地と共に割れる。
「なんだ!?」
「ま、まぶしっ!?」
割れた壺は閃光を放つ。
そして炎も強い光を放った。
どちらも妨害をメインに置いた行動だ。
底までやれば一瞬手が止まるわけで。
「うおおおっ!!」
「ガッ!?」
兵に対してロッズの槍が鋭く刺さる。
再度進んだロッズによる追撃だ。
1撃で倒せるほどやわな相手ではないもののしっかりとした手応え。
ゴズとウッズもそこに続く。
そうなればもはや乱戦だ。
相打ちの可能性のある飛び道具は封じられる。
さらに騒がしい方があるということは。
「とおっ」
「らっ」
「グハァッ!?」
「いつの間に!?」
別方向から接近していたミアとバンがサクッとまずひとりをボコボコにした。