十七A生目 地図
バンは僅かな隙を見て一気に接近。
その勢いのまま光と共にゴーレムに向かって叩きつけた!
「ハアァァっ!」
槌はクリーンヒットして胸の中心部を破壊する。
すると変な動きをしたあと急に動かなくなった。
「こわれ……たのか?」
「よし! 手応え在り!」
私の"観察"によると完全に破壊された。
そのことを連絡したらみんなどんどん大喜びして。
「うおおぉ……っし!」
「全身木でできたゴーレムすらものともしない……か。すげえな、これは」
全身木のゴーレムの価値はそのままだとよくわからないが……
大陸が違えば全身鋼というわけだ。
それを個々人の力で打ち破れたのだから相当な快挙になる。
「やっぱ武器が違うと、火力が違うねえ」
「よし、次が来る前に連絡して探索再開しようよ!」
「うっし、それもそうだ」
バンやミアがうなずきあいロッズがしめる。
『連絡はこっちがやっておくから、みんなはどんどん進んでいって』
『ありがとうございます!』
「他のチームに連絡、してくれているみたい!」
「じゃあおれらはおれらの作業に集中するかね!」
「お宝お宝〜ってあったらいいんだがな」
「有るのは裏帳簿、税の絞り方、何に豪遊したかみたいな話ばっかだよなあ」
愚痴る彼らの気持ちはわかるが結局それこそが大事だ。
数字のマジックを駆使してあるはずのものをなくしているんだから。
突き詰めればソレこそ宝だ。
こんな宝は嫌だけれどね……
彼等が探索している一方私は情報整理に追われていた。
最後方出入り口を結界で固めてその中でやり取りするかかり。
たまに冒険者たちが戻ってきて何人か兵をふん縛ったのを置いて帰っていく。
館の背後に回ったCグループは無事逃げ出そうとした従者を取り押さえられていた。
ちゃんと身の中に金銀隠し持って言ってるのでほんと同情もできない。
というわけで裏口潜入させてある。
現在グループはともかくざっくり分けて3チームある。
チーム1はAグループもいる正面侵攻チーム。
派手に荒らし派手に戦って探索範囲を広げていくチームだ。
人海戦術。
チーム2は1チーム目の後続。
目立たぬように移動し荒らしたあとの再チェックや不審な動きの事前察知による情報探査、捕縛、連行などをしている。
今は大した働きはないものの後からきいてくるのだ。
特にこの陣形の場合冒険者たちがうっかりどんどんと追い詰められる可能性がぐっと下がる。
他者からどう動いているかをちゃんと見られるのだから。
そしてC班単独の裏口組チーム3。
やってることは裏からこっそり動くというだけなのでチーム2とそこまでかわりはないが方向が違う。
やっていることは追い込み漁に近い。
チーム1が追い立ててひっそり張っている網であるチーム2とチーム3が引っ張り上げるのだ。
気づけば自ら揚がってるという寸法である。
当然それには彼らの巣窟である領主館内を無事生き抜くしかない。
それらをバックアップするのがチーム4だ。
「ゴーレム撃破報告! 信号正常化」
「負傷者きてるよ、治療班準備」
「暗殺者接近してるから対処して!」
各員に持たせている連絡用の石からの反応を見て連絡をつなげるもの。
回復のために全力を費やすもの。
陣地を襲撃しようとしてくる悪漢に対応するもの。
各々大騒動だ。
各地で集めた物品もここに集められる。
奪われたら洒落にならない。
私は結界の維持をチェックしつつ必要なサポートを回していく。
各地への連絡は私がしたほうが早いものも多く念話を飛ばしていった。
情報はリアルタイムで更新されまとめられていくので常に変化する先を読むのを求められる。
「地図、思ったよりできてきてない?」
「凄いね。最初は無理だと思ったのに……」
「まあ私もだてに提案してないからね」
私は各々の飛び交う話と各員の現在位置からマッピングしていく。
普段自動脳内マッピングしているしちゃんと情報が集まればおてのものだ。
何人かで照らし合わせ正確さを計算しながら微調整していく。
「A班、この先に向かわせましょうか」
「そうですね。地図地形的にこの先が気になるから」
「あ、連絡すればいいかな?」
「お願いー!」
私は周囲の話を聞きつつA
班のミアに念話を繋げる。
『ミア、そっちの班に行ってほしいところがあるんだけれど……』
『あ、はい! なるほど……そこですね。行ってきます!』
念話を終えるとミアがこちらの割り出したルートを全員につたえる。
ミアたちが動きを変え地図空白の地に向かった。
これでだいぶ埋まってきたぞ。
領主館は複雑怪奇だけれどちゃんと空間としての破綻をしていない。
割となにかありそうな位置割り出せてきたぞー!