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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
命は平等されど公平であらずんば
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十四A生目 突入

 さてゴズが罠を解除する前にチェック作業する。

 なにせどんな罠かわからないと解除しようがない。


「まったく……普段暮らしているところに罠だなんて、正気かね?」


「それほど向こうは本気かもね……」


「ま、全部ぶち破ればいいのさ!」


 バンは豪快なことを言うがこういう時彼女はまったく頼りにならない。

 雑そうなゴズはこういう時だけ精細な作業を行える。


「……よし、なかなかエグいが、だからこそ持ってきたのが刺さるっぽいな」


「使う?」


「もちろん」


 ゴズがうなずき懐から1つの機材を取り出す。

 それは見た目としては水晶型の石。

 投げると強い光をまたたき一気に広がっていく。


「まぶしっ」


 光は扉の中に染み込んで行き……

 鈍くくぐもったおとが向こうから響く。


「よし、罠が壊れたな……いくぞ!」


 バンが大槌を構え扉を蹴飛ばす。

 中の罠たちはみな細い煙をあげてくすぶっていた。


「よし成功!」


「えげつけねぇ、扉をあけたら爆発して、この壺たちが割れて飛び散ってこちらに凄まじい打撃を与えるな」


「散弾銃みたいになるってか? 人を蜂の巣にする気か……」


「他にもいくつか、な。最悪なのは間違いねえが」


 散弾銃について話すのはロッズ。

 魔法に関してはこの中で1番詳しいだろう。

 私が視界内に入っただけで炸裂の他に魔術を行使し一時的に狂わせるトラップ。

 足元から発生させる特定の場所へランダムにワープさせるトラップがある。

 さて今の道具のことについてだが……


 あれは元々充力機だ。

 行動力を補充するための道具だ。


 ……そう本来は電池の応用である。

 魔導具にセットする魔石。

 それをもっと汎用的になおかつ効率よく充力できないか……


 と考えている途中で出来た改悪(・・)品だ。

 なんとチャージしたものをオーバーヒートさせて一時的に壊しちゃうぞ!

 ……倉庫行きである。


 今回のはそれの使い方を変えた。

 指向性をもたせ同時にチャージする先を捕捉し全放出と共にオーバーヒートを狙う。

 しかも魔導具だけではなく危険そうなもの一通り壊すようにした。


 だから割と単純な鳴子みたいなものや紐が引っ張られたら丸太が落ちてくるみたいな仕掛けにはきかない。

 だからゴズがチェックしていたのだ。


 ちなみに罠を解除する魔法や罠に干渉する魔法はいくつかあるがみんなが使える訳では無いし使い捨てのスクロールに記載ももったいない。

 たいてい1つに1つの罠破壊なので。

 これならまとめて壊せてお得だ。


「中に誰かいるか?」


「いるかもわからんが、とりあえず突撃はしてこないな」


 たくさんの物や柱が乱雑にある部屋だ。

 おそらくこれも人工迷宮の影響。

 周囲を見る限りニンゲンの気配はない。


 まあ周囲といいつつミアの視点でということだが。


「じゃあ、突入しよう!」


「おうよ、くすぶっててもしゃあねえしな」


 ミアとウッズが共に前へと駆ける。

 さっきのであちこちにしかけてあったらしい罠は一通り壊れている。

 テスト使用は何度もしたけれどおもったよりもしっかり効果があるようだ。


 おそらく本来は転移したところを集団で袋叩きにするため転移先で待ち構えている頃だろう。

 しかし来ることはない。

 ぶっこわしたからね。


 A班の情報を元に後続も続く。

 空間が乱されて通信系もだめになったらしんどかったが大丈夫そうだ。

 魔道具でウッズが連絡とりつつ進む。


『みんな、敵退治だけじゃなくて犯罪の証拠も押収しないとだめだからね』


『あ、そうでしたね』


「ローズさんが、証拠探しをしてくれと」


「あー、罠ばっか探してたわ」


「敵の気配探ってた」


「金目のモンどんなんか見てた」


 ゴズとウッズとロッズがそれぞれつぶやく。

 そしてバンだけは肩をすくめた。

 さすがにバンは全国政府の者だけあってそこらへんしっかりしている。


 改めて家探し。

 部屋をいくつかくぐり抜け罠がまたあったら壊していく。

 A班は1番進んでいるが他の班も別ルートから荒らしている。


 確かに膨大なほど空間は拡張され広いが読みどおりならば踏破できぬほどではない。

 普段冒険者たちはどこまでも続く土地を見果てぬその先までさぐるのだ。

 たった半日でなんとかなりそうな空間など迷宮の名折れだった。


 攻略序盤はそこまで派手なことはなかった。

 庭先とうってかわって戦闘が起こらないからだ。

 彼らの戦闘が罠頼りだったのも大きいが。


「お、出てくる出てくる。ここらへんは、表に出すより安全かと思ってたのか?」


「最悪燃えるように罠で火炎壺仕込んであったからな、それに逃さなきゃとかは思ってたんじゃないか?」


「よいしょーい!」


 ウッズやゴズが丁寧に書類をまとめているところでバンが壁を殴っている。

 しかし不可思議な力で衝撃がかき消えてしまった。

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