九百九十九生目 学校
魔法学校とはまさしく魔法を専門に学ぶ学校の総称だ。
ちなみに魔法と魔術は国によって定義がバラバラだしいっしょくたになったりするし結果的にみんな呼びたいように呼んでいる。
私も気にしないことにしているがこういう学校までいくと定義をさだめた上で話を回す前提があるのでうっかり言い間違えると恐ろしい目にあうそうだ。
今回蒼の大陸から来たこの手紙は正確には『グラッシュ魔術学院』からである。
グラッシュ魔術学院とは歴史ある名門校であり冒険者という言葉と縁が遠すぎてほぼない。
実際私へのこの手紙はまったくもって冒険者という文字はなかった。
そのかわりあったのが多数の魔法を行使する英傑であること。
それに魔法構築が他とは比較にもならないとされていること。
あとは……まあ褒められている内容がつらつら。
あとどこからか私の書いた魔法の話だの魔道具だのそしてアノニマルースのことだのも書かれている。
さすがに大陸1だと自称するだけあって異様に情報網が広いし早い……
そして肝心要の内容だが。
私を大学で招き正式な論文などを出しながら臨時講師してくれませんか……というものだった。
……こういうのって学生にならないかみたいなのが来るんじゃないの!?
あらゆる段階すっとばしていてアリなのかと思ったら続きにもろもろ書いてあった。
まず学歴に関してだが他の学校はともかくうちはいらないとのことだった。
普通は大学と大学院にあたるこの学校へ行くには高校クラスの学校を卒業していなくては生徒にすらなれない。
しかも招待制がメインだ。
教授だともっと求められる。
しかし私は臨時講師兼魔術研究みたいな立ち位置で呼ばれる。
これだと招待さえあればいらないということだ。
抜け穴だ……
にしても私を呼ぶあたりだいぶ豪気だなあ。
よく見ると7割魔法のことかいてある。
魔道具あたりなんか私は直接作らずこうしたら新しく出来るんじゃないかみたいなのを横から口だしたり構築なおしたりする感じだからほとんど表には名前が出ていなんだけどね。
気温気象コントロール用大魔法陣はみんなでしっちゃかめっちゃかやりまくっていたし。
ありそうでない道具を作って遊ぶのは楽しいよね。
ドライヤーとか念話機とか。
アノニマルースは性質上汚れやすいから空間ごと清浄機とか。
色々あるけれど興味持たれたのはどれだろうか。
兵器系ではないとは思う。
参加するかしないかという返答をする必要はなく待ってますとのこと。
招待でもあるしいつでもいいらしいが同時にこれは呼び出しでもあるな。
いかないと変な包囲網作られそうだし……
シンプルに興味もある。
この話はうけよう。
そのためには手土産もいるので少し時間かかるけれど。
まだ翠の大地で依頼してきたR.A.C.2のことを聞きたい神も見つかってないし順番順番。
さてもちこむお土産は何にしようか。
種類は決まっているんだけれど。
つまり論文の形にした未発表のものだ。
「ホルヴィロス〜」
「はーい、もしかして手紙見た?」
「うん。グラッシュ魔術学院からの。論文みたいなものを魔法関係で書いて何か持っていこうと思うんだけれど、面白いもの何かないかなあって思って」
「うーん、私はあんまり魔法関係に明るくないからなぁ……ああでも、医療の魔法はどう? ローズもいつも気軽に色々治してるよね、命」
「あー、そっかぁ……」
向こうの部屋から覗いてくるホルヴィロスと共に何をするか決める。
白い犬のように見えるが実際は神だ。
そして医療に恐ろしく長けている。
私は命を治すことそのものはともかく治療に関しては色々やってはいる。
ただ回復系は攻撃系補助系に比べてみんななんかやりづらそうなんだよな……
そもそも街の治療院ですらまともな回復医療が受けられないことも多いらしい。
私はそういうところにいかず自力でなおしちゃうんで依頼に関係ないと行かないのだが。
ただまあ話や書類ではたくさん知っているし冒険者ゆえに現場も知っている。
傷から病に繋がり苦しんだりただ千切れそうなだけの体をくっつけれず切除していたり。
全然治せないとか治すのに凄まじく効率悪くて力尽きるとかも。
いい加減医療の段階がアノニマルースだけ高いのは察してきている。
こう……私が前世を知っているから云々の段階じゃなくて現世のランクとしてもどうかと思うのが多いんだよなあ。
水銀をすぐに回復するものとして組み込まないでほしい。
うーんでもなあ……こう1つのものとして纏めるには難易度が高いな。
もっといい形でそれらを成立させないとただの医療汎用知識集で魔法論文じゃない。
だとすれば……




