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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
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九百九十二生目 笑顔

 私はインターネットのことを語った。

 海底ケーブルのこと。

埋め込みケーブルや電線ケーブルによる配線の事。

 そもそものインターネットを動かすための機材に関する話やコントロール機能。


 正直細かいことはまるでまだ曖昧なままだが語れば語るほど双方顔に影が指していく。

 メチャクチャ力わざだし物理の構築が大きくなおかつ管理が大変で。

 コンピュータ同士のやり取りということはそのまま魔道具とやるには大幅に手を加えねばならないし。


 果たしてどれほどの力で工事しなくてはならないのか。

 果てしない先が見えなくて同時に何重にも専門知識とこの世界での置き換えが必要で。

 夢物語の中身はあまりに重い現実がのしかかってきた。


「じゃあなにかい? アタシたちが目指す先は、今以上に遠く険しいってー?」


「まあ、はっきりいえば、はい」


「それでも、ほとんど見えなかった頃よりマシですよ……それにローカルネットワーク構築はいまのところ成功しているようですから、これをもっとやっていくしかないですね……」


「へぇ、今の話でも諦めないんだ……国家事業展開クラスだと思うんだけれど」


「それが夢だから、諦めるわけにはいかないだけだよー。まったく、簡単な方法が見つかるかと思ったのにー!」


 ふうむ……?

 第4世代光回線タイプHとかなんだか脳内に流れているがどうもまだまだ思い出せないことが多そうだ。

 それよりも思ったよりVVが……そしてエイナが強情だった。


「まさか、それでもやるとは……世界を説得させる程の、利便性と力をアピールできないと、ユメのまたユメだよ?」


「グフフ、それこそやりがいがあるってもんだよー。準備が整ったら、こんどこそちゃんと聞き出すからね! 王族や政治家にも、コネがあるVVちゃんの力をあんまり舐めないでよねー!」


「あんまりやりすぎたら怒るけどね……それよりも肉体の方だよ」


 私が気になったのはそっちよりも肉体の名前だ。

 ハーリー・イー・ドルノネード。

 元領主の名前だ。


 ただVVは渋い顔をする。


「言っておくけれど、アタシに領主をやることを期待しているなら無駄だよ? この肉体に記憶としてあるけどさあ、それはアタシじゃないんだよね。それに見た目も、もう元がわかんないんだからさ」


「ああ……本人証明問題もまああるよね……それと、領地について覚えていることあれこれしりたいんだけどさ?」


「それって、貸しポイント使う?」


「まさか。VVの(・・・)痛手にはならないでしょ?」


 VVは「ちぇっ」とつぶやきそれでも理解はしているようでゴネなかった。

 というよりここでゴネると後が怖いと思ったのだろうか。

 だったら心を折った戦いをした苦労の甲斐があるわけだが。


 とりあえず細々とした話から始めてもらう。

 こっちでも調査済みのこととの裏取りだ。

 ただやはり1番の問題は失踪時期や子の話で。


 やはりハーリーも把握できない範囲で子種をばらまいていたらしい。

 だから本当に知らない子がいても不思議ではないと。

 そして失踪時期は完全に調べた時期と一致していた。


 いなくなったのは元領主がちゃんと死亡していたからだったのだ。

 まさかその後復活してこうなっているとはなんともだが。

 ただ違法手術に関しては現在もしっかりやっていてR.A.C.2のもとに運ばれてくるのにも紛れている。


 ロイダ……元暗殺者の彼もそうだ。

 ちなみに手術は無事おわり現在は容態が安定期に入ったらしい。

 そのあと身体をどう戻していくかは順に決めて体力と相談しながららしいが。


「人が管理している部分に関しちゃ、しったこっちゃないよ。アタシが見ているのは中央だけ……あそこだけが本当のR.A.C.2」


「補足しますね。中央と周辺の関係は同一のように見えるだけで、実際は運営組織自体が別なのです。悪く言えば元々、ただついてきているだけ、とも言える間柄なのです。だけれどもそれでは不都合が多くなるのも事実、(わたくし)たち従業員が人側に立ち緩衝して、なんとか現在の形に落ち着かせています」


「なるほど……なんとも面倒そうですね」


「このぐらいはやれないと、とてもではないですがVVとは付き合いきれませんから。だから、こちらで対処します」


 エイナはどことなく疲れた顔を見せる。

 ただそれでもまったくもって離れる気がないあたりなんともだ。

 別にVVを信仰しているわけでもなさそうだし……


 そう腐れ縁のような関係に見えた。


「そうしてくれると助かるよ。私はさすがにアレを見てそのまま放置できるほど鬼ではないからさ」


「ええ、こちらもわいたウジを一掃するいい機会なのでおかまいなく」


 エイナは良い笑顔でつぶやいた。

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