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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
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九百八十生目 自摸

「ああー、この子はまだ成長途中だからね、まだまだ! これからだよー!」


「えへへ……失敗しちゃいました」


 ユナが霧にしてしまった水たちはともかく牌打ちは続いている。

 何ならもう終わりかけだ。

 VVは私の方をちらりと見て息を軽くはいた。


 どうやらうまくイカサマが仕掛けられなかったらしい。

 私の見張りがきいたようだ……

 そこでユナから念話がくる。


『今の魔法、気づきました?』


『気づくって何が……? ん? いやもしかして……?』


『ロードさんでそれほど曖昧なら大丈夫ですね。あの時わたしくしめは、わざと水を崩壊させました』


 なんだって!

 確かに構築の崩れ方がなんとなく変だったけれど。

 今までの焦って崩した感じとは違ったけれど。


『この技術も特訓と教本のおかげです。少しだけ、すこしだけ前と違うことが出来るようになりました! 今わたくしめの魔力があたりに散っているのはわかると思います』


『やっぱり、わざと爆発させたんだ……それで魔力? 確かに周囲に散っているけれど……まさか、この魔力はまだ水!?』


『そうなんです! わたくしめのコントロールしている水そのものです!』


『水蒸気を操っているのか……!』


 それはすごい。

 ただ漂う空気中の水分を操っているとは。

 前のユナならば間違いなくできなかった繊細なコントロールだ。


 そしてVVはまったく気づくことなくしゃべっていてエイナは牌を見て唸っている。

 まるで気づいていない。


『転がり込んできたチャンスです。ものにしてみせます!』


『これは一体何ができるの?』


『相手の牌を探知するくらいならできますよ! ただし……やれて1回です。それ以上の魔力操作は気づかれる可能性がとても高いですから。さっきエイナさんが一時的に私の魔法に対して無効化していたから出来たことです!』


 なるほど通常ならばエイナのスマホが警告を出すけれどさっきエイナ自身が切ってしまった。

 1回でも騙しきれるなら強い切り札だ。


「エイナ、だいぶ手が良いように進んでなさそうだけれど?」


「おかしいですね……」


 今回はVVのアシストも受けられないだろう。

 そうして牌を何度も捨てていって。

 最後の周に。


「ふぅ……ダメのようですね」


 エイナは引いたあと手牌から1つ捨てた。

 おそらく待ちを崩したようだ。

 今回和了るのを諦めたらしい。


「崩したんだね?」


「この勝負、(わたくし)がVVの点を奪うわけにはいきませんから」


 敵へのロン和了リならともかくツモ和了りならVVもポイントを支払う必要がある。

 今大きめに勝っているのにポイントの得点のフラット化を推し進める必要はない。

 私の手牌は一応一向聴(ふたつまえ)までいけたんだけどね……


 さて私の親番。

 しかし私としてはここで和了るのは相当大きな手以外避けたい。

 手元に来た牌で見えているのは平和(ピンフ)という1翻の役か断么九(タンヤオ)という1翻の役。


 ドラは現在なし。

 うん! 和了らないぞ!


『どうでした? 手牌は?』


『手が安すぎる。ここで長引かせても勝てないから降りるつもりだよ』


『あ、でしたら今回は和了ってくれませんか? わたくしめが最後に和了って、そのまま親番になりたいんです。ただ今回はまさしくダメなので……』


 なるほど……確かにここで有利盤面作っておきたい。

 ユナが最期の番絶対に和了れるという保証はない。

 理想の話をすればここで私かユナかがVVの得点を上回りたい。


 だから良い形が来るまで私が親を続けて粘るわけだ。

 そのぐらいなら出来るかな?


『わかった。それじゃあ必要なのは……』


 だったらいるのは早上がりだ。

 得点を増やす必要はない。

 なんなら形式テンパイという『和了れないけれど揃ってはいるから、流局したときにテンパイとしてみなし得点が入る』状態にしてもいい。


 VVが和了る気はなく防ぎ続けているのを利用する。

 エイナは多分さっさとロン和了りするだろうからそれだけ警戒。

 それらの情報を念話で伝えつつ牌を打っていてく。


 しばらくは会話でカメラの向こう側と交流するようにVVたちと話したりしてすぎる。

 実際はいつイカサマを仕掛けられるかそれと麻雀の牌が危険ではないかを考えつつなので苦しいが。


「おやおよー? どうやらこのまやアタシが勝っちゃうみたいだねー!?」


「VV、今の内に余裕でいるといいさッ」


 VVの煽りに私はあくまで余裕の態度で構える。

 ハッタリでも構えられるなら十分だ!


「……ムカつく」


 VVがぼそりとマイクに拾われないほどの小声でつぶやいた。


 そして私はやっとこさ麻雀を初めて1回目の宣言ができる。


「ツモ和了り!」


 そして牌をしっかりと倒した。

 



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