九百七十生目 携帯
【イラスト】VVのイラストをいただきました!!
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エイナはゆっくりと歩んでいく。
「え!? アイツが!?」
「へえぇ〜……」
インカ兄さんや弟のハックは各々の答えを持っていたらしい。
「えっ、えっ、何の話なんですかこれ」
「お、なんだ喧嘩か?」
「………?」
雇った女性陣はなんのことか分からずあちこちを見回す。
ただ他の面々も今のやりとりで分かったものはそんなにいない。
ただしエイナはしっかりとした顔つきでこちらの近くに止まり向いた。
「私をお呼びですか、ツカイワ様」
「うん。キミがVVの協力者なのは、言動からわかったんだよ。それと、異世界人なのは、ここ全体の異常性と……『スマホ』だよね」
エイナはここにきてバレるのは致し方ないと考えてはいた気がする。
なので前半は静かなままだった。
ただしスマホという言葉に隠しきれない動揺があらわれたけれど。
当たり前だがこの世界にスマホという単語はない。
ないので地球言語を使わせてもらった。
別に私も……バレても痛手はないので。
単にあちこちにバレると悪用されたり色々厄介を呼び込みやすいというだけだ。
神であるVVが私に対して全く無知識のまま挑んではいないはず。
その中に私に対する知識もあるだろう。
ただしVVがそれをエイナに教えているかは別だが。
VVが笑顔のままなのにエイナが一瞬崩れたのはその差異を表していた。
「驚いた……VVはあなたを呼びたがっていましたが、まさかそういうこととは」
エイナは手を正面にかざすとどこからか1つの端末が現れる。
今のは空間格納から現れる感じではなかった。
まるで彼女の力で生成されるような。
「これは……『スマホ』の生成?」
「そう、これが私エイナのユニーク能力。自分だけが使える『スマホ』を生み出す力です」
電源ボタンを押すと画面がスリープから目覚め明るく輝く。
ロック画面が表示されると反転しエイナはスマホを触りだした。
そして再びこちらに画面を向けてくる。
「これって……!? まさかネットが通じている!?」
「正確には違います。コレは私のアプリ能力、検索。私の知らないことも含め、雑多な情報を調べられます。制限はありますが、例えば……」
そう話して写ってるいる画面にはおいしいプリンのレシピ検索結果が出ている。
さらにエイナが操作すると今度は『ローズオーラ-石』が出てきた。
マイナス検索しないと宝石が出てきちゃうんだろうなこれ。
私の描かれたら絵が表示されている。
他にもいくらかの検索候補が
エイナがそのうち1つをタップすると私に関する情報がまとめられたデータが出てくる。
ただなんというか穴が多い。
不明とか黒塗りとか年齢は私がよく話すものになっている。
少しかくされている種族やら転生やらもなければ私のスキルセット情報もふわっとしている。
活動履歴も基本的には公にされているものばかりだ。
魔王との戦いを知らなかったのもなんとなくわかる。
ここでの記載が『帝都解放戦に遊撃として参加』としか書かれてない。
これは色々紐づけて見なければ錯覚してしまう。
「どこまでが真実でどこまでがウソなのか、どこに何の情報が乗っていて、その情報の持つ意味は何か……それらは使用者に委ねられるため、かなり使い勝手がわかれるものです。それでも、私の価値を示すには十分でしたが」
「そうそう、もう言っちゃうけどね、彼女のおかげでかなり助かったことは多いよー。何せ、アタシがR.A.C.2をここまで盛り上げられたのは、間違いなくその力なんだから!」
「顔のない神がそこまで褒めるなんて……」
私のつぶやきはエイナに届いているが反応を見せないようにしているせいでわかりづらいな……
「ねえねえ、ふたりの話していることわかる?」
「さっぱりですね……険悪なのかどうかすらも、わからなくなってきましたし」
オウカと女性たちがヒソヒソ話していたり他の面々も考えたり言葉を交わしている。
まあこれだけでは暗号で話しているようなものだしね。
「やっぱり、電波塔もそこから?」
「そこまで気づいてしましたか……! やはり油断ならない。はい、そうです」
エイナは言うが早いか『ARモードを使います』とスマホに向かって言う。
するとスマホのライトが輝きだし光が形になっていく。
エイナが操作すると光は鉄塔の形を作り出す。
半透明でサイズも人より小さいが。
「あとは『ファイルストレージ』、そして『材料オート選択』、そして『AR現実アップロード開始』」
次々にスマホへ指示を出すと光だったものが順次物質に置き換わっていく。
それはまるで積み木のようでそれなのに1つ1つ接着し組み込まれ。
やがて1つの鉄塔が出来上がった。




