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二百一生目 終焉

「さて、キミが大人しくしてくれるならこのあと殺したりはしないよ。だから……」


 少年は倒せたが"無敵"が通らない。

 言葉で武装解除させるしかかない。

 それでも駄目なら手荒に捕まえるというやりかたもやぶさかではない。


「……殺してやる、お前も、親の仇(アイツ)も……! 俺はダカシ……必ず俺の手で殺してやる……覚えておけ……!」


 うわ、まだ諦めていないの!?

 とはいっても地面に倒れているので精一杯にみえるが……

 名前はダカシなのかな。


『あ、ローズ? どうなのそっちは。こっちはカムラたちと合流しているわよ』

『あ、ユウレン。もうちょっとで終わると思う』


 "率いる者"で"以心伝心"が借りられてユウレンから念話が届いた。

 向こうは無事合流したようだが……


「……深き獄の奥に揺らめく焔よ」


[怨魂喰らい +レベル 4→5]

 え?

 き、急に何かぶつくさ話しだした。

 ただ異常に嫌な気配がある。


 それに怨魂喰らいが発動したあげくまたレベルが上がったが何が起きて私に大ダメージを与えてくるかがわからない。

 こんなの初めてだ。

 何かが起こるしとても危険だが詳細不明とは。


「我に焔を閉じる護りを、仇なすものに破壊を」


 そう言うと彼の周りに急速に青いバリアのようなものが貼られた。

 私の手が弾かれたが痛みはない。

 こ、こういう時はユウレン先生ー!


『かくかくしかじかみたいな事呟いてなんかバリア張られたんだけれどどうしたら良い?』

「呻き苦しむ事すら無く」

『ちょっとわからないわね……カムラに聞く』

「慈悲たる一撃を持って」


 な、なんだろう、凄く魔力が集まりだした。

 異常に魔力が濃く少年の周りを渦巻いている。


「滅ぼすための力をここに」

『……! ローズ、全力でそこから逃げて!』

『え!? わ、わかった!』


 もはや確実に嫌な予感しかしないから徐々に距離を取っていたものを完全に背を向けて駆け出す。

 くそう走りづらい!

 とりあえず土砂をなんとか乗り越えて……


「ああ、焔よ! その力すらも喰らい燃え上がれ」

『その詠唱による魔法は……』


 なんとか乗り越えたら"進化"解除!

 いつもの姿になって駆ける!

 さらに"鷹目"で遠くまで視界を飛ばして……


「全てを終わらせる劫火(ごうか)となって」

『あたり一帯を全て……』


 詠唱、間に合え!

 "ミニワープ"!

 視界内に移動できるこれならいける、はよ!!


(しま)え"レッドエンド"」

「うわあ!?」

『吹き飛ばし……ローズ、ローズ?』


 何かはわからないがとんでもない衝撃を背後に感じて同時に"ミニワープ"の詠唱が終わりワープされる。

 "鷹目"で限界まで遠くの視界を確保してその見ていた場所へワープした。

 だが背後から光が迫ってきて遅れて轟音が耳に届き……


 私はあっけなくその光に飲まれ吹き飛ばされた。





 う……ん……?

 ここは……?

 死後の世界……ではなさそうだけれども。


 なんだかあたりから光を感じない。

 暗闇の中にいるというより……

 そうこの感じは覚えがある。


 魂の世界、そうそれに近い。

 幸い私は身体の感覚があるけれどなんでなのかはわからない。

 ……うん?


 誰かの、声?


「……」


 声をだして呼びかけようとして、気づく。

 声が出ない。

 こんなことならユウレンからもっと習っておくんだった。


「……けて」


 男とも女ともつかない声。


「たすけて……たすけて……」


 む、これってちょくちょく私が夢に見た、救難信号のやつかな?

 私の前世に関わるかもしれない、そして転生した理由に関わるもの。

 そうか、"怨魂喰らい"のレベル上昇によって読み取れる範囲が増したのかな?


 とは言っても怨魂喰らいって誰かの恨みやら怒りを味方に向けられた後に危険な未来を見るものなんだよね?

 "以心伝心"のレベルが増えてきたというのもあるのかも。

 スキルは組み合わせによってとんでもない効果をもたらすものもあるから、予測がつきにくい。


「たすけてたすけてたすけて」


 だからまあ全体的に強くなる事が大きく変化がある前兆になるのだけれど……

 とか思っている間にぞわりとする気配。

 声が、それに景色が……


「たすけてたすけてたすけてたすけて」


 王道とは言えこういうものを私が直接見て聞いて恐怖を感じないと言えば、否。

 むしろ視えて理解してしまうからこその恐怖があった。

 声はひとつじゃない。


 どこまでもどこまでも広がり全方位埋め尽くすほどの助けを求める声。

 声。

 声!


 広がる景色は何もかもが物理的に命が消された後だと理解させられた。

 何に?

 わからない。


 景色は目には見えないはずなのに、声は耳には聴こえないはずなのに頭に直接送り込まれるように悲鳴が届く。

 ぐ、がああ……!

 全身の血の気が引いていく。


 命が滅んだ後の世界だと無理矢理視せられている。

 一体なんで!?

 誰がこんなのを見せて!?


 水の一滴もなく溢れるマグマが覆う世界だなんて、まるで生まれてそんなにたっていない星。

 だがそれはこの世界の終わりだと誰かがすり込んでくる。

 こんなの見たくない、見たくない、見たくない!

 ウアアアァ……!


『ローズ! 私よ! ユウレンよ! 戻って……きなさい!』


 わっ!?


「これがお前の使命だ」

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