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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
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九百五十三生目 食事

 思考を回している間にどうやら歌の放送が終わったらしい。

 私がやるべきことは実はそこまで変わらない。

 結局VVが誘っているので私達はそこに乗るだけだ。


 もはやこの巨大な罠の中にいるのだから。

 VVのたくらみが何であれ顔のない神は放置しておくとロクなことはしない。

 色々導き出せることはあるが本人に直接問いただしたほうが早いし。


 というわけで表面上そしらぬ顔をしてエイナと共に賭博場に戻る。

 ……そこで女性たちにまた囲まれた。

 忘れてた……!


 というか忘れたかった!






 まあ賭場場はいいのだ。

 賭博するだけなので。

 マイナスが重なろうとネ!


 ただアメリアさんと別れ出るときの『精算』でしぬほどびっくりした。

 大体一人頭300ポイントくらいもっていかれた。


 12人なので3600ポイント。

 えげつないのはここからさらにドリンク代が入ること。

 そう彼女らに渡す酒1つにもべらぼうなポイントがかかる。


 勝った分と手持ちが吹き飛んでしまった。

 当然のように黒VV.I.P.ならばと無担保で借用できたのが怖すぎる。

 あとでまとめて支払いしておけばいいらしい。


 まあ懐はいたまない。

 私は放置してある資産が運用されていてホルヴィロスたちにまかせている。

 正確にはホルヴィロスがプロを通してなんとかしてくれているというか。


 でまあわりかし順調なのでいきなり100万シェルとか使わない限りなんとか成ってしまう。

 冒険用具はちまちま揃えるし施設とかの購入も最近はないからなあ……

 昔ならともかく今は自分のことにお金を回していい。


 結果的にマイナスだったけれどまあよしとしよう。


「次は時間も良い頃なので、そろそろお食事にでもして、それからあそこ、サーカスに行きましょうか」


 エイナは「では」と言ってその場を離れる。

 ……うんちゃんと気配が去ったな。

 食事時はいつもこうやって水入らずにしてくれる。


 本人も食事をしたいのかいつも消えるし。

 消える速度が尋常じゃないあたりエイナも単なる素人じゃない。

 体運びからして戦闘面では素人だけれどその内にある力が高いタイプ。


 つまりレベルが高い。

 実戦慣れせずレベルが上がるということはままある。

 それほどまでに普段こなしている職務が自身の経験になっているということだ。


 ただ戦うためのレベルじゃないからね。

 ああいうのに必要な力として求めていったのかもしれない。

 まあエイナの強さはおそらくこちらの世界に来たという問題。


 こちらの世界に転生でも転移でも来たものはなんというか特別な星のものとに生まれたかのように見える。

 物語の主人公となれずともこの世界でひとかどの存在感を示すようになれるかのように。

 世界を渡ってなお自意識を保てているというのが特別さを出しているのかもしれない。


 とにかくエイナも油断はできないということだ。

 今のところ監視カメラみたいなのは見ていないがそれに類似するような遠見の魔法ならいくつか見ている。

 遠見の魔法は監視カメラより不便だしそこまで気にするほどでもないだろう。


 私達は昼食を中央の豪勢なレストランで取ることに。

 ニンゲンの数がすごい。

 ズラーッと並んでいる横を私達はやはり通り過ぎる。


「あの者たちは一体……?」


「ああ、既に1時間並んでいるのに……」


「わたくし、知っていますよ、あれはV.P.I.会員の方なんでしょ?」


「なるほど……服装が我々と違う……あれが最新のトレンドなのか……」


 ざわざわという言葉を聞き流しつつ奥へと歩みを進める。

 ちょっと楽しい。

 この服装が褒められるのは私としてもありがたい。


 なにせかなり服屋さんが楽しんで作って貰えてたし。

 まあこの数作製はしんどそうだったが……

 ただその分に応えるように見せていきたい。


 出てくる食事はだいたいその日の固定。

 飲み物やデザートそれにアレルゲン対策で差し替えがあった。

 いやすごいなアレルゲン対策って。


 多分これはエイナの入れ知恵だ。

 この時代の人々にアレルゲンと言っても通じない。

 なので食べると気分が悪くなったりかゆみをともなう食品が有る場合と書かれている。


 出てきたメニューはやはり上位の貴族たちもさることながらといった様子のちゃんとした食事がプレートに乗ってやってくる。

 値段もそれ相応なのでちょっと緊張するね……

 この国で1番の贅沢! とは言わないものの普段では食べられないジャンルをいただける。


「おいしい、おいしいよ〜これ!」


「普段食べてるのが身体に力つけるためだけのものが多いから、ちょっと感動するな……」


「アノニマルースにも参考になるなあ、何肉なんだろうか……」


 当然のように出てくる豪華な食事を平らげ私達はここを後にした。

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