百九十九生目 連射
"怨魂喰い"が発動し少年が仕掛ける未来が察せれた。
精霊たちに骨型石でちまちま殴らせている場合ではない。
というか攻撃自体は一度も入っていないじゃないか。
すぐに別行動に移らせる。
胸のかざりに触れて精霊に指示を出し骨型石を投げつけさせた。
当然のように少年は切り払う。
別の魔法を指示して私に目を向けた少年に対して魔法を放つ。
ハックから"率いる者"で借りて風魔法!
小さい竜巻が発生して少年の進路上に放てば大回りせざるおえなくなった。
今ので少年は私が風にも耐性があるだろうと思ったようだ。
うまくごまかせたぞ。
私が風魔法で刻まれ吹き飛ばされる未来は回避出来たようだ。
うっ……!?
また"怨恨喰い"だ。
少年は1手1手がヤバすぎる。
接近すると見せかけて少年は距離を取る。
"ヒーリング"を唱えたらしく淡い光に包まれて傷が少しずつ癒えている。
本当にこれはやらせたくなかったのだからずっと精霊達に殴らせていたのだが少し回復させても大技で決めないと少年は倒れてくれない。
普通はもうちょい息切れだの疲れだので『しまった』してくれるのだが一切そこらへんの管理が抜かりない。
さらに完全に私を敵として認識したせいか心を強く持たなければ小さい少年が何倍もの大きい脅威に見えてのまれそうになる。
そうやって殺意すらも少年はうまく操ってこちらのスキを生み出そうとしているのだろう。
私が"エクスプローシブF"を唱えて少年がいた位置を爆破する。
転がって避けられた先に強化"フレイムボール"を連射連射!
とにかく連射性を維持!
「ちっ!」
いくらなんでも大量に飛来する火球を無視して歩けるほど少年は強くない。
乱射される火球を受けていたらアッという間に全身燃えてしまうだろう。
切り払い身をひねり跳んで回って走り避ける。
たまに胸の飾りを握って精霊たちの様子を見る。
まだ、まだかな?
は、早くよろしくね!
魔法を使うのも行動力浪費以外全くノーリスクというわけではない。
やはり使い続ければ疲れてくる。
特に今なんて連射するもんだからとても疲れる。
ただ今ここで決めれれば少年の刃が私の脇腹を抉ることはないはず。
絶対に相手のほうが疲れているのだからここで行動を潰す!
気分は機関銃。
ダダダダダダダダダダダと撃ちまくる!
少年はさすがに駆けたり切り払ったりしながら唱えるのは難しいらしい。
"ヒーリング"はせずに回避行動に専念してくれている。
それだけならまだ良いのだけれど。
「ッ! ……チッ」
危なッ!
こっちが広範囲に火球バラまいて近づけさせないようにしているのに縫うように踏み込んできおったがな!
集中させて追い払ったから良いもののあと1、2歩で斬られていた。
信じられないほどに戦闘慣れしている。
普通はこんなの突っ込もうだなんて考えないでしょ、燃えて死にたいの!?
どれほど過酷な戦いを生き抜いてきたんだ……
「うッ」
「はああっ!」
しまった、集中させた反動で疲れが……
発射数が減ったその瞬間に改めて踏み込んで来た!
姿勢を低くし残り3歩2歩1歩。
まずい"止眼"まずいまずい!
体感時間が引き伸ばされ時が止まる。
"フレイムボール"唱えてる場合じゃねえキャンセルキャンセル!
次動く時に合わせて"インターラプトル"準備!
私は今胸の飾りに……よし触っているな。
もう準備は出来ているはずだから精霊と交信して発動をこの後すぐ指示する。
頭が痛くなってきた、もう限界だ。
"止眼"解除!
「ハァッ!」
私に対してあまりに高速で振られた刀が私の左脇腹を抉る――
瞬間に"インターラプトル"が発動して私はどこかにワープした。
どこ、ここ。
それと同時に精霊たちに魔法発動を指示。
2つの魔力が合わさって1つの魔法へと化ける。
私のこの姿に"進化"したことで魔法への理解が高まったがちゃんと答えが合っていれば大きい魔法になる!
ていうかここどこか分かったよ。
偶然ながら今回は良い仕事をしてくれた。
なんと土砂に囲まれていた場所からちょうど外に出た所だ。
……足が地面に埋まって無ければ最高だったんだけれどね。
一体化していたりはしないが周囲が盛り上がっていて押しのけられた跡がある。
よっこいせ。
「ウオオオォッ!!」
一方同じ時に向こうはというと。
"鷹目"で見た景色は想像していたが想像以上に強力だったらしい。
土魔法"Eスピア"に空魔法"ディストロイション"。
地面から土槍を生やす魔法と空間をねじって引き寄せ物質を曲げる魔法。
合わさり爆発的に強力なものになった力は土砂で囲まれた中の範囲を埋め尽くすようだっだ。
地獄絵図、かな。
中央に乱気流起きて土槍が大量に空飛んでいるもの。
ここまでやれるとは思っていなかった。