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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
2001/2401

九百八生目 勝利

 ホルヴィロスに診察してもらうことに決めた。

 悩んでいるより医者に見せたほうが早いだろう。

 というわけで。


 私は感覚に従い性別を変える。

 肉体に宿ったスイッチというか……

 精神深くに根ざすというか。


 新感覚なのは間違いない。

 スイッチを切り替えるようにソレを使うと私の身体の内側から瞬時に熱を帯びる。

 あっつ! やっぱあっついじゃないか!


 ただそれも一瞬。

 体を骨が破り皮膚が破れ肉が膨れ上がり。

 内臓すら入れ替わって目の色が代わり。


 まるで全力疾走した後の爽やかな快適さと共に熱は嘘のように収まった。

 うん苦しみもない。

 痛くもなかったし。


「……はい!?」


 思わず絶句したのはホルヴィロス。

 全身の毛? が逆立ちしている。

 私の姿がソウガイハの……男の姿になったからだ。


 それは獣の姿なのに半ば鎧を身に纏うような姿。

 全身を覆わず腕と足だけ展開してある。

 バイザーも額の目の部分に上げておいた。


「どうかな……医学的に。性別が変わる力らしいんだけれど」


 自分の違和感ある声にふいに心臓がドキリと跳ねる。

 そしてホルヴィロスの耳も不意に跳ねた。

 なんとなく気まずい空気が流れる。


 ホルヴィロスが尾をゆっくり振ってから歩んできて。


「……ついに花粉を撒き種を量産する覚悟を?」


「しないよッ!」


 いつもどおりのホルヴィロスだった。



 ホルヴィロスの目つきがさらに嫌らしくなったのはともかくとして。

 私はちゃんと診察を受ける。

 ホルヴィロスは植物だからかどっちの私でも好きらしい……


「……うん、何はともかく、健康そのものだね。調べてはないけれど、花粉製造機も健康だと思うよ!」


「それはどうも……」


 自分でなっておいてなんだがもう少しこういった類の発言がなくなればなあホルヴィロス……

 ホルヴィロスが見終わったところで再度性別を戻す。

 なんだか慣れてしまった自分がいるなあ……


「うーん……やっぱりそっちも最高!」


「はいはい……それで、今回はもう大丈夫だよね?」


「うん、ローズがまさかすぎる力を手に入れたけれど、それ以外は普通かな」


「良かった」


 私は調理場に立つ。

 手を洗って……


「あれ? ローズ、料理するの?」


「うん。たまにはね。冒険やってきた先の料理、めちゃくちゃおいしかったから、色々買ってきたし」


「うわあ! それは楽しみ!! 手伝うことある!?」


 早速ホルヴィロスが食いついてくれた。

 たまにはこのようなこともしないとね。

 私達はその後絶品素材を活かした料理に舌鼓をうった……







 おはようございます私です。

 翌日というやつです。

 朝は起きたら翠の大地にいる。


 宿は借りていたからね。

 それに食事も楽しみだ。

 ここで出てくる料理はひととおり見たこと無いものが多くひととおり美味しい。


 野菜もお肉もすごくいい……

 こんなに食べたときに品質を感じるだなんて。


「ここの料理ってすごく美味しいですよね!」


「そうですか? ありがたいですね……でも、まだまだ美味しいところはあるんですよ? ここは、悪く言えばどこにでもあるような食事だから……」


「というと……?」


 正直ここの大陸の環境平均はわからないからなあ。

 美味しいのは間違いない。


「この街にもある王族ブランドのお店、やっぱりあそこなら、リーズナブルで美味しいものがたくさんあるの! 高級店の方もあるけれど、市民向けのものもあるからね!」


「あ、ああー、なるほど、今度行ってみます」


 元ミルーカのブランドのお店だ!

 気まずい! って思って意図的に避けていた部分もある。

 うーんどうせなら行ってみようかな……?


 食事後に宿を引き払い次の場所へ……行ったと見せかけつつアノニマルースへ戻る。

 イタ吉と会う約束を取っていたからだ。

 すでに話は通してある。


 指定された場所はアノニマルース冒険者ギルドの訓練場だ。

 ちゃんとイタ吉はそこにいた。


「おっす!」


「待った?」


「いんや。新しい力があんだろう?」


 イタ吉の問いに頷く。

 石をとげなしイバラで持ちながら話す。


「一応改めて言うけれど、この石を使うと形式上私の配下みたいな扱いになるけれど……」


「んだよ、そんなこと気にすると思ってるのか? お前だって、蒼竜に対してあんなんで、親戚の朱竜は倒しててさあ」


「まあ……そうだけど」


 イタ吉は私の方に拳を握って突き出す。

 目にはギラつくような闘志が宿っている。


「俺もまだ止まる気はねえ。むしろこれからかさ。だったら、利用できるもんは何でも使う。アノニマルースも、お前も! その上で、お前に勝つさ!」


「……うん、楽しみにしている!」


 私はトゲなしイバラで拳を合わせた。

 イタ吉は神使の石を適合させて早速訓練で鍛えるらしい。


 すぐにでも翠の大地に行くからウォームアップだそうだ。

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[一言] 抱けえっ!!抱けっ!抱けっー! 雄しべと雌しべをランデヴーだっー!
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