九百六生目 灼熱
恒例通り、お盆休みをもらいます!!
私達は性別を変える術を得た。
ソレはよかったんだけれど。
「あっつ、身体!?」
「あわわわわ」
「服が熱い……!」
「う、うぐ……ッ!」
全員それぞれ熱を持った不調に襲われていた。
身体が順番に砕け散るような。
立っていられないほどの熱が全身を駆け巡る。
時としてはわずかだが一瞬で身を変えるというのは苦痛と快楽のごちゃませまを味わうこととなる。
進化とはまた違う変わる感覚……
魂からいじっている違和感。
骨と肉が砕けていく音と共に私の身体は縮小していく。
思ったより痛くないのに鈍い違和感だけが逆に尖って心に刺さる。
自身の身体がごちゃまぜになる……!
「……はっ!?」
自らの身体は気づいたときには縮小が完了していた。
ペタペタと触るともとの性別に戻ったと実感する。
他の面々も終わったようだ。
「どうじゃ? 最初は不慣れな感覚ゆえだいぶ苦しいらしいが、次からはそうでもない……と回答した者は多いぞ」
「そ、そうなんだ……確かにだいぶ今しんどかったけれど」
「身体が壊れるかと思いました……」
「引っ張られてちぎれるかと思ったたぜ……」
「本当に2回目はこんな副作用ないのよね!?」
「聞いた話ではの」
あくまで翠竜自身はわからないため伝聞となるが……
まあ次がここまでひどくないのならそれはそれでいいや。
進化みたいに自分の変化はある程度楽しみたい。
早速試してみようという気にはならないんだけれど。
「ほいで? 協力するにしてもよ、俺たちだって絶賛探し中だ。そっちは何か追加情報はないのか?」
「追加情報はあるにはあるのう。まあ、正確には先程そっちから聞いた話とこっちが知っていることを照らし合わせてわかったことじゃがの」
ジャグナーは自分の身体が戻ったのをチェックしつつ続きを促す。
「簡単に言えば、儂がここの土地の神のことをほぼ見逃しているとは思えぬのに、相手がわからんということよ」
翠竜は私がワープしてきた瞬間を捉えていたらしい。
そのあと気配を消したからわからなかったらしいけれど。
ただそのぐらい他の神に対する察知能力はここの大地全域にある。
長く暮らしている神たちを翠竜が把握できていない……とは思えない。
「どんな神たちがここの大陸にいるんだ?」
「それこそ多種多様じゃな。その中で把握している者たちの中に、実行可能なほど強いもの限られるが……さっきそなたらの話を聞くまでここの大陸が1番怪しいとは考えてはいなかったのじゃよ」
「人形たちの素材は翠の大地製だった……巧妙に隠していたけれど、木材が特別なのはわかったから」
「まさかのじゃな。儂の実験がそんなところで役立つとは。ここの大陸は特別じゃ。木材を頻繁に海外へ運搬する神がいるなら儂が探知できうるし、そんな神はおらん。基本みんな大陸に閉じこもっておる」
それはいいことを聞いた。
外から来た神が工作のために……みたいなことはなさそう。
一般的に他の大陸での普及率は低いし。
「なるほどねぇ……怪しい神って言うのは?」
「怪しくというより、できそうな神たちじゃな。儂以外の7神じゃ。3大神と4小神じゃ」
「結構いますね……」
それでも神が絞れるというのはなかなか大きい。
このただっぴろい大地を無差別に探すと何年かかるかわからないからね。
こんなに大規模なことを仕掛けた相手に余計な時間を与えてはいけない。
「その神たちは…………」
神のメンツを教えてもらった。
だいたいの拠点を構えるところも。
ただし翠竜が言うにはそんなに怪しいとは思えないとのことだが。
それもそうだ。
たくさんの人形ゴーレムを精力的に作る行為もそれはまたバレやすい。
なかなか相手はうまくやっているわけだ。
そして翠竜自身が精力的に動けない理由もやはり相手の神が強大な時に考えられる被害だ。
私達に頼むのもそのせいだし自分の神使たちはフル稼働中だとか。
「んじゃあ、あとはどう動いたら良いか…」
「とにかく、数をあたって欲しいのう。早めに企みを阻止できるのにこしたことはない。ただ、大神クラスはローズオーラが直接当たったほうが無難じゃろうな。どいつも曲者故……」
「ああ……なるほど……」
実感を込めまくったため息を吐いた。
「んじゃあ、4小神は別のやつが当たったほうがよさそうだな」
「待って! せめて神使クラスじゃないと、もしものときに逃げ切ることも難しいかも!」
「む……俺はまだ未覚醒だしな……そもそも人形軍との戦いもある」
ジャグナーは人形軍との戦いが一旦膠着状態に入ったからこっちに来ている。
私の神使扱いだがまだ神力への目覚めをしていない。
枠ももうないし……
「ふうむ、少しなら融通できるぞ、神使の石をな」
なんだって!?




