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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
1980/2401

八百八十七生目 談話

 美しい街並みと活気ある場を歩むだけでこれも1つの冒険だ。

 緻密に作られた街の様子を見るだけでも楽しめるし自分が歩んでいるのがいい。

 どこに迷い込むかまるでわからないのがまさしく発展した都市という感じだ。


 相変わらず金属と木材の使われ方は逆転しているが1つの金属板をとってもちゃんと丁寧に磨き加工して酸化防止してある。

 冒険者たちが取ってきた素材を多く加工してあちこちの装飾やひもやら建築に役立っているのも見えた。

 そうそうこういうのが見たかったんだよ。


 さて冒険者ギルドもすぐにみつかった。

 中へ入ろうか。


「こんにちはー」


「こんにちは、ここは初めてですか?」


「はい。これ冒険者証です」


「承りました。ようこそ首都ベルドナへ」


 表記してあるランクを見た受付の方が目を細めそっと後ろへ下がる。

 やり手だなあ。

 詳細を見てデータのコピーを取るのはよくやることだが今のはほとんど表に感情を出していなかった。


 よくここで大声で叫ばれたりそうでなくても激しく動揺させていたものだ。

 それをされるとめちゃくちゃ注目されてしまうからね。

 あまり得ではない。


 この間私は私でやることがある。

 情報収集だ。






 やっぱりというかなんというか。

 私が通ってきた領地とこっちの領地では天地ほど評価が違った。

 向こうが地でこっちが天。


 ちなみに比較対象が悪いとも言われた。

 やはり隣領は全国比較でも地側らしい。

 自然災害や諸問題であそこよりひどいことになっている領地やほぼ山の領地なんかもあるらしいが……


「やっぱ人のせいでああなったって土地は、隣以外そうそうねえなあ」


「何、歴史を見ればそのようなことは、各地で起こってはいたのですよ。今はココの番ではないというだけです」


「そーなんだぁ、ま、すくなくともー、ココは過ごしやすいよぉー?」


 今私は1つのテーブルを4人で囲んでいる。

 首都というだけあってとても賑わっていた。

 待機所件休憩所は軽食も扱っている。


 さすがにこの時間から呑んでいるものはいない。

 そのかわり果汁水とかつまめるもので楽しんでいる。

 早めに仕事を切り上げたメンツと夜の仕事まで待っているもの。


 それと大きな仕事が終わって休日のものたちだ。

 なのでここのテーブル囲んでいるメンツも全員顔見知り程度らしい。

 普段も組んではいないそうだ。


「ま、とりま逃げてきて正解だったっしょ? 隣」


「諸島と取引するのに重要な港を持ちながらあのていたらく、おそらく領主代理どのはあの土地を使い潰す気でしょうね」


「使い潰す……って、随分物騒な話だなあ」


「そうもなります。外から見ているだけでも、長く保たせる気はないでしょう。実際罰が下る段階になったら本来の領主に丸投げ……そういう腹積もりでしょうね」


「えー、ちょー許せないんですけど。ソレってぇ、政府や王様は何も言わないわけぇ?」


「王側は収めるものを収めていたらそこまで波風を立てねえのはわかる」


「政府陣は治安の悪化なら繰り出すでしょうが……最近、大きな賊が討たれたと聞きます。結局治安自体は良好で押し通せてしまうのではないでしょうか」


 なるほどその手柄の横取りが必要だったわけだ。

 それなら各方面にいい顔ができる。

 あと政治はどこも一枚岩ではない。


 多少鼻薬を嗅が(ワイロをわた)せられる相手を選んで取引していたらまともなメンツが気づいたときには全てが遅い。

 相手は単にバカなんじゃない。

 性格の悪いキレがあるバカなんだ。


 自分の利益のためならばどんな相手も搾取するという寄生タイプの中でも最悪の類。

 相手にするなら徹底的に潰したい。

 生きていくなら欠片も関わりたくないタイプ。


「お話、ありがとうございました。情報がなんとなく把握できましたよ」


「ローズっち、ローズっちの話も聞かせてよー。珍しい海外からの冒険者なんでしょ?」


「お、そいやそうだな。やっぱこの大陸の外になかなか行くのは難しくてな……ぜひ冒険話聞きてえ」


「どこの話が良い? 蒼の大地や朱の大地はちゃんと行ったことがあるよ。他は所要でパッとしか行ったことないかな」


「うわー! 世界を股にかけてる!」


「それは興味深い。ぜひ他の大陸での様子は聞いておきたいですね」


 ここにいる冒険者たちはどうしても他大陸にはそうそう行けない。

 まあそれでも翠の大地を大きくウロウロ出来るだけでも広範囲活動なんだけれど。


「それじゃあ、定番の話からしようかな。やらかし話から!」


「よっ!」

「最高!」


「あれはまだ私が駆け出しの頃、薬草取りに行った時、皇国という場所で………………」


 語り始めればスルスルと出てくる。

 冒険者たちはこういう活気ある話は大好物なのだ。


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