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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
1974/2401

八百八十一生目 抗議

 つまり。


「なげえ、短くしてくれ」


「お金全部領主一族に持ってかれたあげく、砦の修復費用払えってさ。あの砦、廃墟なのに」


「よし、わかった」


 ミア含む4人はスタスタと受付の方に向かい。

 

「ふざけんなー!」

「領主のとこ乗り込みましょう!!」

「金よこせやー!!」

「横暴を許すなー!」

「「そうだそうだー!!」」


「増えちゃった……文句言う人」


 ただ解説していておもった。

 これはひどい。

 冒険者ギルドもこんなもん張り出したらこうなることは目に見えてわかると思うのだが。


 とかおもっていてよく読んだら。

 小さな文字でこれを書いたのは冒険者ギルドと書いてある。

 しかし押してある印は冒険者ギルドのそれではない。


 マークはたしか……


「バンさん、このマークって……」


「気づいた? 領主一族の印だよ。ここに掲載することを強要したのは領主一族。向こうから一方的に決めてきたんだって」


「ああ、どおりで……これを降ろすわけにはいかないってことですね。しかも苦情はギルドの方に集中させると。最悪ですね」


「本当に最悪」


 声色がとても疲れていた。

 バンにとって完全に迷惑なことだろうからね。

 バンからしたら下位組織の上司が大暴れとかそんな感じなのだろうか……


 大揉めしている受付さんたちには気の毒だなあ。

 何せ解決のしようがない。

 そんなことおもっていたら背後から声をかけられた。


「……ローズ様、お待ちしておりました、どうぞこちらへ」


 ローブで身を隠しているが小声ですぐにわかる。

 ギルド長だ。





 私とバンは裏手からまわって従業員用出入口から冒険者ギルドに入り直す。

 中の部屋に通されてバタバタしているのを眺めていた。

 ローブを取ったギルド長は深々と頭の角度を下げて。


「誠に、申し訳ありませんでした……!」


 真正面からの謝罪を受け取った。


「彼らを代表して受け取ります。ただ、今回の件は明らかに、行政による冒険者ギルドへの妨害または挑発行為です。対応は決めているんですよね」


「ええ……現在、遠隔に情報を送る装置を使い、単純な文字情報をギルド首都本部と王都支部に送っています。向こうの会議が済み次第、すぐに返答が来る手筈です」


「それにしても、困りましたね……領主一族は、冒険者ギルドによる強制監査をうけるのが狙いなのでしょうか?」


 気になるのは他の都市のギルドによる動きではない。

 どう考えてもブチギレ方を考えるだけだからだ。

 個人ではなく組織なので制裁の仕方もあるし怒らないという手もない。


 なぜなら散々擦れてきた信頼関係にとどめを刺してきたのだ。

 ここでキレねば組織の意味がない。

 冒険者たちは不満がたまりにたまって爆発するだろうし組織としての信用がガタ落ちする。

 さらに今後いろんな組織から『こんなふうでいい』と思われる。


 それは看過できない事態だ。

 組織の理念と利益を損なう。

 だから大事なのは向こうが何をしたいのかだ。


 冒険者ギルドは今だに権力に対しての国をこえて抵抗しなんなら法をこえて人々を守る力がある。

 法律すら時にはやぶり実力行使に出て戦う姿は無法者と言われることもある。

 ただ組織としてはそのでかすぎる力をギリギリまで動かすことはない。


 強い力を乱発した時に民衆や世界から刃を向けられる側になるのはどちらかはっきりわかっているからだ。

 何せなかなか他大陸との連携がとれない翠の大地でも冒険者ギルドは海外とも連携が取れている。

 いざとなったらの力は悍ましいほどで国がひっくり返るだろう。

 

「そうですよね……実例としてほとんどないうえ、ここの冒険者ギルドが弱く実力がないとはいえ、ソレは全部ではないことぐらいは承知なはず……」


「動きは早かったですよね。昨日の今日で動くとは」


「そう、そこもなのですが……今の領主様の話ではなく、今の領主の実施的な運営を行っている側の話ですが、自分たちの利益になると踏んだときだけ、動きがとても早いのですよ。それは組織としての熟考を捨てているかのような早さと短絡さで……本当に、罠だろうとは思いはするんですが……同時に、本当に実力行使しないだろう、したとしても抑えればいい、なんなら利用して逆賊として処理してやろう、ぐらいは皮算用していそうで……」


「そんな……」


「いま、背後関係を洗っているところです」


 絶句した。

 相手はそこまでならずもの扱いされるほどに落ちぶれていたのか。

 というかならずものでも賢い相手と悪い相手がいるけれどその中でも最悪みたいな雰囲気がある。 


 もちろんまだ確定はしていないが……

 そんなこと思っていると部屋の扉が叩かれた。

 ギルドマスターが許可して開けばそこには意外な人物が立っていた。

 

「その話は、ぼくも混ぜてください」

 


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