八百六十八生目 襲爪
2022/07/01 前話、全部差し替えています。変えた後を読んでない方はそちらからどうぞ。日付以降に見た人は気にしなくて大丈夫です。
ガンザが何かを叫び……
ミルーカが驚いたように周囲を見回し叫ぶ。
「ま、まずい! 奴ら、毒煙を流す気だ!」
「はぁ!?」「んなっ!?」
「空気より重い毒煙だ、だから流れるまでは時間がかかるが……早く穴を! あそこ、あそこ、それにあそこにも!」
ミルーカが指さした先にいくつもの穴たちがある。
下にあいているものもあるが上から垂れ流しているものもあるようだ。
場所は3つでも穴の数は10以上。
「多すぎる! ちょっと塞いでおくってレベルでどうにかなるもんじゃないぞ!?」
「確か、崩せさえすればいいんだが……! 逆流防止弁が働いて、毒煙の流出が止まるはずだから!」
「撃ち込め!」
冒険者たちが無駄な高台から穴の方へと一気に迫り炎や槌やらが振るわれて。
光が輝き弾かれる。
「かっった!」
「無策で放置しとくわけがねえだろ、ガハハハハハハッ!!」
「くっ足元にたまりだした!」
紫色の煙が続々とたまりだしている。
まだそこまで実害はないが……
たまるまであっという間だろう。
「やあぁーっ!」
いっぽうその頃魔法のツルを放って高台にいる賊をふっとばしつつ引っ掛けたのはミア。
バンが後ろにくっつきミアはツルを戻す。
「うひゃあ!?」
「おおっ」
ツルは勢いよく戻って高台にふたりを放り込む。
ミアは思いっきり放り出されたがバンはきれいに転がって受け身を取った。
ゴズとロッズは必死によじ登っているようだ。
「おい、こっちに……うわっ!?」
そして私達の戦いも続いている。
高台で戦えば当然ビュウロウが放った魔法が流れ弾として飛んでいく。
着弾するとその場に竜巻を生んで巻き込まれた賊を強制的に打ち上げていく。
魔法の威力がニンゲンたちとは比較にもならないほど高い。
当然のように壁ごと打ち上げていく。
「お前! こっちに撃つな馬鹿が! 巻き込まれるだろ!」
「ああっ!? そんな気を配れる余裕はねえよ! ぐっ!」
私の放った降り注ぐ極光をビュウロウはからだをカスりながらギリキリでうけながし避けていく。
当然その分他の賊と壁に降り注いでいった。
「「ぎゃあああっ!?」」
「それにしても、ビュウロウの魔法は厄介だね……強制的にポップアップさせるだなんて、そこから繋げることも、逃げて離れることも出来る」
「芸がない魔法は嫌いなだけだ、それっよりっも! お前、いくつ連続で魔法使えるんだ、狂ってるだろ!」
「そりゃどうも!」
避けたスキに岩を上空から落としたら竜巻で勢いを相殺される。
そこに灼熱の光線を叩き込むと纏った竜巻で光線を撹乱し最小限に抑えた。
ただ当たりはしたな。
体にまとった竜巻もやはり伊達ではなかったらしい。
向こうが反撃する前にゼロエネミーに水弾を放たせたあと私の元へ飛んでくる。
装着!
私の腕それぞれに変形したゼロエネミーが獣爪拳……パタモードになる。
青い刀身はうつくしく彩られ単なる刃を越えたなにかだと訴えかけてくる。
その勢いのまま上へ飛んでから天井に着地して蹴ってから一気に飛びかかる!
[蹴爪 獣闘士用武技。一気に相手へ飛びつき距離を戸詰める。あわせ技になる]
ついこの前の闘いで習得した武技!
浮いているビュウロウへ急速に迫り光を全身に纏った私が刺さるように飛びつく。
若干纏った竜巻で流されたが……逃さない!
「くっ……そっ!」
ともにもつれあい高台ではなく毒煙の中へと落ちた。
勢いで周囲に煙が散る。
「あっ、ゴメン!」
「うえっ、どんなめちゃくちゃな動きを……!」
「互いの動き全然目で追えない!」
ビュウロウも着地の衝撃を緩和しつつ煙を竜巻で撒き散らし離脱していた。
文字通りこっちを煙に巻こうとしているがさすがに鼻で捉え続けられる範囲だ。
地面も大穴あけるつもりだったのになんもなっていないし。
毒煙を突っ切っているそのすがたを追いかける。
ミアたちは高台の一部を占拠するべく奮闘していた。
「毒煙が来る前に、抑えないと!」
「行きます! でやあぁー!!」
「ぐうぅ!」
バンが下の状況をチェックしつつ突撃する。
ミアが竜巻切りで竜巻を巻き起こし……
賊たちは瞬間的に身を低くし障害物に隠れる。
しっかり耐えて途切れた瞬間突っ込む。
「うそっ!?」
「カバー!」
ロッズが飛び込んで反動で動けないミアを突き飛ばしゴズとバンが、賊に急襲。
それに対しても賊たちはハンマーを下がって避けて短剣は盾で弾く。
再度取っ組み合いになり切り合って攻めたり守ったり。
「ぐっ、こいつら強えぞ!」
「さすがに格が違うっぽいね……!」
そして高台ではもう一箇所。
優雅なジャンプを見せ高台に移ったミルーカと武器を肩に構えたガンザが対峙していた。




