八百四十一生目 宝籤
やっぱり付与すると派手に成ることは多い。
まあ派手になった上でプロが加工すれば輝くペンライト状態は抑えられる。
攻撃力増加とかの付与はまあまあ光は抑えられているんだけどね。
攻撃力増加とは剣の底力が増すらしい。
数値化は多分プロの鍛冶師とかじゃないと難しいが……
例えば鉄の剣が攻撃力10だとして。
そこに現在の切れ味と剣の強度それに粘り強さや重量がまさり。
そこからふるうがわの技術や武器との適性で最終的な破壊力が決定する。
なんでも切れれば威力が高いってもんでもない。
生命力や耐久力をどれだけ削れるかというのをダメージ計算と呼ぶ。
鉄の剣攻撃力10の切れ味が鉄の剣の威力を倍化する程度で……さらに重さはそこそこで粘り強さもそこそこ。
切れ味を活かした袈裟斬りで技術もほどほどあるとすると全部がうまく上乗せされ乗算で50とか60とか跳ね上がる。
では同じで10+5なら?
さっきと同じ計算だと75や90に跳ね上がる。
だから攻撃力増加は大事だ。
ちなみに技が叩きつけみたいになると剣の切れ味計算が無視され逆に重さ計算の比重が増す。
軽い剣で叩き付けをやっても威力はでないというまあ当然っちゃあ当然の話なんだけれど。
だから付与する時は噛み合わせがうまくいくかどうかお祈りである。
単純な攻撃力増加でもさっきみたいに良いし急所に当たりやすくなるみたいな幸運の星光が宿ってもありがたい。
逆に短剣に重さとかハンマーに切れ味とかほんと勘弁してくれとなる。
数多降り注ぐ星の輝きはそこに善悪も優劣もなく輝くのみ。
そこを矮小なる存在の業で選別し取り入れるというものだ。
つまり……話が通じたり価値観が同じだったりするわけのない魔法技術なんだから諦めろということだ。
あくまで我々は祈って掴み取るのみ。
天体の輝きを一個人が操るなどできない。
見える範囲を変えるのみだ。
さてそれでも失敗できない時は生贄を支払いごきげんうかがいをしよう。
まあコレまでの散々私の魔力と高い書物の配置やラグやら消耗品の石やら使ってきたけれど。
さっきので今使っている付与石も砕けたようだし。
ここからは星の運命自体に捧げるものを用意する。
これまではあくまでニンゲンがニンゲンとしてあらがい受け取ることを繰り返したこと。
いや魔物だけれど私。
あくまで大自然から小手先でどうにかしただけだ。
しかし次は私の全力を出す。
小手先ではなく相手に直接届くような力を。
……神力解放。
こっそりと鱗と宝石でできた首飾りに手をやって私の神としての力を放つ。
とはいえ戦闘時じゃないから放つことなく内側へ内側へ……
三つ目が光を灯しているっぽいがスキルで隠しているし目を閉じておけばばれへんばれへん。
光自体はあちこち溢れ出て目立つものでもなし。
さあて行こうか。
小瓶を1つ取り出す。
中には煌めく砂のようなもの。
私の胸石の削り粉だ。
成長する胸の石……もちろん今は隠しているこれは時折磨いてもらっている。
小瓶の中身を剣に振りかけて全体的に輝く。
思ったよりも使わなくて大丈夫そう。
神力と私のコアパワーのこもった石だ。
加工したとて力は失われていない。
さあこの剣は美しく出来上がった大きな器を持つ両手剣。
宝石と多くの木材を寄せ合い剣に花が咲いている。
大地とともにあるこの剣は植物として生きているようだ。
名付け前ながらすでに銘品として作られるだろう。
だからこれでガチャでないガチャをする!
そう! レジェンドレア確定ピックアップガチャだ!
空に光が伸びていく。
神力を込め粉も輝きを増し私の周囲ひいたラグの中だけ別空間になっていく。
神域……
そうこれは疑似神域だ。
私が気がつくと周囲は宇宙。
周囲にはあまりに輝かしい星々の輝き。
一介の神ですら小さなこの世の神秘。
宇宙が誕生して今までの時間こそが神秘性を育んだ。
その神秘性は今武器へと活力を与える。
「……満天の星空だ」
これほどまでの祝儀は単なる生物の身では御しきれない。
レジェンド確定ピックアップはやる側にも覚悟を求めるらしい。
さあ私のほしい光は…………
空から落ちてくる彗星の輝き。
たくさんの星々が輝きの尾を伴って降り注いでくる。
確定演出だ!
幻想的でみちみちたる光は準備なき者の精神を容易く焼き切るだろう。
選びたい放題でありながら受け取れるのはわずか。
私が呼びかけ私が掴み取らなくちゃ。
誰の手をとるのかを。
[付与:火系反射・攻撃力増加・柔軟流変]
ふう……割と高額な……それこそここらへんで戦った魔物より断然強く質の良い品々を使っただけあって緊張した。
ちなみに素材の質とできあったものの器サイズは一致しない。
あくまで器サイズは鍛冶での出来に左右される。
なので3つぶんの付与出来たのはすごく良かった。
たいていは1つでよくて2つだから。




