八百三十六生目 修正
柔軟だのあれこれ細かいことを終えつつ。
ついに武器を持つ時がきた。
「どの武器を選べばいいんでしょう……?」
「うん、それの選び方を教えるね」
各々の武器が合うものは割と差異がある。
まあ冒険者は広い範囲の武装を使えるのが理想だけれど。
その場で対応できる範囲が増えるからね。
だが初心者はまず1つを使えるようにならなくては。
浮気をしている場合はない。
しかも自分の1つだ。
なんか地面に刺さっていた片手斧の模造品を引き抜いて、
「「おおっ!」」
なぜか歓声が上がったけれどともかく。
「自分の向いている武器を今までので軽く検討したから、そこから自分の理想へとどんどん変えていってほしい。たくさん扱える分にはいいからね」
「そりゃあ、でもオレたちは今までちゃんと武器扱ってきたぞ? しっくりきたやつ選んでよ〜」
そう話すのはさっき明らかに合っていない両手剣をブンブンしているやつ。
他の小杖持ちに盾と剣持ち。
「うーんまあ、もちろん強制はしないんだけれど……けれど、しっくりくる本人の感じって割と持ちやすさに影響されていて、けれど実際合う武器はさっきまでの一連で見たけれど、だいぶ違うと思う。途中で持ち替えて行くのは良いけれど、始まりではないかなって」
「な、なるほど……?」
持ちやすければどうしてもしっくりは来てしまう。
そしてたいていの冒険者は持ちやすい直剣に流れていくわけだ。
さて柔軟体操とかさせておいて割とわかったし割り振っていこう。
「これは私のおすすめとして考えておいてね」
ほいほい、ほい……っと。
各々が最初に使うに適した武器を渡していく。
幸いこのギルドに模造品の武器はたくさんあった。
両手剣には……
「んなっ!? オレには短剣!?」
小杖には……
「なんだ!? 両手棒!?」
盾と剣持ちは……
「槍じゃねえか!」
結果的に言えば各々みんな違う武装をもたらすことになった。
というか剣使いが多すぎるねん。
騎士たちは武装統一して剣と槍と弓が使えないとみたいな部分あるけれど冒険者はそうじゃないんで。
「それじゃあ渡されただけじゃあわからないから、隣と打ち合ってみようか!」
……そしてミアには。
「えっ大きい……! こんな大きな剣で良いんですか!?」
ツーハンデッドソード……両手剣を持たせた。
互いに距離を取りつつ向き合って乱取りが始まった。
ミアはしらないひとりと向き合っていた。
「や、やれるかな……」
「大丈夫、基本的な動きはさっき教えた通り……クワや熊手を振り回すみたいなものだから」
「そうは良いますけれど……」
相手は相手で普段の剣ではなくハンマーを持たされ困惑している。
全員素振りや感覚づけはしたけれど総じての感想は『しっくりこない』のようだ。
他の国だとこれらのことはちゃんと体系づけられていて私がやる必要はなかったけれど……
私もできないでもないんだよね。
「それじゃあ全員、攻め側と防ぎ側を確定してからの攻防して。細かいやり方は、後で言うから。初め!」
あちこちでどっちがどう攻めるか決める話が聴こえてくる。
それはもちろんミアともうひとりの女性も。
「アンタ、確か今日から冒険者なんだっけ?」
「は、はい!」
「じゃあ先手は譲るよ。アタシは野次馬みたいなもんだからさ、本当は中位ぐらいはあるのさ。だから、初めてのこいつでもちゃんとやれる気はしている。ガンガン来な!」
「は、はい! せーのっ」
ミアが掛け声をかけ先輩冒険者へと踏み込む。
型などさっき軽くならっただけで結局は乱雑な振り。
特訓なので光はのっていない。
縦に大振りされた剣を先輩冒険者は軽くハンマーの柄で受け止め……
「なっ!?」
足が揺れた。
さらに両手剣は振り抜かれる。
本来は多対1を想定した武器。
1つ受け止められただけで流れる武器の連撃が終わらない。
きれいに振り抜かれているわけではない。
息も絶え絶えだ。
それでも初めて振るうとは思えないような気迫があった。
一方他の面々も大小の差はあれどしっくり来ていない割に効果はでていた。
私はそれらを"鷹目"でみつつにおいや音で判断し光神術"サウンドウェーブ"で声を"エコーコレクト"で特定の相手に届けていく。
同時に声を使い思考を処理していくのはまあ私ならではだよね。
「若干受ける時に顎を出しすぎている。弱点だから狙われやすいよ、もっと引いて」
「肘で振り抜くともうすこしよくなるよ。まだ手先だけでどうにかしようたしていて、それだとすぐに痺れちゃう」
全員武装が新しいせいで変に元々できていた型をつつかないで済む。
その分の動き修正は他の武装でも役にたつはずだ。




