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八百九生目 態度

ちょっとおかしかった部分を直すために文章を一部前話に引っ越しました。2022/04/27

~前回までのあらすじ~

私に視線が集まる。私なにかしちゃいました?

~前回のあらすじおわり~



「あるだろう、剣が」


確かにある。リュウが言っているのは私の剣、ゼロエネミーのことだ。どこまで剣神の攻撃を受けきれるかは分からないけれど、そのへんの剣よりは遥かに丈夫だろう。


「嫌だ」


貸すとも貸さないともまだ言ってないのにスイセンが拒否した。


「いやまだ貸すって言ってないから…」


「嫌だ。クソブスの手垢に塗れた剣持ちたくないんだけど!」


貸さない。泣きながら頼まれないともう貸さない。

私が決意してるのを知らずにスイセンとリュウがぎゃあぎゃあ言っている。


「剣で受けずに2枚下ろしにされたいなら余はこれ以上は口を出さぬが、余の宝物庫に剣があったとしてそれは過去の手垢にまみれたものでしかない。手垢が新しいか古いかの差異しかないだろう」


「そもそも手垢ついてないけど」


「ひとつ生存する可能性があるとしたら剣を交わえることだ。過去、決闘で生き残ったものはその剣才を見せれたものだけだ。要は戦闘狂の馬鹿に『おまえやるな!まんぞくまんぞく!』ってさせればいいわけだ」


「……チッ、仕方ないな!ローズオーラ。剣を借りてやってもいいぞ」


「貸さないけど?!なんでこの流れで貸してもらえると思ったの?!」


泣きながら頼まれないと以下略


「ローズオーラ、考えてみろ。貴様は今回神案件の依頼を受けて来たのだろう?依頼主にこういうつもりか?小神が大神に嬲り殺されるところを指を咥えてただ見ていた、と。無論それでも現在起こっていることはスイセンの死によって終わる。何も出来なかったは何もしなかったことではない。だが貴様はスイセンの死を軽く見すぎている。我らにとってそれぞれの死は軽いが、世の中はそうではない」


「スイセンが死んでも困ることなくない?しばらくしたらまた人間がスイセンになるんでしょ」


「身寄りのなく互いの言語も通じず現代の知識もないイカれた宗教に染まりきった美女が150人くらい世の中に現われる」


――は?


「スイセンのコレクションを知っているだろう?見ていればわかるはずだ。死んでいないことが。あれはな、スイセンが死ぬと元に戻る」


スイセンのおぞましい最悪の悪趣味が彼がミューズだと見定めだ美人を定期的に氷漬けにしてコレクションすることだ。


「ついでに今のスイセンの恵みで生きてる集落の人間が飢えて死ぬぐらいか。あれは恵みを宛にして働くすべを持たぬものの定めだが。通常であればスイセンの死と謎の美女、飢え死にする集落は結びつかず個別の自称として扱われる」


「ええと」

なら問題ないのでは?

問題はあるけど私が困るってことは無い気がする。


「ネコちゃんは性格の悪い人間の行動を予想することは苦手?死の間際の悪あがきにいらないことを拡散することなんてワケないわけよ」


わかっていない私に他の面々が教えてくれる。


「つまり、集落は飢え死にするし美女が現われるのはスイセンを見殺しにしたお前さんの責任にされる。要は後始末がめんどうくさいってわけじゃな!!」


まじでこいつら嫌い!なんだこの搦手!ひっど!!!


だがこちらとしても脅されたからって首を縦に振るわけにもいかない。せめてちゃんと頼まれないと納得できない。


「余が言えることではないが関わった時点で貴様の負けだからな」


「とはいえ誠意がないのは確かじゃろう。ほらスイセン、しゃんとするがいい」


シンシャに促されてスイセンが憮然としながらしぶしぶと私の方に意識を向ける。


「仕方ないな。当たり前だが無料で借りたいといってるわけじゃない。腐らぬものなら金銭的価値のあるもの、腐るかもしれないものなら守の力。それか最悪、美か」


美。

いやそういう対価の話だったっけ今。騙されないぞ。





こんにちは私です。ゼロエネミーを貸すことにしました。ちょっとちゃんとした態度で頼むまでスイセンがごねにごねたのは省略しました。もう聞いてられんからね。


この不思議チャット空間にいるうちは時間が現実ではほとんど進んでいないようで、危機的状況なのに誰も急いでおらず無駄に! 無駄に!!! 時間がかかった。もうやだ。


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