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八百八生目 承認


『このバカ、世の中みんな剣使いだと思ってんの?頭剣かよ』

『剣だね、全身が』

『ラチが開かない。めちゃくちゃ癪だがやるしかない――プログラム"解凍"!』


前世で覚えのあるような単語をスイセンは唱えた。

そうして私の目の前にもとある文字が浮かび上がってきた。



【ネットワークを展開します】



ネットワーク…? 展開…?



【アカウント:ローズオーラ は特別ルームに入室できる権限を得ています。ログインしますか?】

【yes/no】


突然のことでなにもかも分からないけれど今までの経験と前世の知能で何らかのチャット部屋が立てられていることは理解できた。


理解はできたけど今チャットしてる猶予ある?と思ってしまう。いやスイセンにとって何らかの今回の状況を打破する手なんだろう。そう考えて私はyesを選択した。



【ローズオーラが入室しました。ようこそ。ルーム:顔のない神へ】



「やー、どう今回?生きれそう?」

気の抜けるような言葉。これは――シンシャだ。


その仮想空間にはアバターが3つ。

リュウとシンシャとスイセンだ。

リュウは前と同じ水の紋章、スイセンのアバターはバラの花(水仙の花じゃないんだ?)、シンシャのアバターは銀色のスライムみたいな丸っこいやつ……これ水銀かな?


いつものメンバーである。

いつものグループチャットとどこが違うんだろう。


【VVが入室しました】


「ちーっす、ぇ犀亥リぇ犀亥リ(遅刻遅刻)~」


えっ、誰?! ヴィヴィ??


「可愛いネコじゃん!これがリュウっちの言ってたやつ? こんなのに3人ともボッコボコにされたわけ~? ウケる」


目の前には可愛らしい現代的な女の子をデフォルメしたようなアバターがある。他3人とは旧知のようだ。


あ、あれか4柱目だ!

まだ会ったことのない顔のない神が1柱いたんだった。



「とりま、よろぴく~。ちなみにここはアタシのネットワークとシンシャっぴの時の力と神力で作った時空間から隔絶されたプライベートチャットルームだよー。腐れ縁の相互扶助の一環だね!!」


ネットワーク。今世では聞きなれない単語がさっきからめちゃくちゃ出てくるな……?



ともかく。気になることが多すぎるが深堀している状況ではない。今はスイセンのことだ。


スイセンから現状の説明はすでにされている。


「剣神の倒し方か?今世を諦めた方が良いだろう。潔く自決しろ」

にべも無くリュウが切り捨てた。

いや正直私も一切スイセンが勝てる未来が見えないけどね…



「他人事だからって一言めがそれなの目眩がするよ」

「だが貴様も他人事ならばそうするだろう」

「うんまぁそれはそう」


う〜ん、こいつらだめだ。


「とにかく、何のためにルームを開いたと思っているんだ。さっさと貸して欲しい。最近そっちに荒事ないでしょ」


「まぁ、荒事といえば荒事はあったがの。最近」

シンシャが混ぜっかえす。

その意識の目線が私に向いている。

確かに関係あるけど! 関係あるけど!!


「普段僕の万能さを当てにしてちょこちょこ貸してるだろ。利子付きで返して貰うようなモノだよね?」


「アタシはOKだよ! アタシは優しいからねー!でもちょっと状況気になるから視界共有と実況よろー!」


【VV:承認】


「あー、それちょっと見たいわ。儂もよろしく」


【シンシャ:承認】

「……。別に貸すのはよいし当然見る訳だが。現場にローズオーラがいるのだろう? 蒼竜の神使の力を借りたほうがまだ生き残りやすいだろう」


蒼竜(クソトカゲ)の神使であっても小神だろ。うっかり僕に巻き込ませて消させたくない。別に(アホ)ローズ(クソブス)には興味無いようだから、こいつを強く見せたくない」



「僕の関係ないところで死ぬなり消滅(めっ)になるなりなら存分にして欲しいところだけど、僕に関係のあるところでやられたら困る。そういうのが回り回って僕を殺すんだからな」


「……貴様はそうよな。まあよい。使え」


【リュウ:承認】


「そうだ。誰か剣ない? 剣で打ち合えって奴がしつこく言っててきてるんだよね」


「剣たる大神の一撃で粉にならない剣か?ないが?」

リュウは断言する。ほか2人も同じだ。


「王族の武器庫にはいわくつきの剣の2つや3つあるものだろ。マッタク使えないね」


「んーっと。むかしの記録(ログ)によると剣神は手合わせしたい相手に剣の決闘を挑んでくるんだっけ?アタシらで今世の肉体、剣士のやつ居ないんだから無理っしょ」


「自分の戦い方を強要してくるのってのが最悪だよね。血の流れない試合か同格制限戦なら最悪受けても遊戯として出来なくもないけど、野蛮神どもはなんでこう狂ってるんだ」


そういえば今のところこの4柱のうちの3柱と私たちはちゃんと戦いとしてやりあったことがない。シンシャに至ってはダカシに何度殴られても殴り返して来なかったし。


ちゃんと戦っていないとはいえスイセンの先程の防壁と氷魔法を見る限り戦う手がないわけじゃないようだ。でも、見ていて分かったんだけどたぶんスイセンは攻撃しなれていない・・・・・・・・・。




リュウのアバターが考え込むようなエフェクトを見せている。考え込むエフェクトというのはあれだ。はてなマークが浮かんでいるやつである。エフェクト機能…。




「剣なら、あったな」




「やっぱりあったのか?耄碌してんのか」




「余のコレクションの話ではない。剣なら確かあるはずだ。スイセン、貴様の隣に。使えるものが」




……?……。えっ。私?!

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