七百九十四生目 秘匿
なんというかまあ機体としての説明は胡散臭かった。
いやまあ先入観のせいかもしれない。
何せあれだけ殺し合った仲なんで……
私が微妙な顔をしたのを備え付けインカメラを通して察知したらしい。
ピョコンと揺れる。
「……現在の不適合なボディではお手伝いハ不可。マた、管理者権限を持つ権利主からの指示を確認できないたメ、敵対行動ルーチンを取る事はナい。ゲスト様、ご安心を」
「あ、そうだった。名前教えておくね。2回目だけれど……ローズオーラだよ」
「ハイ、ゲスト様、は、ローズオーラ。登録完了」
やっぱどことなくシステムっぽい話し方をする。
まあそこらへんは仕方ない。
とりあえず気になることを聞いていこう。
「ええっととりあえず……NFの3778ってのは、3778台目ってことなの?」
「イイエ。1000番台ごとに大枠があり、番号はランダムに001から999まで割り振られてイる」
ああ……そこはさすがにね。
かなりこわかった。
3778体の人形軍とか簡単に世界滅ぼせると思うよ。
「よかった……」
「こう言ってはなんなのデすが、システムデータ上ノ機体能力およビ向上能力機能を鑑みるニ、量産は出来ないかト。一点物だネ」
「……うーんそれはそれとして疑問なんだよね。似たようななのが世界中いくらかに現れたらしいから。さすがに100体いるかどうかだとは思うけれど」
「そ、そう……一応ワンオフとはいわないでモ、それなりに量産されにくいとは思うのだガ」
「まあ、もしかしたら年月をそれなりにかけたのかもしれない。てづくりでも時間さえかければ作れる」
そして神はその時間がたくさんある。
とりあえず他にも気になる部分を質問しつつ……
けれどやはり肝心な事はシステムデータになくて記憶データにしかないようで。
引き続き人形には頼んでいおくことにした。
「……という感じかな」
「承っタローズオーラ」
「それで……なんだけれど、改めて、名前どうしようか?」
「識別名以外のニックネームを? 不要ではアるが、使用者がつけたい場合拒否する理由と権限ハない。どうぞ」
「ええっと……ミナーヴァとかはどうかな?」
「ミナーヴァとは? 該当データなし」
「物語上の神様の名前だよ。色々司っているけれど、知恵や工芸もね」
それと3778からとったよぶっちゃけ。
「登録完了。自機のニックネームはミナーヴァ、になっタ。どうぞこれからも宜しク」
「うん、よろしく。きっとキミとは仲良くできるから」
たとえ元々敵同士で記憶をなくして初めて向き合えたとしても……
単なる大量破壊兵器ではないのなら手を結べる。
それはきっと記憶を取り戻しても。
「えエ、こちらも記憶を取り戻すまでハ、そのあとのことはわからないデすが、よろしくお願いシます、ローズオーラ」
さああっちの解析は機械任せだ!
こっちは人力で読み取らなくちゃいけない。
というわけで再び会場に戻ってきた。
地下で石造り独特のひんやりとした空気と年月のたった場所特有の芳醇なかおり。
若干テンションフィルターかかっているかもしれないけれどそんなみち満ちた雰囲気が私を後押ししてくれる。
つまり黙々と解読作業を進めていた。
とはいえこれは……だめかもわからんね。
ちかづいたと思ったらさらに距離を離され煽られているかのような魔法記述だ。
まともに解読させる気がない。
これ本人いないと起動も出来ないし。
多少文献は見つかったけれど天才のメモ書きである。
課程全部かっ飛ばして答えのはじっこだけある。
余計に謎を深めるのやめろ。
どう考えてもクリティカルな情報は処分済みか誰かさんの個人資産にしてあるだろう。
有名人の子孫が秘匿するモノと技術はよくあることだ。
当然見せてもらえるなんて甘い考えは持てない。
でまあ。
悔しいことに1日程度では鍵穴をこじ開けれない。
なのでまるコピすることにした。
とりあえず頭の中に全容はぶち込んだ。
今はそれを正確に記載になおしている。
当然のように何十層と書かれていたり書籍形式にして魔法陣と記述を100ページ分の積み重ねにしたりしていたりしてめちゃくちゃ解析に手間取ったが。
ただ自信家なのにはかわらない。
どうやら細かく隠しているわけではなく堂々といるものを配置して普通に閉じてあるだけ。
まあほんっっっとグチャグチャで見づらく読めないし読ませない仕組みになっているんだけれど。
逆にここまで来るとちゃんと解析は通って解析の結果異世界人を探知して呼びかけここの部屋に擬似召喚するしその機能はフルに完全な状態で把握できたのはわかった。
むしろこわいよ。
現代の魔法技術ってバリバリセキュリティをかけて隠匿しているからさあ。




