表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け
1851/2401

七百五十九生目 破落

 憑依がとけて逃げ出したモンスターハウスの中身。

 それはまるで小さな虫の大群。

 黒いモヤに白いアリみたいなのがゾロゾロ動いているのでものすごい目立つ。


 あれがモンスターハウスの中身。

 憑依が解けた屋敷はさっきまでが嘘のように単なる建物へと戻っていく。

 さあて私はイバラで封魔石を持ってピッチャー今……


 投げました!


 ぶん投げられた封魔石はきれいな放射線を描き虫の群れへと飛んでいく。

 きれいに当たった封魔石はたちどころに周囲の虫たちを吸い取ってしまった。

 そして……一気にさっきまでのあらゆる気配が消え去る。


 封魔石は正常に機能した。

 モンスターハウスも封印完了!


「やったッ」





 さて帰ろう……としたんだけれど。

 なんだか気配がする。

 生者の気配だ。


 どうやら庭の向こう……つまり玄関門に誰か来ているらしい。

 こんなところに誰なんだろう。

 鍵は閉めたはずなのに。


 ニンゲン風に2足で服着て整えてから歩んでいく。

 するとそこに3人組がこちらへくるのがわかった。

 本当に誰……?


「あっ!」

「?」


 わかった! 向こうはわからなかったようだけどわかった!

 冒険者ギルドの前ですれ違った舌打ち野郎だ!

 うわあなんでこんなところに。


 向こうが気づかないのは私の姿が冒険者服だからだろう。

 こちらの顔なんてロクに見ていなかっただろうし。


「おい、なんでここに人がいる。ココは立入禁止だ、表見なかったのか? 鍵かかってただろコラ」


 改めて見ると白髪交じりの顔は非常に悪人顔だった。

 しかもすぐにオラつきだした。

 態度が悪すぎる……


「もちろん知ってる、だって……ここの依頼を受けたんだから」


「んだコラ、そんなわけないだろが、今朝聞きに行ったときは、この依頼を受けてくれる相手なんてよほどいない、塩漬け状態だっつってたぞ、ウチが出してんだぞ依頼、受けたなんて嘘ついてもすぐ分か――」


「え? 依頼者さん……? 冒険者じゃなくて……?」


「は?」


 依頼者……(フォウス)教教会。

 いや目の前の相手どうみてもゴロツキ冒険者……!

 聖職者の聖の字もない!


 刻まれた傷痕に鍛え上げた筋肉。

 使い込まれた手先に大きな得物。

 戦うことに躊躇のないギラついた目。


 そしてなにより戦う者に染み付いている特有のにおい。

 冒険者っぽいんだけどなあ……

 とか思っていたら彼等は首元を探り出す。


 そして軽鎧の裏側からキラリと輝く飾りが飛び出た。

 ……螺旋の形の飾り。


「それってフォウス教の……」


「ああ? わかっただろコラ、聖典も出そうか? 携帯用だからボロボロだがよ」


「あ、大丈夫大丈夫」


「で、そっちは結局なんなんだコラ? そんな優女のナリしてて、荒事の真似事ができるとは思えねえぞコラ!」


「ええっと……」


 すごまれたけれどそこまで怖くない。

 いや一般的にはおそらく容姿も合わさって恐ろしいものなんだろうけれど……

 私はゴソゴソと空のバックを漁って中で魔法を発動し手に必要なものを亜空間から受け取る。


 さっと取り出してと。


「冒険者証です。実は、たまたまあなた達が出ていった後にこの依頼を受けたんですよ」


「んなっ……! 入れ違い? まさかあんとき……いや、そもそも、この依頼は難易度的に1人での攻略は……」


「あっ」

「アル様、あの証をご覧ください! 詳しく!」


「んだコラいきなり……あ、は? ハァ?」


 控えていたふたりが慌てだした。

 喋るんだ……とか思っていたらアルと呼ばれたゴロツキ風聖職者が飛びついてきた。

 私の冒険者証をひったくるように見て何か透かすかのような空にあてたりして。


「本物の……ランクVだとぉ……!?」


「そうだよ、だから受けた。それにしてもキミ達、まさか自力で……?」


「んな……! そ、そうだコラ、だぁれも受けてくれないから、オレたちだけでもやるしかないと思ったんだコラ! 今からやるんだろ!? オレたちもやんぞコラァッ!」


「大丈夫、もう終わったから」


「なっ!?」


「ではまさか、本当に邪気が薄れて……?」


「異変は異変でも、良き異変だったか……」


「お、おいコラ! 中に女の骨がいなかったか!? お前より小さい女の骨だ!」


 アルが冒険者証を返しつつすがりつくようにたずねてくる。

 ちょっと不審には思うが……

 とりあえずまた同じようにして封魔石を取り出す。


「これ、この中に封じたよ。正気じゃなかったから、魔法で正気に戻したら、気を失っちゃったから」


「なっ! ほ、本当か!? この中に……そうか……良かったなあコラ……」


 なんだろう。

 封魔石を愛しそうに手で覆って握っている。

 コレはわけありかな……


 背後からひとりの聖職者が前へ進み出た。


「申し訳ありません、詳しいことを話したほうが良いでしょう。ぜひ教会へ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ